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09※
「お、おいっ! 馬場……」
「ふ……っざけんな、てめ……ッ! 離せ!」
よりによって徳永の前でこんな格好をさせるなんて、この男、本当にいかれてるんじゃないのか。
剥き出しになった臀部を馬場に鷲掴みにされる。そのまま乱暴に尻たぶを左右に割り拡げられるのがわかり、背筋が凍り付いた。
「っ、や、め……ろ……ッ! おい、馬場!」
「なんだ? こいつの前だからって今更意識してるのか?」
「ちげえ! 誰だって、こんな……っ」
そう言いかけた矢先だった。尻の割れ目ごと広げられた肛門に馬場の指が触れ、息を飲む。
正気か、と身を捩って逃げようとしたのもつかの間、ぐぷ、と埋め込まれる武骨な指の感触に堪らず呼吸が止まる。
「ぅ、ぐ……っ!」
「馬場っ、やめろ! 近江屋君が苦しんでるだろ」
「これのどこが苦しんでるだって? 徳永、お前はそこでよく見てろ」
「こいつがどこまで浅ましい体なのかをな」そう笑いながら、無理矢理抉じ開けられた肛門から中へと入ってくる指。収縮し、異物の侵入を必死に拒もうと緊張する体内。
しかし、馬場本人はというとそんなことはお構いなくさらに指を追加する。
「は、ぅ……ぐ……っ! ぬ、けぇ……ッ!」
「相変わらず、処女みたいな締まりだな」
「ぐ、ぅ……っ!」
――最悪だ。
細くはない馬場の指に内壁を刺激され、咄嗟に歯を食いしばる。
そんな俺を鼻で笑い、馬場は更に執拗に指の腹でナカを掻き回した。数時間前、乱暴に犯されたときの熱が再び全身に蘇って血の気が引いた。
気持ちいいわけがない。寧ろ嫌悪感の方が遥かに大きい、はずなのに。
「――っ、ふ……ッ、ぅ゛……」
「どうした? さっきまでの威勢は。随分と呼吸が荒いみたいだが」
「ぶ、っころ、す」
「なんだ、まだそんな減らず口が叩けたか」
「なら、遠慮する必要はないな」そう笑う馬場の薄気味悪い笑顔に背筋が震えた。
そして一気に指が引き抜かれたと思えば、そのまま高く腰を持ち上げられる。
「っ、ぉ、い……待て……っ!」
「優しくしてやる必要はないよな? ……人に手を出すってことは、仕返しされる覚悟も出来てるはずだろうからな」
それとこれとは話がちげえだろうが、と声を上げるよりも先に、指を引き抜かれ、ぽっかりと口を開けたそこに宛がわれる性器の感触に息を飲む。
――まさかこのままやるつもりか?正気か。
「待……――ッ」
待て、と言いかけ、口を開いたのとそのまま大きく腰を突き動かされたのはほぼ同時だった。
最も太い亀頭が、そのまま一気に奥まで入ってきては内臓ごと押し上げる。
「ぐ、ひ……ッ!!」
「っ、は、……っ相変わらず、締まりだけは良いな」
「ッ、だ、まれ、ぬ゛……ッ、ぅ゛、抜け……ッ! ふぅ゛……ッ!」
一度乱暴にこじ開けられた肉壁を、今度はゆるゆると緩急つけて腰を動かし始める馬場。
焼けるように腹の内側が熱い。
よりによって徳永の前で、こんな。
顔を上げることもできず、頭を押さえつけられたまま腰を叩きつけられれば尻がじんじんと痺れる。
「っ、ふ、ぐ、ぅ゛……っ、く……っ!」
「お、近江屋君……」
「徳永、お前にも見えてるか? こいつのケツは開発済だった、恋人だった男によってな。お陰様でハメられれば誰でもいいらしいがな」
「ちっ、そんな、わけ……っ、ん゛ぅ゛……ッ!!」
「違わねえだろうが、いきなりハメられておっ勃てるやつが好きモノじゃねえなんて言い訳、信じられると思うか? なあ……ッ?」
思いっきり根本まで叩きつけられ、腰が大きく揺れる。萎えていたはずの性器を馬場に掴まれ、ひくりと喉が震えた。いつの間にかに体液で濡れたそこをそのまま上下に扱きあげられれば、内側からと外側、両方からの刺激に耐えきれず下腹部が痙攣する。
違う、そんなはずはない。そう思いたいのに、腫れ上がった亀頭で同様に熱を帯びた肉粘膜を執拗に犯され、前立腺を削られる。それだけで喉の奥から声が漏れそうになり、俺は必死に奥歯を噛み締めて堪えた。
