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第18章 そばにいたい5※
マックスさんとセックスをするのが怖いなんて言っていたのが嘘みたいに僕の身体は、奥の奥まで彼を飲み込んでいた。彼のペニスをやわく食み、熱い精をたくさん奥にかけてほしいと懇願する。
余裕のなくなったマックスさんに押しつぶされるようにして抱かれる。
理性をなくし、本能のまま腰を振りたくる。
それでも僕を傷つけないように力加減をして抱きしめて、全体重でのしかかって息苦しくならないようにしてくれている。腰の動きとは反対に唇や舌の愛撫はどこまでもやさしい。
そんなマックスさんに僕の心と身体の奥が、きゅうっとなる。彼の背に腕を回す。動きづらくなるとわかっていても自然と足が彼の腰に回ってしまう。
マックスさんの膨張しきったペニスが肥大した前立腺を擦り、深く潜り込む。奥を抉るようにペニスの先端で突かれた瞬間、弾けた。
自分のものとは、とうてい思えないような甘ったるい喘ぎ声をあられもなく出し、快感が一気に爆ぜる。腹部や胸、首、顔、髪にまで精液が飛び散り、マックスさんの顔や髪まで汚してしまう。
たまらなく甘い感覚が指先まで、じんじん伝わった。
僕の身体は小刻みに震え、後孔がぎゅうっと窄まる。熱い粘膜がピタリとマックスさんのペニスに絡みついた。
マックスさんが艶っぽい喘ぎ声を出し、全身に力がこもる。
強く抱きしめられている最中に彼のペニスが僕の体内でビクンビクンと、のたうち回る。彼も僕と同じように勢いよく射精しているのを感じた。
涙でけぶった視界の向こうには……目を閉じ、口を薄く開いて感じ入っている彼の色っぽい姿があり、心臓が高鳴る。
長い射精を終えると、どっと疲れた。僕の手足は力を失い、シーツの上に落ちていった。
マックスさんも戦場で魔族と戦ったときのように息切れをしている。ペニスを揺さぶって残滓まで出し切り、くたりとした自身をゆっくり引き抜く。
入口を性器が抜けるときも感じて情けない声が出た。
マックスさんがいなくなって後孔がひくつく。とろりと精液が漏れ出て臀部や足の間を濡らす。
彼が、這うようにして僕の隣へ移った。うつ伏せ状態でベッドに横たわり、胸を上下させる。そんな姿もたまらなく魅力的だが精根尽き果ててしまったので、「もう一回」とねだることにはならなかった。
「身体……大丈夫か……気持ちよくなれた……?」
息を整えながらマックスさんが尋ねてくる。
「は、はい……とても……」
なんとか返事をする。動けなくなった僕の手をそっとマックスさんが握り、口づけた。
「……よかった……オレも最高だったよ」
僕よりも回復するのが早いマックスさんに引き寄せられ、抱きしめられる。労るようなキスの雨が降ってくる。
だけど、まだ身体の熱が燻って引いていない僕には酷だった。
「や……まって……」
「ルキウス、どうした。やっぱり、どこか怪我したのか!?」と理性を取り戻したマックスさんが顔を青褪めさせる。
「ちが、違うんです。ただ……」
身体が勝手に震えているのを目にしたマックスさんは合点がいったのか、僕の髪を撫でながら落ち着くのを待ってくれた。
しばらくすると嵐がやんだ海の水面のように、身体の熱が鎮まる。
「ごめんなさい。変な態度をとってしまって」
「いいよ、気にするなって」
にっとマックスさんが、いつもの調子で笑う。グラスの水を桶に入れて濡らした新しいタオルをもらい、精液や汗でよごれた顔や身体を拭いていく。
その後で彼がグラスに注いでくれたレモンの味と香りがするさっぱりした水を受け取り、喉を潤した。
きっとマックスさんだって疲れているのに、すぐに彼を動かさせてしまって申し訳なくなる。
「ありがとうございます。……このままじゃマックスさんも寝れないでしょうし、僕、シーツを取り替えますね」
床に落ちてしまったネグリジェを拾って身に纏おうとしたら、腕を引かれる。ベッドの中へ引き込まれ、マックスさんに抱きしめられてしまう。
「いいよ、少し寝っ転がって休めよ」
「でも……」
チュッとかわいい音を立てて口づけられる。
「せっかく、ひとつになれたのに、もうオレは用済み? このままひとりで風呂に入って、別のベッドで寝るのかよ?」
「そんなことしませんよ。ただ、こんな立派なベッドを汚したら大変でしょう?」
「家主のオレがいいって言っているんだから、いいんだよ。あんまりうるさいと、寝るまでずっと口づけるぞ?」と脅される。
「そんなことしたら、唇が真っ赤に腫れちゃいますよ」と怒るもののマックスさんはケラケラ笑っている。「……マックスさんは気持ちよくなれました? やはり僕では満足できなかったでしょうか?」
「そんな訳ないよ、大満足だ」とマックスさんに褒められる。「すっげえ気持ちよかったよ。あんまりエドワード王子のことを引き合いに出したくはないけど、おまえ、すっごく上手い。エロいし、かわいいし、綺麗だしで病みつきになっちまった」
頬や身体が熱くなるのを感じながら、彼の胸に顔を埋める。
「まったく褒めすぎですよ。でも、うれしいです」
「おまえはオレとヤって、どうだった?」
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