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第34話 【ディエゴ視点】今が攻め時?

嬉しさで勝手にしっぽがパタパタ揺れた。 感情が丸わかりでちょっと恥ずかしいけどどうしようもない。それにどっちかって言うと、しっぽよりも前の昂りを抑えるだけで精一杯だ。 「ディエゴ……ディエゴ!」 ラスクが切羽詰まった声を出す。 何事かと振り返ったら、ラスクが顔を両手で覆って肩を震わせている。 「どうした? 大丈夫か?」 「しっぽ、めっちゃくすぐったい……!」 心配でわざわざ上半身を起こしたのに、ラスクときたら必死で笑いを堪えていたらしかった。俺は上裸だがラスクは薄手とはいえちゃんとインナーを着てるのに、俺のしっぽの暴れっぷりがすごくてインナーごしでもくすぐったかったんだろう。 「心配した……」 ちょっと呆れつつラスクを上から見下ろす。 俺が背を向けていたからしっぽでくすぐられまくっていたらしいラスクは、俺が体勢を変えた事でようやくひと息つけたらしい。 ふう、と息をついて両手が顔から離れ、やっと愛しい顔が見える。 近くで顔が見たくて上から覗き込んだら、涙目のラスクと目が合った。その途端、ラスクの頬にさあっと赤みがさして、ラスクが思いっきりうろたえ始める。 「うわ、うわ、うわ、なにこれ……! 視覚の暴力……!!!」 「どうした?」 「ちょ、顔近づけないで!」 どんどん顔が赤くなってくる。これはむしろ、俺をめちゃくちゃ意識していると言う事じゃないか? と思ったら攻め時な気がしてきた。 「大丈夫か? 顔が真っ赤だ。熱があるのか?」 ラスクに覆い被さって、おでこをぴったりくっつけてみる。その昔、人族はこうやって熱を計るんだと聞いた事があるからだ。昔教えてくれた人、ありがとう。 ちょっと顔を上げてラスクの様子を見てみたら、夕日みたいに真っ赤な顔になっていた。 おお、すごい。本当に熱がありそう。 「ままままま待って! 待って、ディエゴ……頼むからワンコ姿になって!」 「?」 なんなんだ。さっきは絶対に獣化するなって言ってたのに。 まぁ獣化すればラスクもなでなでしてくれるかも知れないし。そう思って言われた通り速攻で狼の姿に戻る。 「わふっ!」 いつも通りにひと声吠えたら、ラスクは明らかにホッとした雰囲気になった。 さっきまでの恥ずかしそうな顔も可愛いけど、やっぱりいつもみたいに可愛がってくれる方がいい。 元々覆い被さるような体勢だったから、ラスクの顔が近い。そのまま思いっきり顔を舐めてやる。 「うわっ! ちょ、なんだよもう」 あはは、とラスクが笑ってくれた。

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