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【番外編】シラフじゃできへんっ♡⑧*
「ぉ……っ」
ペニスに触れると、庄助はさすがに逃げようとする。挿入したまま、ゆるく立ち上がるそこにいたずらをする。指先で裏筋を撫で、痛いくらいに敏感な先端をくすぐると、そこむり、と庄助は泣き言を漏らす。
「さっきまでの威勢の良さはどうしたんだ、ケツ穴緩んでるぞ」
「ひう……っ!?」
ペニスを掴んで擦ると、明らかに中がぎゅっと狭まった。
「そうそう、そんな感じで締めといてくれないと、奥までぶち込んでしまいそうだ」
庄助の背筋が凍った。景虎はたまに戯れに最奥をいじめてくるが、本当に勘弁してほしかった。
景虎のペニスは大きくて、根元まで挿れて押し付けると、庄助の直腸の奥の奥、感覚がないような突き当りの更に奥まで届いてしまう。
それは気持ちいいけど苦しくて、届いてはいけない場所にまで侵入されるのが怖かった。内臓まで明け渡してしまう気持ちよさを知ってしまったら、今度こそ本当に景虎だけの獲物になるようで恐ろしかった。だから、奥は絶対に嫌だったが、かと言って。
「うっうっ……あ゙ぅ、いやや! 奥も前も、い゙や……っ!」
イったばかりのペニスをずっと擦られるのも嫌だ。気がおかしくなる。庄助は必死に首を振ったが、景虎は聞いてくれない。
「あギ……っ、もうっほんまに無理っ、あかんねんって、そこぉっ……!」
「じゃあ奥だな」
「むり、むり……っ」
「なあ、庄助。お前、本職のヤクザに抱かれてるのに、随分余裕あるんだな?」
ごりごりと無遠慮に中を掘削されて、額から背中から汗が吹き出た。喉が乾いて頭が痛い。庄助は不規則な荒い息を、ハアハアと吐き出した。
「優しくしてもらえて、云うこと聞いてもらえて当然って思ってるのか?」
「そ……だって、カゲは俺の……」
恋人と言いかけて口をつぐんだ。恋人なわけないやろ。
そこは踏み込むわけにいかない。だって、もしそんなことになったら今以上に甘え散らかしてしまう。自分がどうなってしまうのか予想できない。
好きと認めてしまって、その先でなにかの拍子に景虎を失ったら? 突き放されたら? そう思ってしまうからこそ、庄助は景虎に完全に心を開いてこなかったのに。
「俺が、庄助のなんだ?」
「あひっ……」
景虎の人差し指が、鈴口をとらえた。とんとんと先を叩くと、濡れたそこが粘っこい糸を引いているのが見える。
「言えよ」
「いややぁ……んぅっ、あ゙、もうっそこや゙めっ、ゆるしてっ!」
胎内から前立腺を押され、先端をくるくると撫でられ、庄助はまた潮を吹いた。さっきほどの勢いはないものの、潮を吹きながら穴をこじ開けられ揺さぶられると、腰の骨が溶けるほどの絶頂感があがってくる。
「いく……いく、もっ、イクのいややぁ、止まって、カゲっ、あっあ、ゔ~~!」
情けなく喚いて、あえなく射精する身体が恥ずかしかった。涙で顔をぐちゃぐちゃにして懇願したところで、馬鹿みたいに激しいピストンが止まったためしなんてないのに。
「……俺が空っぽになるまで付き合ってくれるんだろ。庄助が誘ったんだからな」
「ふっ、ふ……死ぬ、死ぬって……あ゙……っ」
熱くて脳みそが溶けそうだ、というか、目から流れているのはもしかしたらすでに溶けてしまった脳みそかもしれない。
ああ。それやったら、俺がどんどんアホになっていってることにも説明がつくのに。だんだんカゲのこと好きになっていってることにも、説明がつくのに。
後ろから犯されながら、庄助は「抱きつきたいのに!」と思った。
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