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【番外編】しょこら姫と、反社のプリンスさまっ!☆ぼ〜なすとらっく★②*

 キスで目覚めるのが白雪姫で、0時に魔法が解けるのが、シンデレラ。髪の毛が長いのがラプンツェルで、それでエルサは……エルサ? アナ? あれ、どっちが女王やったっけ?  脳の芯が熱くて、頭が全然働かない。シャンパンはよくない、甘くてのどごしがよくてたくさん飲めるから、気づいたら足にきている。内腿が、小刻みに震えた。  庄助は、まだ眠りたくなかった。  今日は、珍しい誕生日だった。初めてホストに盛り上げられ、初めてシャンパンタワーをやった。向田にまで(渋々だが)祝ってもらえるとは思っていなかった。国枝のはからいが、嬉しかった。  こんなに盛大に祝ってもらってもなお、物足りない。何が足りないのか、庄助にはわかっていた。バカ騒ぎにはしゃいでも、今日が終わる時にそばに居てほしいのは、ただ一人だった。 「あ、あ……っは、ぁ」  酔って感覚は鈍いはずなのに、あられもない声だけが喉から勝手に漏れた。ベッドに波打つタオルケットが、発熱しているときのように視界のなかで霞む。  せっかく着たパジャマのズボンは、すでに脱がされた。ソファベッドにうつ伏せに腰だけを高く上げた状態で、庄助は景虎に、後ろから尻を弄られている。  おかしい。景虎はついさっき姫の願いを叶えると言った。しかし庄助が望んだのは、こんなふうに暴かれることだっただろうか? 抱いてくれだなんて、酔っていても滅多に口に出すタイプでないのは、景虎がいちばんよくわかっているはずなのに。 「こ、んなんっ……してくれって言うてな……っのに、あっ! うぁ、ぉっ……ひぃんっ」  アルコールのせいか、庄助のそれは完全には硬くなりきらず、腰をくねらせるたびに太腿の間で頼りなく揺れていた。 「どうしてだ? まだ眠りたくないんだろ? お前の望み通り、起こしてる」  庄助の後ろを覗き込みながら、景虎はこともなげに言う。臀部の膨らみをかき分け、むき出しになった小さな孔を、指で丹念に愛撫している。 「あ、アホかっ! やり方っちゅーもんが……お、ひッ……」  わざと音を立てるように、空気を含むように、景虎は二本の指を出し入れしながら、曲げたり伸ばしたりを繰り返した。ゆるく圧をかけながら、前立腺を揺するように押され、ローションまみれの穴から、ぐちゃぐちゃと粘着質な音がする。庄助は、あまりの恥ずかしさに顔をそらした。 「んや、っ……あかん、それ、音が……っ」  二本差し込んだまま、ナカで指を開かれた。閉じていたところをゆっくりとこじ開けられ、ひときわ湿った音が鳴った。ナカの粘膜に馴染んだローションが直接外気に触れ、冷えてゆく。ぱくぱくと、口を閉じようと穴がひくついた。 「あぐ、カ……、カゲ、もう」  指を増やされて、捻り込まれる質量に庄助の喉が鳴った。そのまま、半勃ちのペニスを指先で摘まれた。剥け切っていない包皮ごと、くにくにと揉んでくる。 「やめるか? 嫌ならしない」 「んん、ん……っ」  嫌ではない。誕生日の締めに、景虎に抱かれるのは悪くはない。が、言葉にすると全部負けたみたいで、庄助は唇を噛んだ。  指の動きを止められると、育った熱がもどかしく腹の中にこもっているのがわかる。景虎が、姫、と掠れた声でつぶやき、尻たぶに小さなキスを落とすと、庄助はシーツを掴んで頭を振った。 「姫のお願い通りにする。やめてほしいなら、抜く」  優しさに見せかけた意地悪だ。こんなに昂ぶらせてからやめるなんて、庄助が快楽に弱いのを知っているくせに。それに、景虎が少し怒っているのを、庄助だって気づいている。  いつも他の男に触れさせただのなんだので、すぐ不機嫌になるが、やましい気持ちで触ってくるやつなんか、景虎しかいないというのに。 「どうして欲しいのか言え」  言えるわけないのに。酔ってはいるけれど、恥じらいに負けるほどには、覚めてきている。 「あ、待っ……待てや……っ!」  ゆっくりと引き抜かれてゆくのを、慌てて制した。押し拡げられていた内壁が、景虎の指の節を勝手に締めつける。 「ちゃうねん、いきなりその……っ、抜いたら、びっくりするやんけ。せやから……」  肩越しにそっと伺うと、いつもと変わらない無表情な美貌と目が合ったが、景虎は何も言ってくれなかった。 「な……なんか、喋れや」 「わかった。気づいていないだろうが、お前には尻の穴と金玉の間に小さなほくろがあるんだ。こうやって後ろからいつも」 「だーっ⁉ なんの話をしとんねん!」 「何か喋れと言っただろう?」  本気で心外だとでも言わんばかりに、景虎はわずかに眉根を寄せた。いつもより着飾っていても、こんな時に天然ボケを発揮するのは相変わらずだ。確実に酒のせいだけでなく、頭が痛かった。 「……あぅ、んっ」  骨盤が甘く疼く。物理的に刺激がほしいだけじゃない。くっつきたい、潰れるくらい抱きしめてほしい。そう思うのに、強情な心はブレーキを踏み続ける。 「ふふ。ワガママな姫のせいで、指がふやけそうだ」  中の指をゆるく動かされて、鳥肌が立った。景虎とセックスするまで知らなかった感覚。身体全体に広がって底が抜けてゆくような、内側から生まれる恐ろしいほどの快感の予兆に、庄助の喉からくぐもった声が出た。 「……ぐぅ、ぅ……! クソ、お前が……やりたいだけの、くせにっ」 「俺がやりたいかどうかは関係ない。今日は、お前が主役だから」  詭弁だ。景虎は、庄助に言わせたいのだ。自ら求めさせて、溜飲を下げようとしているのだ。乗ってやりたくないという気持ちと、プライドを捨てて屈したら、心身ともに気持ちいいだろうなという気持ちの二つがある。  頭が煮える。恥ずかしい、触れてほしい、悔しい。これらをまとめて伝えるための言葉を、庄助は持っていなかった。 「カゲのアホ。もう、イケズすんな……」  熱い息とともに、ようやく吐き出した言葉は、景虎の王子様の仮面を剥ぎ取るのに十分な破壊力だった。

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