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【番外編】庄助の有意義な休日⑦*
「はひ……」
イキまくって弛緩した身体を横たえるように押し倒された。たてつづけに荒い息を吐いて、真っ昼間の明るい天井を見上げる。のんびりした一人の休日のはずやったのに、なんでこんなことになってるんやっけ。
ガタンとキャビネットの引き出しを探る音のあと、ソファベッドのスプリングがたわんで、視界から消えていたカゲがのしかかってくる。
「は、ん……んんっ、ふ……ぉ」
唇と唇がくっついた瞬間、脳みそが喜ぶのがわかった。頭がピンク色のハートマークいっぱいに埋め尽くされるみたいに、ご主人様に尻尾振る犬みたいに、嬉しい気持ちが胸の中でぱちぱち弾ける。
「ぅンっ、んはあっ、カゲぇ……」
俺、こいつとのチューがめっちゃ好きなんやって最近気づいた。首に腕を絡ませて、夢中で応えて、こちらからも貪る。熱い唇がくっついては離れて、そのたびジンジン痺れてくる。顔にかぶさってくる前髪の感触も匂いも、全部好きでドキドキする。
カゲのチュー、舌の味とか飲まされるぬるい唾液とか、もう全部良すぎてあかんようなる。おいしいわけないのに、甘くすら感じる。
キスの間にもうカゲは、もどかしげにワイシャツを脱いでしまって、そうしたらいつもの刺青があらわになる。
きめ細かくて白い肌の上の、赤い牡丹の花、いかめしい虎の顔。割れた腹筋に分厚い胸板、男から見ても惚れ惚れするくらいの、俺の憧れの極道の、めっちゃええ男。
「ちゃんと、俺に犯されること想像してイったか?」
……これで変態じゃなかったら完璧やったのにな。ローションをまとった指が尻の中に侵入してきて、俺の身体は勝手にびくびくと震えた。
「そんなわけ、ないやろ……あっ、はぅ」
「素直じゃないな」
そのとおり、ほんまに俺は素直じゃない。
せめてもの抵抗で、拒むみたいに締めつけると、カゲの指の節を感じる。
入り込んだ指は滑らかに肉をまさぐってきて、すぐにそこを探り当てられる。慣れた手つきでしこりを圧迫されると、じわっと、だけど明確な性感が骨盤をひと巡りした。
またキスされながら指を抜き差しされて、俺のとろけそうな甘い声は、カゲの口の中に吸い込まれていった。
やがて胎内は柔らかく異物に馴染んでゆく。カゲに慣らされて教え込まれた身体は、その先の圧倒的な気持ちよさを憶えていて、待ちわびている。
吸い付く粘膜から指を抜いて、カゲは自分のスラックスの前を開けて、ゴムを着けた。すでに上を向いている凶悪なソレは、温くてデカくて、いつものことながらおそろしい。
子供の手首くらいはゆうにある太さのペニスが、自分の体内を出たり入ったりしている事実が、未だに信じられない。
「ゥ……ぐ、ンンぅ~~っ……」
ぎゅうっとした圧痛のあとに、頭が入り込んでくる。繋がった箇所の血管が、俺のかカゲのか、もうわからんくらいにドクドク脈打ってて、そこだけ別の生き物みたいだ。
「はぁ……っ、気持ちいい。庄助のナカ、熱い」
カゲの言う通り、ナカは燃えるみたいに熱かった。時折ぴくんと、拡がった穴の縁の筋肉が勝手に動く。何度セックスしていても毎回、カゲのデカいのが奥まで届くころには、俺は息も絶え絶えになっている。
「やっ、あっ……」
コンコンと奥を小突かれて、目の端に涙が浮いた。カゲは俺の顔の脇に手をついて、ゆっくりと腰を動かし始める。抜けてしまわないように、無意識に自ら腹を丸めて腰を浮かせていることに気づいて、恥ずかしくなってしまう。
「痛くないか?」
見下ろしてくるキレイな顔が、珍しく心配そうな顔をする。そもそも挿れるとこやないねんから、ヤッてる間中うっすら痛いっちゅーねん。それ以上に気持ちいいから許してるだけでやな……。
「ふふ、汗いっぱいかいてる」
カゲは、俺の額やこめかみの毛をかき分けて、わざわざ汗ばんでるところにキスしてくる。ほんまに、変態で嫌になる。
「いいから、も……っはやく」
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