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第三幕 七、脳まで愛して⑦*

「……俺が、そんな男に見えるんかよ」  それでも、景虎が求めるならとは思う。何の特技もないこんな自分を好きなんていうのは、きっと景虎の気の迷いだと思うのに。気持ちを伝えたくなる。 「カゲは、俺が嫌いな奴にこんなことさせる人間やと思ってんのかよ……あんま見くびんな」  仕方ないからほんの少しだけ胸の内を見せてやる、というような言い方だった。  恥ずかしくて顔が見られない。言葉を理解するのに時間がかかるのか、数秒してから感極まったような景虎の「庄助」という声が頭上で漏れた。 「あぁっ……!?」   ズボンに手をかけられて、うっかりと期待を含んだ声が出た。下着ごとずらされると、待ちかねたように硬くなったペニスがパンツから飛び出す。下生えも陰嚢も、さんざん焦らされてあふれた液体でじっとりと濡れている。 「あかんてっ! こんなとこで最後までできるわけないやろ……!」 「俺も庄助が好きだ……」  二人とも、指の先から吐息まで全部熱い。硬くなった景虎のスラックスの下半身が、ぐりぐりと庄助の下腹の辺りに触れている。 「好きとは言うてへんぞ、このケダモノ!」  狭い倉庫の中で裸に剥かれかけて、さすがに抵抗した。  そりゃ俺かてこんだけ乳首ばっか触られて焦らされて、もうめちゃくちゃヤリたい。ヤリたいけど。どうしても社会的通念ってやつが邪魔をするやん……って、ヤクザに説得してもしゃーないんか。   「そっち、手ェつけ」  半ば諦めてしまい、ついに後ろを向かされた庄助は、ドアに手をついた。慣れた手つきで脱がされて、足首にハーフパンツが絡む。興奮で息が苦しかった。 「……っも、一発だけやぞっ……はやく、終わらせろ、んィッ……!」  後ろからペニスを掴まれ、庄助は震えた。弄られすぎて赤くなった乳首と、景虎の大きな掌に包まれたペニスが見える。景虎は、滴るカウパー液を指全体に絡めた。 「じゃあもっとチンポからやらしい汁出せよ、ローション代わりにしてやるから」 「あっあ……!」  ちゅくちゅくと音を立てて扱かれ、溢れた体液を次から次へと尻の穴に塗られた。  急くようにぬめった指が侵入してきて、|隘路《あいろ》をこじ開けるように動く。庄助の内腿がひきつるように震えた。  射精はしたかったがそれ以上に、はやく挿れてほしかった。身体の奥を無遠慮にぶち抜く深い絶頂がほしい。先ほどまでの執拗な愛撫で焦れたのは庄助だけでなく、景虎もそうだった。  尻のあわいに景虎の屹立が擦り付けられた。ぬち、と濡れた音がして、窄まった穴に弾力のある太い先端が触れる。  薄い作りの簡素なドアは、ともすれば庄助の甘い嬌声やぶつかり合う肉の音を通してしまうかもしれない。暑さと緊張で庄助の背中から汗が滴った。 「ぐ……っ」  慣らしきれていない後ろに、性急に景虎のものが押し付けられ入ってくる。痛くても気持ちよくても、大きい声は出せない。我慢しないといけないシチュエーションにゾクゾクする。

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