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第4話
取り敢えずは殺されないと言うことで、だいぶ落ち着いたヒイロが連れてこられたのは、先ほどヒイロが使っていた部屋よりずっと簡素な部屋だった。
「なにか飲むか?」
ヒイロは首を振る。
「吸血鬼が淹れたものなんかいらない」
殺されないと言っても、信じられない魔物と一緒にいて、気まで休まるものでもない。
「心配するなと言っただろう。我々は思っているよりずっと紳士的だ。喉が渇いていないはずは無いはずだ。あれだけ怯えていたんだからな」
エルセイウは無表情のままミルクティーを淹れ、未だにドアの前で立っているヒイロにもっと中へ入れと促した。
ここはエルセイウの部屋。
窓際に書斎デスクがあり、その左に書棚。入り口を入って左側にドアがあって、そこがバスルームか寝室か。
はいってすぐのここには、書斎デスクと書棚と、あとキャビネットがあるだけだ。
そうそう広くはない。
モノトーンで統一された部屋のなかで、唯一書斎デスクの上の花だけがピンク色を際立たせていた。
エルセイウは、頑なにそこから動かないヒイロに苦笑して、書斎デスクの上にカップを置き、書棚の前にあった木で作られた椅子をそのカップの前に置いた。
そして自分はデスクの向こうの椅子へ回り込み
「デスクを挟んでいれば少しは安心だろう。そこへ座るといい」
そう言って自らも椅子へ腰を下ろし、紅茶を口にする。
「丈はどうした…」
少し離れてくれて落ちついたところで、思い起こすのは親友のこと。
「君の友人は無事だ」
エルセイウはもう一口お茶を口にする。
「無事?嘘言うなよ。バレンティンとか言うやつが丈が眠ってるって言った。あの言い方はただ眠っているって言う言い方じゃなかった」
「疑うな。本当にただ眠っているだけだ。我々が欲しいのはヒイロだけだからな。お前の動向で、友人の今後も決まる」
そう言われてやっとヒイロは動き出し、ダカダカと歩いてデスク前の椅子へ腰を下ろした。
「聞かせてくれよ。さっきから俺の血がどうとかイフリムがどうとか言ってる理由をさ」
開き直ってミルクティーまで口にする。
「いいだろう」
書斎の椅子に深く座りその腹の上で指を組んだ。
「まずはヒイロ、お前のことからだ。お前の血はトランシェの血と言って、人間の中に何万人に1人という特殊な血だ。特殊と言っても人間にはなんの関係もないが、我々魔に生きるものにとっては黄金にも等しい血液なんだ。そしてイフリムだが、彼は我々貴族の王だ。どんなことをしてでも守るべき存在なんだ」
「貴族って…」
ヒイロは自分が調べてきたこととの違いに疑問を感じて、つい質問気味になってしまう。
「吸血鬼と呼ばれる魔族の神にも近い一族のことだ。もっとも『吸血鬼』などという言葉は人間が勝手につけた名前だが、便利なので使っている。吸血鬼と呼ばれる中にも段階があって、普通に人間を襲い乱暴に血を欲するものは我々には最下層の者たちで、我々の身近に置くときは僕(しもべ)となるこま使いのような者達だ」
ヒイロはメモとりて〜〜、スマホがあれば録音できるのにな〜などと学者肌な自分を恨むパート2を頭の中で展開中だ。
それなら頭の中に残すまでと懸命に聞き入る。
「その上に『配下』と呼ばれる存在があって、その者たちは多少礼儀を弁え、乱暴に欲のままに血を欲したりはしない。ただ魔力が薄くて、最低限吸血時に相手の恐怖を和らげる力を持っている。聞いたことあるか?我々に血液を吸われる時に快感を伴うと。それがその力だ」
確かにそういう話は聞いている。そういうことなのか…
「その上が『貴族』となるが、私とバレンティンも貴族ではあるが、その上。吸血族の長、王族と言ってもいい一族がイフリムの一族だ。今はもう彼しかいない。だから守らねばならない。一般貴族はさっきお前もみたバレンティンがドアをすり抜けたりする、そのような能力を配下よりは強く持っている。しかしイフリムは違う。万能だ。今は弱っていてその力がほとんど隠れているが、甦れば彼はなんでもできる力を持っている」
「なんでも…?」
