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第27話

「そうだ、星空ツアーまだ間に合うかな」  いそいそと出かける準備を始めようとする七凪を岳はそっとベッドに押し倒した。 「ツアーはもう無理だよ。天文台の入場券はあるから後から二人で行こう。それより七凪、俺、もうその気満々なんだけど」  岳は七凪の手を取ると、自分の中心に持っていった。  服の上からでも分かる、熱く固い岳の昂りに触れ、七凪は一瞬身体をこわばらせる。 「まさかこっちもキャンセルしないよな」  七凪の耳が縁まで染まる。 「なんか岳、おっさん臭い」 「なんとでも言えよ」  岳は七凪の赤い耳たぶを噛んだ。 「ね、ねぇ」  七凪は岳をそろりと押し返す。 「なんだよ」  焦れたように岳は聞いてきた。 「今さらだけど、やっぱ俺がその、される方なんだよね」 「逆なんてありえないだろ」  当然と言わんばかりの岳の物言いに七凪はチクリと男のプライドを刺激され、唇を寄せてくる岳から顔を背けた。  岳はすぐに七凪の機嫌の変化を察したのか、甘く懇願するように囁いてきた。 「七凪を抱きたいんだ、お願い、優しくするから」  ぬれた熱っぽい視線で見つめてくる。  七凪も今の言葉を本気で言ったわけではない。  今度は別の理由でこれから起こることを一分一秒でも遅らせたくなっただけだ。岳に抱かれることを覚悟はしていたが、いざとなるとその覚悟が後ずさりし始めたのだ。 「そ、そうだ、晴れて俺らの両想いは本物だったわけで、だったら何も今夜しなくて今度でもよくない?」  岳は七凪を諭すように言った。 「七凪、七凪が嫌だって言ってももう無理だよ、言っただろ、地の果てまで追いかけて行っても七凪を俺のものにするって。七凪、ここは日本の最南端だから、もう逃げ場はないよ」  そう言って岳は七凪の顎を掴むと有無を言わせず深く口づけてきた。  七凪はわずかな抵抗はみせたものの長い濃厚なキスに頭の芯がとろけていく。  そうだ七凪、もう逃げられない、覚悟を決めろ。  岳の舌が七凪の口内でそう語る。  岳は七凪の額に、頬に、首筋に、キスをばら撒きながら、するすると七凪の服を剥ぎ取っていく。  七凪の最後の一枚を取りさると、自分も同じように一糸纏わぬ姿になる。岳のギリシャ彫刻のような身体の中心はすでに限界まで張りつめ、先端が濡れて光っていた。  同じ男同士でも、目のやり場に困った七凪はあたふたと視線の置き場を探す。 「七凪……」  岳はふわりと七凪を抱きしめた。  お互いの肌が吸いつくように合わさる。しばらくそうして抱き合った。  岳の昂りが熱く脈打っているのが七凪自身に伝わってくる。岳はその逞しい身体つきと岳自身の雄々しさとはおよそ似つかわしくない繊細なタッチで、七凪の全身に愛を伝えてくる。 「七凪、好きだ」  七凪の身体に口づける度に、そう囁いた。  愛の告白とキスの雨で七凪はトロリと溢れる。  岳の舌に胸の突起を捕まえられると甘い疼きが走り、うわずった声が出そうになり、自分の指を噛んだ。 「七凪、声、我慢すんなよ、聞きたい」  岳は七凪の手を掴むと指を絡ませてきた。  まるで声を催促するように岳の舌先は、胸の桜の蕾を弄ぶ。強く吸われ背中がそり返るとそのまま腰を抱かれ、音を立てながらもっと強く吸われた。  切ない喘ぎ声が漏れると、岳の張りつめたものが反応して、ゆらりと頭を揺らした。  いつの間にか固く膨らんだ七凪のそれが、ここも触れてほしいとヒクつく。 「七凪、自分で触って見せてくれよ」 「や、やだ、恥ずかしいよ」 「お願い」  半ば強引に岳は、七凪の手を七凪のそれにあてがった。七凪は仕方なく手を動かし始める。 「すげぇエロい、興奮する」  岳の呼吸が荒くなる。 「この変態」  七凪は羞恥で枕に顔を押しつける。

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