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第15章 淫魔2※

 淫魔たちが僕を取り囲み、クスクスと楽しげに笑う。 「あなたたちも魔族の仲間ですか? 僕を生贄にしようと?」 「失礼しちゃう。ぼくたち、魔王の仲間じゃないよ」 「えっ?」と思わず訊き返してしまった。 「だってそんなことをしたら、ぼくたちのおなかが満たされないもの」  つっと男性の指先が顎に当たり、顔を上に向かされる。 「おなかが満たされない?」 「そう……淫魔の食べ物は人間の生気」 「神子を名乗るノエルっていう子に言われたよ。『美味い餌がある。好きなだけ(なぶ)っていいから、連れてこい』って」  ノエル様! まさかこっちが本命で、僕を油断させるためにエドワード様の暗殺部隊を送った……!?  不気味に笑う淫魔たちの手が僕の身体を這う。  不思議と胸元と臀部、そして陰茎の部分だけ服が溶けていった。肌に傷はないものの裸よりもずっと恥ずかしい格好にさせられてしまう。 「っ!」 「顔も、身体も悪いけど、魂が悲しい匂いを漂わせていてる……すごく美味しそう」  露出した部分に彼らは顔を寄せ、実験台の蛙を好き勝手に扱うような手で僕の身体を弄った。 「何をするんですか……! ひぃっ……」  無遠慮に性器と乳首を異形のものに触られ、気分が悪くなる。 「へえ、童貞なの。男も女も知らないんだー」 「乳首も、ぜんぜん使い込まれていないよ」  ギクリとして僕は身体を強張らせた。  臀部を間近で見られ、後孔を指先で左右に開かれる。 「でも、ここは処女じゃないみたい。だって、縦に割れているもの。だけど快楽を味わったことは一度もなさそう」 「ああ、お人形として扱われるばかりで愛されていなかったって訳」 「うるさいですね! 僕をどうするつもりですか!?」  図星を突かれて僕は彼らに噛みついた。  すると彼らは声をあげて笑った。 「おかしいの、ぼくらのことを知らないんだ!」 「かわいい。貴族や騎士の紳士や貴婦人がぼくらを育てて奴隷連中にあてがって遊ぶんだよ!」  困惑していれば恐ろしいことを告げられる。 「大丈夫、安心して。触れられただけでイケる身体にしてあげるから」 「病みつきになる人間は多いんだ。主人に乱暴に抱かれるよりも、ぼくたちに抱かれる方が気持ちいいって()()()たちが喜ぶんだから!」  噂で聞いたことがある。  奴隷の中でも容姿が飛び抜けて美しい子どもたちは、闇オークションにかけられ、貴族や騎士階級の慰み者にさせられるケースがある。  多くは乱暴に扱われ、使い捨てで殺される。しかし中にはペットを飼う感覚で子どもを娼婦や男娼顔負けの性奴隷に仕立て上げる、もの好きがいると。  しかし性行為の経験が少ない子どもたちを性奴隷にするには脳みそを破壊するほどの快楽を植えつける必要がある。調教し、人間であることを忘れさせ、精神崩壊させる。  そして性欲を満たすことしか考えられないペットとして一生飼われ続けるのだ。  ユダと対峙したときも恐ろしかった。どれくらい怪我をするのかなと想像して身体が痛くなった。でも、マックスさんや兄様がそばにいてくれたから、恐怖に打ち勝てた。  でも――今は!  僕は歯をガチガチ鳴らして震えた。なんとか蔓を火の魔法で燃やそうとしたら手を男性たちに握られてしまう。 「ぼくたちを燃やそうだなんて、駄目だよ」 「そんな悪い子にはお仕置きだ」  桃色の液体が入った注射器のような細い物体が伸び、僕の乳首と陰茎の鈴口、そして後孔を刺した。  痛みは一瞬だった。次の瞬間には、かっと身体が熱くなり、全身が心臓になったみたいにドクンドクンと音がする。  呼吸が荒くなり、頭の中がおかしくなっていく。  刺されたところを触れてほしい、舐めてほしいと思い、ペニスが勝手に勃起し始める。後孔とおなかの奥が切なくなり、疼きだす。 「何を……」 「強力な媚薬だよ」 「これを打たないと調教はできないからね」 「ほら、ぼくたちの(ぬし)様もおなかを空かせて、きみを食べたいって言ってるよ?」  異臭を放つ大きな赤い花が地面に咲いている。  無数の蔦の先は人間の口のようになっており、ダラダラと唾液のようなものを垂らしている。そして花の雄しべ・雌しべが本来ある場所には、まるで勃起したペニスのような形状のものが汁をビチャビチャと出していた。  あまりの恐ろしさに、頭がガンガンする。 「主様に手はないからね。僕たちが代わりに愛撫してあげるよ」  そうして男性たちの手が僕の方へと、ふたたび伸びてくる。 「やめて……いやだ……っ!」

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