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第41話 ラスクのために狩った!!!
「ドラゴン置いてるの!? 外に!?」
驚愕で振り返ったら、ディエゴは得意そうな顔でこう言い放った。
「おう! さっきから結界にバシバシ反応あるから、皆見に来てるのかもな!」
「はあ!??」
「戦闘力はザコだから多分街の人だろ。なんも脅威はねぇって」
「そういう問題じゃない!!!!」
開けるのが怖い! でも放っとくのはもっと怖い……!
僕は覚悟を決めて扉を開ける。
「うわぁ……」
遠巻きに、街の人達がわんさか居る。
僕ん家は小高い丘の上にあるから、坂の下は黒山の人だかりだ。多分あの人が溜まってる辺りが結界なんだろう。
そして、恐る恐る視線を巡らせたら、家の横にはどーんとでっかい、なんならこじんまりとした僕ん家よりデカいかもしれない、竜のまるまるとした体躯が横たわっていた。
顔がこっちに向いてなくて良かった。
ていうかホントにデカいな。尻尾だけでも一ヶ月くらい軽く食べていけそう。
「なっ! すげぇだろ!? 俺も久々にこんなデッカいの仕留めた!」
「確かにすごい……」
「ラスクのために狩った!!!」
撫でやすい位置まで頭持ってくるのやめて……。
衆人環視の状況で、しかし最早誉めないわけにもいかない。遠いから多分見えてない、と思い込む事にして僕はディエゴの頭をよしよしと撫でた。
艶やかで柔らかな黒髪が心地いい。
嬉しそうに耳がピルピルと震え、しっぽが高速でフリフリされる。
ちくしょう、可愛いんだよなぁ。
「……そういえばケガとかしてないか?」
「全然! 本来俺はこれくらいの獲物、わけなく倒せるんだ」
「マジですごいな……あのさディエゴ、街の人達がびっくりしてるから、結界解いてくれる? 事情を話さないと」
「嫌だ。結界の外に、昨日ラスクと一緒に帰ってきた男がいる」
「アンドルーさん? いい人だよ?」
「ラスクがそう思ってるから嫌だ。浮気はダメだ」
「浮気って。まだディエゴと付き合うって言ってもないのに」
「だから余計にダメだ。掻っ攫われたくない」
「……」
呆れた。獣人って独占欲が強い種族なのかな。
でも、そんな事を言われたら僕の生活に支障がでる。僕はディエゴを見上げて、叱る時の声を出した。
「そんな風に束縛するならディエゴの恋人にはなれないよ」
「ラスク……!」
「僕は浮気性でもないし、もし恋人になったらディエゴを他の誰よりも大切にするつもりだ。でも、僕は恋人になったとしても普通に生活したいしディエゴ以外の人と関わり合いを持たないってのはできないよ。僕は僕なりに周囲の人との関係を大切にしたい」
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