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第三幕 十四、艱難、汝を✕✕にす⑨*
「強情っぱりなのか、ドマゾなのかどっちなんだ、お前は」
「どっちでもないっ! 俺は、ちゃんとカゲに認めてもらいたいだけやっ……! お、織原のとらっ……の、相棒になりたいだけえっ……! んいいっ……!」
「……バカだな、ほんとに」
呆れたように笑う景虎の手の甲に、ぷしぷしと小刻みに吹いた潮がかかる。ぺろりと舐めると、ほんの少し塩辛い。庄助から出たと思うととても愛おしい。もっと味わいたくて、景虎はゆっくりと撫でつけるように布を動かした。
「はあ゙っ、ぁ゙、あ゙~~っ! や、もう、ひぎゅ、ひ……っ、お゙、んっ……あかんっ! もうあかんのっに、あ゙! あっあ! しぬ、死ぬっ! い゙っぎいィ゙~っ……!」
足先を丸めて腹をうねらせて、そのたびに尻の中のバイブを締め付ける。ドライで軽くイっているようないないような、もうどっちだかわからない。ばちばちとスパークする脳みその裏を見るように、庄助の目玉がぎゅるっと上を向いた。
ほんの一瞬気絶していたそのわずかな間に、手首のバンドはいつの間にか解かれていて、腹の上や尻の下のマットが潮だか尿だかでびしょびしょに濡れていた。記憶は飛んでいるのに、息だけが上がっている。
脱力する庄助の足を揃えて抱え上げると、景虎は興奮を隠しきれないと言った口調で呟いた。
「もっと泣くのを見たいが、俺もそろそろ限界だ」
「はふ、はひ……っ! んやぁ……」
肉の中に沈んでいるバイブレーターを、景虎が引き抜いた。庄助はびくびくと身体を弓なりに反らせて、久々に自由になった手でソファベッドのマットを掴んだ。エアコンの風で、フェイクレザーの縫い目に溜まる体液が冷えていく。
「いい感じに緩んでるの、わかるか? 蕩けてナカが熟れて、美味そうだ」
感心したように言うと、景虎は抜いたはずのバイブをもう一度挿入した。
「あが……っ!?」
景虎の言うとおりに中は柔らかく、そこそこの質量のあるバイブを簡単に咥え込んだ。スイッチを切ったまま奥まで入れて、ちゅぽんとわざと音を立ててまた抜かれる。完全に抜かれて一瞬閉じた粘膜に、まるでやり直しのように出し入れされるのは辛くて恥ずかしかった。
「やっ、あっ……! それいややぁっ、あ゙、んんあっ」
ぬちぬちと湿った音を鳴らして咥え込む縁を、景虎はそっとなぞった。バイブの根に圧をかけて前立腺を押されると、すぐにでもイってしまいそうだ。それくらい身体の中の熱が高まっている。
「なあさっきの……もう一回言ってくれ」
揃えて抱えられた腿の向こう側、景虎の顔は見えない。バイブレーターを焦らすようにゆっくりと出し入れしながら、少し甘えたような声で催促してくる。こんな時でもきっと、景虎の顔は嫌味なほどキレイに違いない。腹が立つ。
「さっきのて……なんやっけ」
「とぼけるならもう一回ガーゼで磨くぞ」
「や……っ、わ、わかった。もうアレはいややっ! カゲ……カゲぇ」
庄助は涙声で、景虎の身体に脚を絡めた。やはり、いつもより熱い。
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