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【番外編】ミーツ・シーオッターズ・ハッピーラブ・ジャーニー⑨*

「う、うっ……ンく、へぅ……」  口の中いっぱいに景虎の陰茎を咥えて、庄助は呻いた。太い先端に舌の根を潰されては、咳き込む酸素が入る余地もない。異物を押し出そうと喉の筋肉がうねる性感に、景虎は小さな息をついた。 「こ……ォ……」  ぐっと腰を浮かせて、二度ほど口蓋垂のずっと奥まで押し込むと、庄助は景虎の太腿を叩いてギブアップの意を示した。涙か涎かわからない、温い液体がぱたぱたと景虎の下腹に落ちる。  ずるんと口の中から引き抜くと、景虎のそれはさっきよりもずっと、硬度と大きさを増していた。 「で、かくなりすぎ……」  荒く息をつく庄助の濡れた唇に、硬いペニスの先端を押し付ける。ぷくぷくと溢れるカウパーを塗りつけると、まだしゃぶろうと赤い舌を出すのが愛おしかった。 「エロ……」  あられもない庄助の姿に、精液が急速に尿道をのぼってくる。景虎の息が上がってくるのに合わせるように、庄助の胸の鼓動も早くなった。 「庄助の中に挿れたい」  言葉通りに、景虎のペニスがビクンと跳ねる。指を入れたまま尻たぶごと揉み込むと、穴の入り口で捏ねられたローションがいやらしい音を立てた。もはや庄助は自分から愛撫をする余裕などなく、景虎の下腹に顔を擦り付けて、ただ頷いた。 「後ろからでいいか」 「……勝手にせえ」  体位を変える際に、庄助の白い腹の上部が、ミルクを飲みたての仔猫のようにぽこんと膨れているのが見えた。食べたものが、まだ消化されきっていないのだろうか。胃のあたりを指先で撫でながら、景虎は庄助の顔を見て言った。 「中には出さないでおく。明日、帰りの新幹線で腹が痛くなったらかわいそうだからな」 「お前、ほんま最悪や……」  庄助は呆れ果て、がっくりと項垂れた。ブリスターパックのコンドームの蓋を引き開けると、景虎は慣れた手つきでそれを装置した。 「……うぎゅぅ、はぐ、ゔぅうっ」  背後から腰を押さえつけて、肉棒を埋めてゆく。獣みたいな鳴き声が、景虎の情欲をかき立てた。  輪っか状の括約筋が、竿を何段階かに分けて締めてくる。根元のあたりまで胎内に侵入を果たすと、馴染むまで動きを止めた。庄助の直腸の壁を、どくどくと血が巡っているのがわかる。  布団の上でくちゃくちゃに波打つシーツを、庄助の手が握りしめている。景虎は、庄助をバックで犯すのが好きだ。交尾みたいで燃えるし、まっさらな背中がいつも美しいから。 「はあ、はあっ、あつい……ぅ、っン」  挿れたまま、うなじを舐めた。ほんの少し根元の黒が出てきている金の髪の、知らないシャンプーの匂いを吸い込みながら、盆の窪に舌を這わせ、時たま肩に噛みついた。 「カゲ……っ、もうはやく……」  焦らされるのが苦手な庄助が、腰をくねらせる。いつの間にか彼は、自らこんなことを言うようになったのだ。景虎がその手で仕込んだとはいえ、感慨深いものがある。  腰骨を掴むと、いきなり長いストロークで叩き込む。つるりとした直腸の内壁の、腹側のしこりを狙ってガツガツと掘削した。 「あっお゛っ、お……いぎなり、そんなっあ、っぎ」  後ろから手を回して、庄助のペニスに触れる。二度目の射精を待ちわびているかのように、そこは硬く立ち上がっていた。 「勃起してる。俺のチンポ、待っててくれたのか」 「あっ、や……! ちがう、ちがっ……! ちんこ触んの、一緒にやるのあかんっ……」 「あかんじゃないだろ? いつもみたいにハメられながら潮吹いてみせろよ」  粘つく亀頭を手のひらで包むと、ぐりぐりと擦り扱く。悲鳴とともに庄助の身体が跳ね上がり、景虎の手を退かそうと手首を掴んだ。無駄な抵抗に終わることを、経験でわかっているはずなのに。 「いつもじゃないわっ! ボケナス、ハゲッ、ほんま嫌いや!」 「ふふ。俺は、口が悪くて生意気な庄助が大好きだ」  庄助の両腕を背後に引っ張り、手綱のように掴む。不安定な膝立ちになったところへ、腰をばちんと打ち付けた。 「ひお゛……」  庄助の息が一瞬止まり、それと同時に胎内が痙攣のようにピクピク動いた。景虎は、それがナカイキの前兆だということを知っている。庄助の身体は快感に正直で、すぐに絶頂しようとする。健気だ。  腹側をペニス全体で押し潰すように、存分に圧迫したあと、ゆっくりと抜いていく……フリをして、もう一度勢いよく突き込んだ。 「んぎゃっ! ぐぅ……! うっぅ゛、うあ、あっ……!」  不規則な快感に揺さぶられ、鳴く。何度か最奥を突いたところで、庄助はふるふると身体を震わせ、肩から崩れ落ちた。

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