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第四幕 十六、飢えと慕情⑤*

 フローリングの上に服やタオルを放ってしまって、あとは裸の身体が残るだけ。庄助の柔らかい直腸の中を、硬く膨張した景虎のペニスがゆっくりと往復する。  自らのものとまったく違う猛々しさに息を飲んで、庄助は恐る恐る、脈打つ幹を締め付けた。  腹の中の陰茎がびくんと跳ね、景虎の唇から小さなため息が漏れる。その反応の糸口を辿るように、庄助は括約筋を使ってナカを動かした。粘膜と粘膜が密着する。裏筋に走る血管の形すら、分かってしまいそうだ。 「あっぁ、やば、めちゃデカなってきた……興奮しすぎ……」 「お前がきゅうきゅう締めるから……それに、もうこういうふうになってるんだ、俺は」  お前の匂いを嗅いで、肌に触れて、そうしたらすごく興奮して、勃起するんだ。  荒い息の間にそう漏らす景虎の言葉はいつも正直で、庄助はクラクラした。意地を張っているのが馬鹿らしくなるくらい、好意や性欲を隠さない。  この人に自分をまだ好きでいてほしい。  気持ちを真っ直ぐに返せないくせに、自分勝手にそう思う。 「んんう、あっ、カゲ……」  何度目かわからない、噛みつくようなキスの間も、懲罰室の風景が何度もフラッシュバックしていた。性感と嫌悪がごっちゃになって、何も入っていない胃の中に吐き気がわだかまる。  それなのに、景虎に触れられていると興奮が勝り、ペニスはどんどん硬くなって濡れてくる。  身体は正直で、心は薄情だ。強い刺激による、情報の上書きを求めている。 「ほら、自分で挿れて……動いてみろ」  体位を変える際に、景虎のペニスは身体から出ていってしまった。抜ける衝撃に呻くも、景虎に手を引かれて、寝そべる彼の腹の上に体を乗せられた。庄助は言われた通り膝立ちになると、今杭が抜けたばかりの肛門にゆっくりと、それを沈み込ませてゆく。  いくら慣らされていても、ちっともすんなりとはいかない。相変わらず圧倒的な質量で、骨盤までが悲鳴をあげる。喉の奥に声を詰まらせて、潰れたように唸る。 「入ったら足を立てて、ケツの穴が俺に見えるように開くんだ」 「クソぉっ……」  圧迫感に吐きそうになりながら、景虎のものを根元まで埋めると、言われるままに重心を後ろにして開脚した。ペニスが完全に立ち上がっているのが、自分でもわかる。それに引っ張られた陰嚢も持ち上がっていて、もはやその奥を隠すものもない。  まるで元から性器であったような扱いを受けてばかりの排泄孔が、明るい昼の光の下に晒されて、庄助はゾクゾクと震えた。 「庄助、剥き出しのケツの穴で俺のチンポしゃぶってる。本当にいやらしくなったな」 「や……っ、ああっ、おまえが……っやれって言うたくせに……」  そうだ、景虎がこんなふうに心も身体も作り変えたくせに。ぶち込まれて掻き回されて音が鳴って、その淫靡さに戦慄するようにしたくせに。   「ん……っカゲ、っひ、んんっ」  景虎の腿に手をついて、小さく腰を揺する。前立腺からじんわりと広がる性感に、思わず息を呑んだ。重力に従い流れ落ちたカウパーが、大きく口を開かされた肛門にまで垂れてくる。 「エロすぎだ……」  景虎のものを咥え込んだ縁をなぞられ、足の指を内側に力いっぱい曲げて、庄助は耐えた。 「ふぁ、うっ……もう、見んの……やっ」 「したいこと、していいんだろ?」  不意にナカを突き上げられて、痛みと快楽で目の裏が白く弾けた。 「あ……っ、あぐ、んひぅっ!」  狭い肉の壁を掻き分け、膨らんだ前立腺を削られると、身体の中の神経が一気に手を繋いで、庄助を絶頂へ連れてゆこうと加速する。穴全体がひくひくと蠢くのが自分でわかった。 「お、っ……んぅ、あっあっ……ふぎっ」  中を気まぐれに浅く深く貫かれ、ペニスの皮を剥かれては先端だけを指先でぐりぐりと嬲られる。その間も足は広げたままだ。恥ずかしさが極まってとっとと絶頂したくなるのに、焦らされて涎が出る。 「こんな拡がって……庄助のケツの穴、もう元に戻らないかもな。女も抱けなくなって、そうしたらずっと、俺専用の身体になるな」  そんなふうに言われたら、わけもなくドキドキする。でもきっと、単純な射精ではもう満足できない身体なのかもしれない。 「カゲのアホっ……ふみ゛ゃあ、ィっ……やあっ、はやく、はやくぅっ」  焦れったさに、内壁が勝手に蠢いた。 「自分で動けよ、このエロい穴で俺の精液、搾り取ってみせろ」  動きやすいように身体を前に倒す。景虎の太くて長いペニスが、腹の奥まで入っている圧迫感に、庄助は思わず呻いた。 「あっ、あっ……は、くるし……」  自分で動くのに慣れていなくて、ペニスと穴の隙間からどうしても空気が入る。出し入れのたびに、ぐぽぐぽと恥ずかしい音がした。  景虎の引き締まった腹に必死に手をつく。腹部の白く薄い皮膚を走る、景虎の血管の青の美しさに、庄助の頭はくらくらした。

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