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第三幕 十四、艱難、汝を✕✕にす⑧*
「違うところ? どこがいいんだ?」
「あ……っぁ゙! い゙、あ……! もう挿れて……っ! 挿れてほしいっ!」
恥も外聞もなく言ってから、軽く潮を吹いた。自分のペニスが震えて、尿とも精液ともつかない液体を吹き上げるのを目の当たりにするのは、なかなか精神的にくる。
そして、潮を吹いたからといってどうなるものでもない。ただ熱くて不快に限りなく近い大きな快感が、腰と陰茎の先端にずっとわだかまるだけだ。
「なにをどこに挿れるのか、ちゃんと言え」
嗤う吐息が、頬にかかる。庄助は夢中で求めた。解放されたくて、媚びた。でもこれは負けではない。ここで音を上げさえしなければ、本当に景虎は認めてくれるかもしれない。
腹の中を掻き回されるのもそれは辛いが、亀頭だけに断続的な刺激を与えられるよりもずっとマシだ。
「カゲのちんこっ、俺のナカに……っあ! い、挿れて……犯してっ!」
泣きながらそう言ったとき、静流に言われた台詞を思い出した。男に媚びるのが上手くなったと。本当にそうだ、なにもかも景虎のせいだ。自分がこんな身体になったのも、全部景虎が悪い。
言わされた屈辱で真っ赤に染まった顔で見上げると、景虎は薄く微笑んで、庄助の頬の涙を唇で吸い取るように拭った。そして、
「あとでな」
と、無慈悲な四文字を吐いてまたぞろ、ガーゼをぬるぬると動かし始めた。
「お゙……っ」
快感と恥辱で神経が焼き切れる。景虎はやめてくれなかった。恥ずかしい思いをして口に出したのに、だ。
ぶるぶると太腿が痙攣する。庄助はまた、汗みずくの髪を振り乱して喚き始めた。
「辛かったら諦めろ、ヤクザの世界は厳しいからな……覚悟が足りなくて降参しても、誰も庄助を責めないさ」
ヤクザになることと、ちんこをローションガーゼで擦られること、なんの関係があんねん。嘘つけ変態、卑怯者。
そう罵りたかったが、景虎の言葉は今の庄助にとっては甘い誘惑だった。ここで降参したら、この辛さから逃げられるかもしれない。
景虎は大人しくしているぶんには優しい。もうヤクザの仕事なんてしない、認めてほしいなんて言わない。そう言えばガーゼでいじめるのはやめてくれると思う。たくさん我慢したあとは、慰めるみたいに抱いてくれるはずなのだ。けれど。
「ゔ、うぐ……っ、降参したぐ、ない゙……っ! したくないぃっ! イヤや゙ぁ゙っ!」
近所に漏れたら通報されるんじゃないかというほど、悲痛な声だった。顔から肩まで真っ赤になって庄助は叫ぶ。
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