「なんでもだ。彼が思えば簡単に生物は殺せるし、人の心さえ意のままにできる。最強だ。なので少し虚弱に作られる。そして何より教育もきちんとしなければならない」
あんな可愛い顔をした子がそんな力を…。
「我々も今ここにいる人数しかいないが、リムが甦れば貴族が増やせる。貴族が増えれば配下も増える。我々はもうここで暮らしてゆく気ではあるが、リムを教育し、きちんとした伴侶をあてがい、一族の存続をして行かなければの使命は帯びている」
「え、じゃあリムしか貴族は作れないってことか」
「そう言うことだ」
長い話を聞き、ヒイロはふうっとお茶を飲む。
「面白い話だなぁ」
「そう思うなら、お前の血をリムに捧げろ。お前も仲間になれる」
ヒイロはつい口をついた言葉に後悔した。面白いと言うのは趣味的にであって、それとこれとは話が別だ。
「我々は、先ほどいたイゴールたちや、何人かいる配下の者たちの血を汲んで生きている。この花はトランシェの花と言って、我々にエナジーをくれる植物だが、これすら残り少なくなった。バレンティンと私で配下を増やせばいいのだが、万が一でもどちらかが倒れたらもうダメだということで結界を出るのにも躊躇う。そこへ現れたのがお前だ」
飛んで火に入る夏の虫とかって、ドラマや映画でのシュチュエーションだと思ってたわ…とヒイロはー運悪いわ〜ーと思いながらもそう考えていた。
「お前の血で王としてリムは甦る。それはどんなことをしてでもやらなければならない」
エルセイウの目が髪の色同様金色に輝く。ヒイロは聞き入っていた状態から目覚め、その目の色に思わず立ち上がった。
「しかし、今リムは自分で血を汲める状態にない。月が欠けているからな。その月が満ちるまでヒイロ、お前にはここにいてもらうぞ」
エルセイウも立ち上がってデスクを回り込む。
「寄るな…おれは血をやるなんて一言も言ってないぞ…。イフリムが王として甦ろうがそうじゃなかろうが、俺には関係ない」
「我々には重大問題だ。さっきも言ったがそこへお前が来たんだ。運命だと思え」
金色の瞳で身の竦んでしまったヒイロの肩を掴み、その顔の輪郭に沿って指を這わせた。
「触るな…化け物…」
竦んだ体で、ヒイロはエルセイウを睨みつける。
「中々いい目をする…。その目に免じて今の暴言は許してやろう」
強引に顎を捉えて唇を重ねる。
「お前には、満月の夜まで飽きさせない生活を保証してやるぞ」
唇から数ミリの所でそう言いながらヒイロの両手を後ろ手にまとめて、そのまま腰を抱くようにして持ち上げると隣の部屋のドアを開けた。
シンプルだが大きなベッドが置いてあり、エルセイウはそこへヒイロを乱暴に放り投げる。
「なにすんっ…」
いう間に距離を詰められ、ベッドへ座ったエルセイウは今度はヒイロを後ろ向きに抱き寄せて抱きしめた。
「化け物でもこういう行為はするんだぞ」
と笑いながらヒイロのバスローブの前を開き、下着の中へ手を差し入れる。
「なっ!」
まだ他人には触らせたことのない場所を不意に触られ、驚きと羞恥心に身を捩ったが固く抱かれた体は揺れる程度にしかならなかった。
「やることは人間と一緒だ」
「し…と…なぃ」
「ん?」
「した事な…いから…やめ…」
頭を下げて、どこか悔しそうな口ぶりにエルセイウの手が少し緩む。
「ほう…」
ヒイロの後ろで、どことなく優しい表情になったのは誰にも見えていない。
「それなら取り敢えず…自分でしてみるか」
エルセイウはそう言ってヒイロの下着を取り去り、ヒイロの両手を取ってそこを握らせ自分もその上から手を握り込んだ。
「ちょっやめろ…んっ」
その手をヒイロの手ごと蠢かせ、ヒイロのそこを擦り始める。
「これならまずは抵抗ないだろう?」
後ろから回した手でヒイロの手を操り、少し形を成してきたものをより強く擦り上げてゆく。
「んっ…ぁ…」
「自分でする時も声を出すのか?中々いいな…」
そう言われて真っ赤になり、
「離せって!」
と、身を捩るが、相変らず手は塞がっているのに動きは取れない。
「変な術使ってるわけじゃねえよな…」
擦られながら息を詰め、それでも悪態をつく。
「安心しろ、こんなことで無駄にエナジーを遣いはしない」
言いながらも上下にヒイロの手ごと擦って、耳の淵へと舌を這わせた。
「無駄…ってひどいな…」
「動かなくして欲しいのか?」
