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第6話 とんでもない報酬

アンドルーさん達にこの真っ黒ワンコが倒したんだ……と説明しようとしたものの、肝心の真っ黒ワンコはついさっきまで傍にいたのにギルドから出たらいなくなっていた。 仕方がないから口で説明することくらいしかできない。でも、そもそも僕みたいなもやしっ子がこんなA級魔物を倒せる筈もないし、死んでる魔物の傷跡からも、僕は薬と魔術でサポートしただけで、倒したのは真っ黒ワンコだっていう僕の主張は理解してもらえたみたいだった。 それでも真っ黒ワンコがすでに姿を消した以上、報酬は僕に支払われる。 ギルドに戻って今まで手にした事もないような莫大な報酬を貰った僕は、文字通り震え上がった。 こんなに、すごい報酬もらえちゃうの……!? 素材を納入したって薬を納入したってこんな額は想像すらできない。ギルドから出た僕は、しばし呆然と立ち尽くした。だって、こんな大金手にした事ない。 なんか持って歩くのも怖い。 いや、ほとんどはギルドに預けたんだよ? でも、ちょっとくらいは贅沢してもいいかなって思ってお給料の倍くらいのお金だけは現金で貰ったんだ。 それだけで持って歩くのが怖い僕は臆病なのかもしれない。 本当はあの真っ黒ワンコにも報酬を上げたいんだけどな……っていうかあの真っ黒ワンコ、いつの間にかいなくなってたけど、干し肉なんかじゃなくてせめてもっといい肉食わせてやればよかった。 「わふ」 「お前……っ」 いつの間にかいなくなってた真っ黒ワンコが、いつの間にか目の前にいた。 めちゃくちゃドヤ顔してる気がする……! でも、それは置いといて、と僕は声を張り上げた。 「アンドルーさん! アンドルーさーーーん!!! 真っ黒ワンコいましたー!!!」 「なにっ!!???」 ところがだ。アンドルーさんがギルドから出てくるよりも早く、真っ黒ワンコが姿を消す。 「あーっ! いなくなった!」 「なんだと!?」 「今いたのに! ドヤ顔してたのに!」 「なんだそりゃ」 アンドルーさんが笑いだす。 いつ見ても笑い皺が優しそう。ちょっとタレ目が色っぽくって、整えられた顎髭がダンディなアンドルーさんにちょっと見惚れてしまった。解体や鑑定の腕はS級冒険者でも一目置くほどだって噂なのに、僕みたいなぺーぺーの冒険者にも優しいアンドルーさんは僕の憧れの人でもある。 かっこいい。 僕もこんなダンディな大人になりたい。 「ま、あんまり人前に姿を見せたくねぇのかもな。でもラスクの前には現れるのなら、ラスクには気を許してくれてるんじゃねぇか?」

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