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第三幕 七、脳まで愛して④*

「……連絡ぐらいせえよ」  ほぼ吐息で話す言葉が、景虎の喉元を湿らせる。すまないと呟くと、景虎は庄助の額に一度優しく口づけた。  くっついた胸と胸の鼓動が混ざる。お互いの顔なんか見飽きているはずなのに、見つめ合うと身体の内のほうから何とも言えない気持ちが溢れてくる。  遠くの方で車の音が聞こえる。路地を乱暴に走ってくる足音はない。男たちはどこかへ行ってしまったのだろうか。まだこの辺りを探しているかもしれない。 「な、なあ……俺を追っかけてた奴ら、誰かわかる? ラーメンマンみたいな頭の……。あれ、川濱組の奴なんかな? カゲ、知っ……」  矢継ぎ早に言いかけた口を、景虎の唇が塞いだ。歯列を割って入ってくる舌が、いつもより執拗に口腔を犯す。景虎は、庄助の腰を両手で捕まえると股間を押し付けた。そのままハーフパンツ越しに尻を揉む。  柔らかいがよく締まった尻の感触に、景虎は自分の中の熱が怒りとともにじわじわと高まってくるのを感じた。  アルミのドアに庄助の背中がくっつく。ひやりとした感触が、熱を持った身体に少し気持ちよかった。 「さあな、興味がない。お前に何かしようとするなら、誰であろうと全員殺すだけだ」  唇と唇の間で響く、物騒な低音。その振動にすら、庄助の身体は敏感に反応してしまう。ゾクゾクと背を駆け上がる怖気は、景虎への言葉が恐ろしいせい、ただそれだけではない。 「んっん……ちょ……っ」  唇を余すことなく味わいながら、景虎の手が庄助のセットアップのさらに下、タンクトップの中に入り込む。素肌に触れ、へその辺りの柔らかい皮膚を撫でると、庄助は身体をくねらせて逃げた。 「おいっ! 何考えてんねん、こんなときにこんな場所でっ……! あっ」  景虎の手のひらがタンクトップの薄布越しに胸に触れた。全体を包むように撫でると、にわかに庄助の身体がこわばる。  「会いたかった、はやくお前に触って抱きたかった」  まっすぐな言葉を耳の穴に吹き込まれて、庄助は暗がりの中で真っ赤な顔になって景虎を睨んだ。 「……なぁ、いっこだけ教えて」 「どうした」 「なんでいつも、俺の居場所わかるん」  前回のことがあってからスマホのGPSアプリは消させたし、万一寝ている間に勝手にスマホを起動されないように、顔認証とパスワードを二重に設定している。なのに、またこうしてピンチのときに現れるのが、庄助は不思議で仕方なかった。  景虎は眉尻を下げて囁いた。 「ふふ……愛の力だ」 「アホ抜かせ、なにが愛の……っう」  ごく薄手の布地の上から、胸の中心をやんわりと揉まれる。指が乳首をかすめると、景虎に教え込まれた身体が敏感に快感を拾いに行ってしまう。  指の腹が、服の上からくるくると乳暈のあたりを撫でている。ただそれだけなのに、全身の毛が逆立つ。 「久々なんだ、触らせてくれ」 「誤魔化すなボケッ、つーかちょっと前にヤッたばっかり……あ、それ……やめっ、ひっ」  乳首をたまに指で引っかけられて、その度に身体に力が入る。肌とぴったりと接地するように布をぐっと下に引き下げられると、服の上から乳首が勃っているのがわかってしまう。ほのかなふくらみを、指先が何度も何度も上下に往復する。

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