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第一幕あとがき
マチズモ極まる雄の世界に、ヤンチャで無謀でイチビリな男の子を飛び込ませて、とにかくめちゃくちゃにしたい。そういう欲望から始まったのが「ぬきさしならへんっ!」です。
「ぬきさし」は最初、わたしがかけ合いのボイスドラマのために書き下ろした脚本が原点です。
声優さんに命を吹き込んでもらい、すごくいいキャラクターができたという自負とともに、尺の関係で物語をしっかり物語を書き切ることができずに消化不良気味でした。
イラストのみのるゅさんと相談し、せっかくだからこの子たちを使って何かやろう! ということになり(わたしが無理矢理そうしました)ひとまずここに小説を発表することができました。
何度も話し合いキャラクター像が固まってゆき、習作として何作かエロシーンメインの小説を書いていく中で、庄助と景虎たちの存在はわたしの中でいや増してゆきました。
イマジナリーフレンド、タルパってこうしてできていくんだなぁと思ってしまうほどに、彼らはキャラの枠を飛び越えてゆき、もはや人間としての厚みを持たせることができたんじゃないかと、ほんの少しだけ自画自賛しています。
コメディだからこそ、キャラクターが薄っぺらいと台詞に説得力がなくなり面白くなくなると思ったので、どこを切ってもちゃんと血が出るような、まるで存在しているかのようなキャラクターを作ることを心がけました(ろくろクルクル)
そんな登場人物たちの掛け合いを書くのがすごく楽しかったです!
男が男に惚れるヤクザの世界が、ブロマンス的にもBL的にもおいしくて大好きなのですが、ヤクザってだけでおかしみが生まれるところもあるので、コメディにも向いてるんだなと……。
結局、ヤクザってどういう仕事やねん! というのが、そのシノギの多様さゆえに長年ちゃんと理解できていなかったのですが、黒川博行氏による著書「疫病神」にて書かれていた『極道は、上納金を払って代紋を使用する個人事業(要約)』というのがとてもしっくりきました。なるほど~!
今回、「疫病神」シリーズをはじめ、映画の「昭和残侠伝」シリーズであったり、いろんなパロディやオマージュを散りばめているので、見る人が見ればわかるかもしれません。ヤクザものが好きな方はよかったら見つけてね♡
ベースはコメディとはいえ、暴力描写や性描写もしっかりやりたかったので、そういう要素ぜんぶひっくるめて理解し出力してくれる絵師さんということで、ボイスドラマともども、みのるゅさんにお声をかけさせていただきました。
みのるゅさんのイラストには質感と重力がしっかりとあり、きれいで可愛いだけじゃないところが本当に好きです。想像力を掻き立てる物語性と、深いキャラクター理解が根底にある。素晴らしいクリエイターです、唯一無二です。
キャラクターを描くにあたり苦労した点などは、いつかみのるゅさんに語っていただきたいですね。作品とキャラクター特に国枝を愛してくれてありがとうございます。心から感謝しています。
ノベル版を執筆するにあたり、校正を手伝ってくださった観世こよりさん、yosさん、ありがとうございました。お陰様で形になりました。
そして、ノベル版を読んでくださった方、最大級のありがとうございましたを言わせてください。
ご興味がございましたら、原作であるボイスドラマ版も、X(旧Twitter)に詳細ありますのでよろしければ……!
声優さんたちの演技が素晴らしく生き生きとして面白く、観世さんが音声編集してくださったセックスシーンは、効果音に奥行きがありとても官能的です。
初期の二人の新鮮なセリフの応酬も聴いてみてください。初期の景虎は今より優しいなぁ。
第一幕はこれでひとまず終了ですが、また今後も二人のセックスやも~っとハードなプレイ、進展してゆく仲や彼らを取り巻く関係などを更新してゆけたらなあと思っております。
庄助と景虎たちを、何卒よろしくお願いいたします。
夢野咲コ
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