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第三幕 七、脳まで愛して⑨*

「な……な……に、考えっ、て……」 「もう痛くないだろ? そろそろ動くぞ」 「や……!?」  腰を掴んで、中の粘膜ごと滑らせるように奥に叩きつけた。ゴリッという前立腺の感触を先端に感じる。いつもなら悲鳴をあげる庄助の金髪の後ろ頭が、ぶるぶると震えている。 「ぁ……ぁっ……あかん、いま、ほんまに……」  小声で必死に訴える姿も、なかなかクる。  そもそも景虎には最初から、外に誰がいようがここに庄助がいることがバレようが、そんなものは全く関係なかった。  単に、羞恥で声を我慢している庄助の姿が見たいから、静かにしろと言っていただけだ。  スーツに隠れた腰のホルスターには、実弾の八発装填されたマカロフが入っている。ドアがこじ開けられたら、至近距離で頭を撃ち抜く気だった。  庄助との時間の邪魔をする相手は殺す。殺人や銃刀法違反、そこへかかる良心や逮捕への迷いは、景虎には微塵もなかった。 「はぁっ……これだけキツいと、庄助と初めてセックスした時を思い出すな」  いつもより潤いが少ない状態で挿入したからか、ぎちぎちと摩擦する腸壁が景虎のペニスに絡みつく。引き抜くときに充血した粘膜が絡みつくあられもなさがたまらなくて、何度も腰をゆっくりと大きくグラインドさせた。  時折、腹側にある前立腺を思い切り押し込めながら挿入すると、庄助はきゅうぅと子犬のような声を喉から出した。  横顔を覗き込むと、信じられないという顔で涙をぼろぼろと流していた。 「泣くな……口、押さえててやるから」 「むっ……ぅン……」  後ろから大きな手で顔の下半分を覆われた。ゆっくりだった景虎のピストンが、次第に速くなってくる。内壁を強く抉られる。重くて痛い、気持ちいい。緩んだ口元から涎が出て、それが景虎の手のひらを汚す。  恥ずかしい、声も物音も立てられない状況で集中できないのに、射精欲だけが上がってどうしようもない。 「ぎぅ……、ふ、ぉ……ぅぐっ」  尻をぐっと広げられて、深く挿れられた。掻き回す動きで中の壁全部、景虎の太いペニスでくまなく探られる。圧倒的な質量が、身体を串刺しにしている。  尻たぶを開かれたまま奥を突かれて崩れ落ちてしまいそうなのを、ドアに手を突っ張ってどうにか耐える。薄いドアを隔てた向こうで、自分を探している奴らがいる。にも関わらず、情けなく尻を突き出させられて犯されている。庄助は、恐怖と混乱と屈辱でもうわけがわからなかった。 「猿で思い出したけど、俺、猿の脳みそ食べたことあるヨネ」 「え、さすがウーヤさん。それ中国では普通のことなの?」 「いや~、普通ではないだねえ。でも濃厚でシラコみたいだヨ、命の味だね。食い終わる頃には猿もクタッとなっててさ~」 「待ってそれ、生きたままなんだ……!?」  口を押えられたまま気持ちいいところばかりを引っ掻かれて項垂れながらも、庄助はグロテスクなやり取りに耳をそばだてていた。辮髪に捕まり生きながらに脳を食われる想像をして、吐きそうになった。  そうして大人しく犯されている庄助に気を良くした景虎は、背後から服越しに、庄助の乳首に爪を立てた。庄助は突然の胸への刺激に息を呑む。刺すような痛みとそれを上回る快楽に、視界を真っ赤に塗りつぶされる。

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