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第42話 扱いやすいっていうか単純っていうか

「……」 ディエゴの耳としっぽがみるみるしぼんでいく。 「とりあえず今は、街の人達が怖がってるかも知れないからちゃんと説明したい」 「……分かった」 せっかくすごい獲物を獲ってきたってご機嫌だったのに、見る影もなく落ち込んでしまったディエゴがちょっと可哀想になってきて、僕はディエゴの顔を覗き込んでにっこりと笑って見せる。 「それに、すっごく大きなドラゴンだからさ、どうせ僕たちだけじゃこんなにすごい量は食べきれないよ。ギルドで買い取って貰ったり、近所の人たちにお裾分けしてさ、ディエゴが僕と一緒に住む事も話しておいた方がいいかもね」 言った途端、ディエゴの耳がビンっ! と立って目がキラキラと輝き出す。 「それ、いいな! 他のヤツらにも俺がこんな大物を仕留められるくらいの力量があるって、ちゃんとアピールできるし、一緒に住んでるって分かれば虫除けできる!」 もう苦笑するしかない。 扱いやすいっていうか単純っていうか。 「とりあえず結界のとこまで行こう。アンドルーさんに事情を話したらうまく事をおさめてくれると思うんだ」 「うう……」 ディエゴは不本意そうだけど、こればっかりは仕方がない。 「さ、行くよ」 僕がさっさと坂道を降りていくと、ディエゴもしぶしぶついてくる。ちょっとずつ扱い方が分かってきた気がするなぁ。 人だかりに近づいたら、向こうから大きく手を振ってる人が見えた。 「……ヤクルさん!?」 仕事仲間かつ兄弟子のヤクルさんの姿があって、僕は驚いて駆けだした。 ディエゴの話からアンドルーさんは来てるんだろうと思ってたけど、ヤクルさんは想定外だ。もしかしたら誰かが呼びに行ったのかも知れない。迷惑をかけてしまったことに申し訳なくなった。 ヤクルさんのすぐ近くにアンドルーさんもいて、その周囲にはご近所さんから知らない顔まで様々だ。 いつの間にこんなに人が集まっていたんだろう。 「ラスク! 聞きたい事が多すぎるけど、とりあえずあのドラゴン、大丈夫なのか!?」 ヤクルさんにそう問われて一瞬ぽかんとしたけれど、すぐに言いたいことを理解した。 「大丈夫って……あ、そっか、もう死んでる。安全! 大丈夫!」 僕の言葉に、みんな明らかにホッとした様子だ。 「どういう事だい? 朝起きたら君の家の横にドラゴンがいるって大騒ぎだよ」 「えっと」 「結界、解くか?」 ヤクルさんの質問に答えようとするのとほぼ同時にディエゴに問われて、僕は慌ててかぶりを振った。 「いや、待って!」

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