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第40話 ドラゴンって言った!!!???
どうしようもない駄犬だな……と呆れる僕に、追い打ちのセクハラが入る。
「うわ、ちょ」
コイツ、またあらぬところを擦りつけてきやがった!!!
「ディエゴ! ディエゴ!!!!」
「ごめんなさい!!!!」
耳元で目いっぱい叫んでやったら、さすがに起きた。
けど、起きるなり「ごめんなさい」って、まさか分かっててやったんじゃあるまいな。
そんな僕の疑いの眼差しなんてどこ吹く風で、ディエゴは僕と目があうと、嬉しそうにニヤケた顔になった。
「ラスク……おはよう!」
「……おはよ」
「なんか機嫌悪い? 俺、すっっっっっごい! 獲物獲って来たのに」
褒めて! という顔で僕を見るけど、まずは抱きついてる両手両足と股間の危険物をなんとかして欲しい。
「抱きつき過ぎ……あと、めっちゃアレが当たってる」
「アレ? ……おお! ごめん、朝だもんな。ちょっと抜いてくる」
ええ……ものすごく普通にトイレに入ってったけど、アイツに羞恥心とかはないんだろうか。イケメンなだけに残念な感じが拭えない。
そういえばこれまではディエゴの方が先に起きてて、ご飯作れってわふわふ言いながら僕を起こしに来てたんだよね。
昨日は夜に狩りに出たから朝寝坊しただけで、本当はいつもこんな感じだったのかも知れない。
それはそれで怖いけど。
そんな事を思いながらノビをする。
抱きしめられてて動けなかったからか、なんだか身体がこわばってる気がする。
やっと解放されて動けるようになった身体で起き上がって部屋を見渡したら、なんとなく違和感を感じて、僕は首を傾げた。
……あ、そっか。
このところいつもテーブルの上に置いてあったディエゴ言うところの『獲物』が今日は置かれていない。
そこで再び首を傾げる。
でもさっき、ディエゴのヤツすごい獲物を獲って来たって言ってなかったっけ?
僕が疑問に思ったちょうどその時、ディエゴがトイレからスッキリした顔で出てきた。普通に手を洗ってることにホッとしつつ、疑問をぶつけてみる。
「ディエゴ、さっきさ、すごい獲物を獲って来たって言ってたよな?」
「ああ、言った。さっきは寝ぼけてたから忘れてたけど、入りきらねぇから外に置いてある」
「外? え、ちょっと待って……入りきらないって何!?」
「なんちゃら竜っていう、すっげぇ旨くて食い切れねぇくらいデカイ肉だ!」
「ナンチャラリュウ……? 聞いたこと無いけど、なんか嫌な予感……」
僕は慌てて上着を引っかけ、玄関の扉へと走る。
「正式名称は忘れた。でもドラゴンの一種だからなんか薬にも使えるだろ」
ドラゴン!!!?
ドラゴンって言った!!!???
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