そんな俺の様子が余程面白かったらしい、馬場のやつは更に性器を大きくさせる。そして、俺の後ろ髪に指を絡め、そのまま上体を逸らさせるように今度は頭を掴みあげるのだ。
「っ、な゛……ッ、ぁ゛……っ、う゛……ッ!!」
瞬間、背後から大きく突き刺さる性器に胸が震える。
すぐ視線の先には徳永がいた。離れていたとしても対面になるような体勢が嫌で、顔を逸らそうとするが馬場はそれを許さない。
「なにを恥ずかしがってんだ? ……っ、こいつにも見てもらえよ、その様子じゃ、まだ身体までは使わせてなかったらしいからな……っ!」
「ふ、ぅ゛ぐ……っ!!」
膝立ちのまま、背後から出し入れさせられる性器に休む暇もなかった。逃げたいのにピストンの度に全身は硬直し、動けなくなる。そのまま見せつけるように性器を扱かれ、余計に頭の中が真っ白になってしまうのだ。
こんなの、不可抗力に決まってる。男だったら誰だってそうだ。
そう言い訳をすることが精一杯で、唯一自分を保てる方法だった。
「っ、み、るな……ッ! た、のむ、みるな、ぁ゛……っ、ひ、ぅ゛、み、見るな……って、ば……ッ!!」
「っ、……!」
「そんなに見せてほしそうに腰を振っておきながら『見るな』は無理な話だと思わないか?」
「なあ、近江屋」尻の肉に食い込む指先。乱暴に突き上げられて苦しくて、亀頭で押し上げられる度に全身が魚のように跳ね上がった。
「近江屋君」と心配そうな徳永の声が、視線も相俟って前を見ることができない。
「っ、は、ぁ゛……ッ! ひ、ぅ゛う゛……ッ!」
前を扱かれながらこじ開けられた肛門をひたすら犯される度に頭が真っ白になる。
何度も身体を逸らそうとする度に前を向かされ、更に激しく内側からも外側からも責め立てられるのだ。
我慢の糸も呆気なく途切れる。
「っ、ぁ゛、ぐひ……っ、ぅ……っ!」
どぷ、と大量に溢れる精液が目の前、視界の端で飛び散る。射精直後、ぼんやりとした頭の中、徳永に向かって放出した精液を目で追いかけたときだった。
深く突き立てられたものが身体の中で跳ねる。
そして、
「は、出すぞ……ッ」
「ぁ゛、や゛ッ、め゛……――ッ!」
やめろ、と叫んだその先は声にならなかった。
腕を手綱のように引っ張られ、隙間なく性器を埋め込まれたまま腹の奥、馬場の精液な注がれるのがわかった。
「ぃ゛、ぐ……ッ!!」
嫌なのに、条件反射で身体が勝手に反応してしまう。
ただでさえみっちりと性器が詰まった腹の中、びくびくと脈打ちながらも精液を注ぐ性器。行き場を失った精液が微かな隙間を縫って品のない音を立て溢れる。
「ふー……っ、ふ……ぅ゛……ッ!」
呼吸を整えようとするのも束の間、俺の腰を掴んだまま再び馬場は腰を動かし始めるのだ。
精液が溜まった腹の中、ぐぷ、と濡れた音を立てながら精液を塗り込むようにねっとりを内壁を摩擦される。
「ゃ、め゛……ッ!」
「……っ、は」
肛門ぎりぎりまでずるりと引き抜かれる性器。亀頭のエラを引っ掛けるように精液を掻き出されたかと思いきや、次の瞬間再び奥まで一気に貫かれる。
先走りと精液を潤滑油代わりにし、馬場はさらに腰を打ち付けてくる。逃げることもできなかった。
「ぉ゛、あ゛ッ、とま゛ッ、ぅ゛……ッ! ひ、……ッ!!」
「……っ、なにしてんだ? ……っ、お前の役目はケツの穴を締めることだろうが」
「ぃ゛ッ、ぐ……ッ!!」
バチンと音を立て、臀部を叩かれた瞬間下腹部、括約筋周辺に力がこもった。その感触が心地よいのか、楽しげに馬場のクソ野郎は笑い、そして更に性器に指を絡める。
滴っていた精液その他諸々の体液を指で塗り込むようにガチガチに勃起した性器を擦られる。
こんなもの、生理現象だ。そう思いたいのに、ここにはいない久古が俺を見てるようだった。
そんな罪悪感を抱えながら、俺は馬場の手と性器で二度目の射精を迎えてしまったのだ。
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