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第39話 正気か、僕

自分の事が理解できなくて、僕はひとりで頭を掻きむしった。 ホントに!? あのワガママ可愛い狼と。あのこっちが狼狽えちゃうくらいかっこいいイケメンと。 恋人になってイチャイチャできるっていうの!? 正気か、僕。 ディエゴと恋人同士になるならばつまり、恋人同士のアレコレもきっと早々にヤる事になるに違いない。 なんせまだ恋人になるとも言ってないのに、危うくエッチな事になりそうだったし。 「無理〜〜〜〜〜〜!!!!!」 恥ずかし過ぎて悶えるしかない。 ひとしきりベッドの上で右へ左へごろごろと身悶えた僕は、枕を抱きしめながら天井をじっと見つめる。 どうしても答えを出さなきゃいけない時は二者択一。 ディエゴが居なくなってもいいのか? それは否だ。 孤児院ではたくさんの仲間がいたけど、どっか孤独で。 今はいい職場に巡りあえたと思うけど、さすがに家族や恋人みたいにってわけにはいかない。 きっと僕、本当はずっと……こんな風になんでもない事で笑いあってケンカして、愛情を与えあえる相手が欲しかったんだ。 問題は、その相手がディエゴなのかって事だよね。 「……」 けれど僕はまだ、人型の時のディエゴをあまりにも知らない。 ディエゴだって待ってくれるって言ってたんだ。しばらく一緒に暮らしてみて、答えを出せばいい。 できればあの明るいオレンジ色の瞳が悲しい色にならないといいんだけど。 そんな事を考えながら眠りについた。 *** そして翌朝。 「うわぁっ……」 僕は蔦系の植物魔物に囚われて、ぎゅうぎゅうに締めあげられるという最悪な夢を見て飛び起き……るのは無理だった。 しなやかな筋肉を纏った浅黒い腕が、僕をがっちりと抱き込んでいたからだ。 「……」 マジか、コイツ。 身じろぎしようとして半目になる。 最悪だ。ディエゴの長い両手両足が絡みついて、寝返りすらうてないんだけど。 僕多分、叫んだと思うし飛び起きようって動いた筈だよね? なのになんでディエゴはこんなにも気持ちよさそうに寝てるんだろう。獣人の危機管理能力ってどこいったの? はぁ、とひとつため息をついて僕の顔のちょっと上の方にあるディエゴの顔を見上げる。 今日もイケメンだけど、鼻ちょうちん出しててもおかしくないくらいスヤスヤ寝てるから、なんか間抜けに見えるのが不思議だ。 とりあえず、ベッドに入る時は人型になったのは偉い。 風呂も入ってるみたいだし、いいつけはちゃんと守ってる。 そこは評価してやってもいいとは思う。 朝勃ちしてるけどな!

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