「そ…じゃない…け…ぁ…あぁ」
手の動きが早まり、次第にヒイロを高めてゆく。
『ああ…俺はこんなことにでもイけてしまう人間なんだな…』
などと考えながら、自らを高みへと昇らせようとした…が、不意に手の動きが止んだ。
「ん…?」
思う間にエルセイウの手が離れたかと思うと、優しく体を離しそのままベッドへと寝かされる。
イケそうで行けなかった燻りで、潤んだ目をしているヒイロは
「なに…」
「このまま達してもらってもつまらんなと思ってな。お前の顔を見ながらがいい。こんな艶やかな黒髪を見たのは初めてだし」
横に寝転んで手は再び下を刺激し始め、腕枕のように頭の下へ回した腕はヒイロの髪を撫でていた。
「お前の国の人間はみんなこんな髪の色か?」
指は、擦り上げるだけではなく先の穴に指を這わせて流れ出ている液体を掬い、それを本体に塗ってみたり、カリの部分を殊更に引っ掛けるように擦ってみたり、様々な動きをしてヒイロを翻弄している。
「ん…ぅん…大体みんな…黒…い髪」
「ほお、そうか。日本人を仲間に入れるのも悪くはないな…ああ、お前が第一号になるけどな」
言って強く擦り上げ始め、髪に触れていた手で顔を自分の方に向かせると唇を重ね、舌を絡めながらヒイロを追い上げ始めた。
「んっんぅぅっんっ…ふぁ…んっくるし…んっんん」
手をどうしていいかわからずにシーツを握り締め、他人の手が自分を高めていくのに身を任せ、ヒイロは自然と揺れている腰を意識もせずに揺らしそして
「んっんんんんっぁあ…あぁ」
弾けていった。
エルセイウは指についたそれを舐めると
「これはこれで…」
と、体に力が沸くのを感じている。
「やめろ…よ…そう言うの…」
恥ずかしさに腕で顔を覆い、そこから見える肌は耳まで赤い。
「血液の次にエナジーに満ちたものだからな…」
シーツに流れたものは仕方ないが、手やヒイロの腹や胸に出たものへ舌を這わせて、乳首を軽く吸ってみたりしながら再びなめとっていく作業を繰り返す。
そのたびピクンと反応するヒイロの体が、ちょっと可愛いとさえ思う。
エルセイウの舌は徐々に下がってゆき、未だ顔を隠したままのヒイロを置き去りに今度は先ほど爆ぜたヒイロ自信を口に含んだ。
「あっ!」
思わず出た声に自分で恥ずかしくはなったが、初めての感触に体が震える。
『気持ちぃ…』
舌は自身を刺激してはいたが、エルセイウの指は開かせた足の奥へと忍び込み、バックを刺激し始めた。
「ふっぁっ…なに…そんなとこ…」
「しっかりほぐさないと、辛いのはヒイロだからな」
少し情が湧いたのか、痛がる様をみた方が自分も興奮するのはわかっていたが、それは今はしたくない。
「へ…んな感じ…気持ち…くはない…けど…へんな…」
妙な圧迫感と、中をいじられる妙な感覚に苛まれる。
「痛くないならいいな…」
指は2本に増え、入口をほぐすように回され奥の方へも徐々に広げていた。
「な…んかその辺…やだ…そこ…なんかや…」
入って数cmのところに異常に反応を示すヒイロにエルセイウは微笑んで、まだそこはやめておこうと指を奥まで忍ばせる。
「んっふう…」
「随分と甘い声が漏れてきたな、そろそろ平気か…」
エルセイウはヒイロの足元まで移動して、両足を開かせるとその足を開いた正座のような格好の自分の足に乗せた。
「なっ!ちょっそれは、はずっ…っ」
という反論は、そこまでしかさせてもらえなかった。
言っている途中でもう、エルセイウのモノはヒイロへと入っていたからだ。
「ん〜〜〜っあああっ」
今までとは違う圧迫感に、喉が反る。
「あ…あああ…ぁ…」
挿入時にはそんな声しか出せず、その広げられる感覚と押し入れられる感覚に慣れるには、もう少し時間が欲しい。
「あぅ…ぅ…あっあぁ」
全てが収まっても声は漏れ続け、軽く揺すられるとより高く声が出てしまう。
「も…や…だ」
全てを収め切ったエルセイウの息も少し上がってきた。
「これからが本番だ…」
と一度腰を引き、再びゆっくりと侵入するというのを繰り返し始める。
ヒイロの声にならない声が響き、その抽送は次第に早くなって行った。
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