128 / 168

【番外編】納涼・雀荘に巣食う怪異〜呪いのリャンピン牌〜⑤*

「なっ、な……」  背後は見えない。けど、さっきと同じように、気配と視線を感じる。尻の割れ目の真ん中、密やかに息づく小さな孔に、チクチクと視線が突き刺さっているのがわかる。 「カゲ……?」 「なかなかないシチュエーションだ。壁から庄助の尻が生えてるなんて」  裸の尻を割られ、余すことなく見られる。そういえば向こうは暗かったが、今もそのままだろうか。庄助は振り返って、胴が通っている穴のわずかな隙間を見た。煌々と白い、LEDの光が漏れている。  景虎は後ろの部屋で、電気をつけて明るい状態で自分の尻を観察しているのだ。そう思うと、ショックで今にも気絶しそうだ。 「んなっ……!? やめ、やめろっ! こんなとこで、絶対……っ!」 「ふふ、尻が喋ってるみたいで可愛いな。それに……汗かいてる。いい匂いだ庄助」 「おまっ、お前カゲっ!? なにをしとんねん! 嗅ぐなっ! いやや〜っ!」  逃げようともがくが、今度はシャツがどこかに引っかかっているのか、身体が前に進まない。脚の間からペニスをぎゅっと掴まれて、庄助は飛び上がった。 「ん……っ!」  まだ勃起していない柔らかいペニスを弄られて、息が漏れる。踏ん張って開いた脚の間から、尻尾みたいに後ろ向きに引き出されて扱かれると、見る間に硬くなってくる。 「あ、あっ……! ヘンな触り方やめろ……」 「そうか、庄助はこっちがどうなってるか見えないんだな、なるほど……」  今更気づいたのか、景虎は感心したように漏らした。当然のように、ペニスを扱く手は止まらない。擦られて引っ張られて気持ちよくて、じわじわとカウパーが滲んでくる。 「チンポ擦られて、ケツの穴ピクピクしてる」 「は!? 殺すぞ」 「見えてないから教えてやってるのに……」  景虎の声のトーンがやけに悲しそうで、庄助は余計にイライラした。 「ええから、もうっ……出してほしいって言うてんねん」 「出したいのか? いいぞ、一回出せよ」 「ちが……っあ゙!? やっ……あはあっ! それ、あかんてっ! 折れる、おれるてっ!」  見えないけれど、想像してしまう。景虎が、庄助のペニスを逆手に持って、まるで牛の乳搾りでもするみたいに引っ張りながら擦っているのを。頭の中での都合の良い補完が、なおさら庄助をいやらしい気持ちにさせる。 「出るから、もうやめ……汚れる、からぁあっ!」  濡れた音を立てて追い詰められて、容易く射精させられそうになってしまう。改めてこの状況が情けなくて、なのに気持ちよくて、ゾクゾクする。 「安心して出せ。ほら」  尻っぺたに啄むようなキスをされたかと思うと、熱い湿気が押し下げられたペニスの先端を柔らかく包みこむ。 「あ」  剥き出しになった亀頭を、景虎の唇がぱくりと咥えると、熱い舌が鈴口を掠めた。 「わ、ぅ………っ! んぎゅ、あひっ……! あ、ああぁ〜〜っ!」  びくんと背を反らして、庄助は射精した。景虎は庄助の精液を当たり前のように飲み干すと、ちゅうちゅうと尿道に残ったものまで、愛おしそうに吸い出した。  こんなにあったかくて気持ちよくてぶっ飛びそうなのに、目の前には誰もいない暗い部屋が広がるばかりで、庄助は寂しくなった。 「んぅっ! あっ、ああっ! そこ、今むりっ、んんん〜っ!」  射精して敏感になった亀頭を飴のようにしゃぶられて、庄助は刺激の強さに泣きながら身体をくねらせた。  景虎の形の良い唇が、自分のものを咥えているところを庄助は頭の中で思い描く。ゾクゾクした。  こうやって、身動きできないような状況で好き放題にされるのも悪くはない。悪くはないが、景虎の顔面のよさは、自分の貧困な想像力をいつも遥かに飛び越えてくる。  景虎の美人な顔が見たかった。逞しい身体に触れたかった。おもっくそイっといてなんやけど。

ともだちにシェアしよう!