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第18章 そばにいたい7

「オレだ。あの巻物にオレの名前が記されていた」 「マックスさんが……」  不思議な心地で話を聴いていると、マックスさんが表情を曇らせる。 「けど、暗黒街道では魔法も、魔術も、火も使えねえ。むき出しの魂の状態で、真っ暗闇の道を抜けなきゃいけないんだ」 「ひとりで、ですか?」 「ああ、あそこには神に名指しされた者以外、入れないことになっている。抜け出すのに早ければ三日、遅いと一週間はかかる。その間、水も食料もなしだ」 「そんな……」  僕は、マックスさんがおなかを空かせ、水を得られずに暗闇の中で倒れる姿を頭に描いてしまった。 「心配するな。これでも、いろいろと苦境を乗り越えてきたんだ。奴隷になって剣闘士になるまでの期間とそう変わらねえ」 「マックスさん……そこを抜けること以外で、英雄を見つける術はないんですか」  真剣な顔つきをしたマックスさんが「残念ながらないな」と答える。「だからさ、もう少しだけ待っててくれねえか。おまえの夢をオレが叶えるからさ」  『過去』の女神様は、僕がマックスさんと出会うことで、彼が英雄を見つけてくれることを教えてくれたのだろうか? 「マックスさん、絶対に生きて帰ってきてくださいね。英雄を連れてくるために、怪我をしたりしないでください。……むちゃはしないで」  彼の肩に頭を預ければ、背中に腕を回された。 「大丈夫だ。すぐに戻ってくるから」と背中をポンポン叩かれる。「さてと」  マックスさんが立ち上がって僕をシーツで包んだ。  そのまま抱き上げられ、頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。  彼は清々しいくらいの綺麗な笑みを浮かべた。 「景気づけに、さっきの続きしようぜ」 「えっ? 」 「今度こそ一緒に風呂入ろうなー」  機嫌よく鼻歌を歌う彼が何を考えているのかを悟り、降りようと暴れる。しかし手足にシーツが絡んで、手も足も出ない。 「まだ夜は長いんだ。いっぱいしようぜ、ルキウス」

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