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第三幕 七、脳まで愛して⑩*
「んぎ……! んぅ、ゔぅ……ん……っ」
庄助はもうこれ以上余裕がないといった表情で、肩越しに見上げてきた。まぶたの際に涙をいっぱいに溜めている。
景虎は背筋が震えるほど興奮した。こんなに蹂躙して泣かせても、まだ足りない。もっといじめて色んな表情を見たくなる。景虎が熱い口の中に、左手の中指を差し入れると、尖った犬歯がガジガジと噛み付いてくる。まるで小さな動物のようだ。
「ふふ、いいな。そのまま噛んでろよ」
「ゔゔ~~~っ!」
散々弄り回した庄助の乳首を、空いた方の手でもう一度摘むと、尻の中の肉がぴくぴくとうねる。掌を開き親指と中指を使って、左右同時に刺激してやると、噛む力は弱まり代わりに吐息が漏れた。
「ん……ふぅっ、ゃ、ゃめへ……、そこっ、ひくびは、厶、りっ……」
「無理じゃないだろ? ケツにぶち込まれながら、乳首でイってみろ」
「はっ……や……っあ、ンひぃ……!」
景虎は腰の動きを停止し、ひたすら庄助の胎内のうねりをペニス全体で堪能する。乳首を指の腹でくりくりと丹念に転がすと、庄助は太ももをぎゅっと締めて、背筋を震わせた。
雁首の太い部分が前立腺に食い込んでくる。括約筋を締めるたび、乳首のむず痒い感覚が大きくなって、首筋から耳の裏を駆け上がる。
「……やぁ、いぐ、出るっ……ぅ……ぁ」
庄助は絶頂した。精液は弧を描くように勢いよくドアを汚し、地面に伝い落ちる。力が抜けてずるっと落ちそうになる身体を、景虎が支えた。知らない類の絶頂に、鳥肌が止まらない。
「一回解散するか。俺このあと夜からまた案件だから」
「あそ? 気をつけてヨ……人を痛めつけるのはタノシーだけど、それに夢中になったら足がつくから。ふふ」
二つの足音が遠のいていく中、庄助の足は生まれたての子鹿のようにガクガクと震えていた。
足音も声も聞こえなくなってしばらくして、ようやく沸いてきた怒りで言葉が出ない。
「行ったな。バレなくてよかった」
「お前マジで……殺すからな……は、お゙っ!?」
奥に突き入れられて、庄助は呻いた。状況を楽しんではいたが焦れていたのは景虎も同じで、やっと自由に動けるとばかりに、庄助の中をぐちゃぐちゃと好き勝手に突いた。
「がッ、あ……! やぅ……ひゃ、も、いややぁっ!」
「庄助、庄助可愛い……好きだ、すごく好きだ」
中の肉が怯んだみたいに締まると、その刺激によって景虎のペニスは硬くなる。
蹂躙される。身体も胸の中も、苦しくてズキズキ痛いのに蕩けそうに気持ちいい。
「んっン゙……あ゙ぎ、わかっ……わかったからぁっ」
「……お前が俺だけのものならいいのに」
何やこいつ。俺の身体も気持ちも、もうじゅうぶん独占してるくせに。好き好き言うだけ言うてずっこいんじゃ、ふざけんな。
行き場のない気持ちに身を焦がしているのは、景虎だけじゃないのに。失うのが怖くて言葉にできなくて、そんな自分の卑怯さが嫌になっているのに。庄助の目の奥が熱くなる。
「おまえ、ほんまアホ……っ! あ……っひぅ゙、はげしすぎ……っ、死ぬ……っ!」
景虎の呼吸が速くなる。絶頂が近くなると、小さく漏れ聞こえる景虎のかすかに呻くような声が好きだ。庄助は、景虎の頬に頭を擦り付けた。
「か、げぇ……。ぐ……っ、気持ちいい、きもちいいからっ……お前とするの、ヤじゃない……だから」
「庄助……っはあ、はっ……」
ギリギリまで引き抜いてから、長いストロークで何度も庄助の気持ちいいところを狙って打ちつける。庄助はそのたび、ひっそりと何度も射精のない絶頂を享受している。疲労と充足で意識が飛びそうになる。庄助の泣き声は次第に弱くなっていった。
「なか、ナカで……出して」
そう絞り出すように言った庄助があまりにも愛おしくなったので、ダメ押しとばかりに乳首に爪を立てた。
声にならない声をあげて精液を吐き出す庄助の温かく収斂する体内に、景虎もまた全てを吐き出した。
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