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第40話 何されてもいいくらい好きだよ

「このままイケよ。ここに来てからまだ抜いてないんだろ」  声が、艶やかさを増している気がした。エロイです、携さん。しかもそれもろに股間に響いてるし。  マジでもう弾けそう。  確かに自分でもやってないのは事実だった。だって二人部屋じゃん……皆どうしてんの。  耳の後ろを舌が這い、手の動きが速くなった。 「あっ、や……イクっ、」  ちゅく、と耳の穴を塞ぐようにキスをされた瞬間、溜まりまくっていた欲望が吐き出された。  動きを緩めて搾り出すように促され、弾む息のまま俺は携の体に凭れ掛かる。  全部出し切って勢いのなくなったそれを、携はそのまま中にしまってくれた。  って……あれ? 出たものは何処に……?  ようやく落ち着いて状況を考えるに至ると、携が申し訳なさそうに言った。 「ごめん、手の届く位置にこれしかなかったから」  はい。俺の首に巻いていたはずのスポーツタオルで受け止めてくれてました。  てか、気付かない俺も俺だけどな!  いいんだ、どうせ自分の分泌物だし、手洗いで落としてから洗濯機放り込みゃいいんだから。  それよりも、聞きたいことがある。 「携ぁ……なんで、こんなこと」  周と同じことを敢えてやるなんて、全くもって意味不明なんだけど。  背中を預けっぱなしだと流石に重いだろうと、体をずらせてベッドに直接ケツを載せた。それでも足同士が密着してて、何処かで体温を感じていたい俺はそのまま携と目を合わせた。 「なんでって言われてもなあ。敢えて理由を付けるとしたら、嫌な思い出を上書きして気持ちいい思い出にしたかったから、かな。  ──そのままだと、なんかトラウマになりそうだし」  静かな笑みを湛えている携は、多少エロ度増しててもやっぱり携で、あの時目を爛々とさせていた周と違ってすうっと俺の日常に入り込んでしまっていた。 「で、でもさっ、やっぱり携だって男の触るのなんてイヤだろ? その……俺のためにってしてくれるの嬉しいけどさ」  そう、普通なら他人に触られるのもイヤだし、触るのはもっとイヤだろう。 「どうして? 俺は和明相手だったらなんでも出来るよ。なんなら今すぐ足の先まで全部舐めたっていい」  うひーっ! そんな秀麗な顔でしれっとんなこと言うなー!  顔から火が出そうなくらい恥ずかしいんだけど! 「や、やめてっ。嬉しいけど居たたまれねえっつうか、恥ずかしすぎるから!」 「そうかなあ。それくらい好きだって言ってるだけなのに」  少し唇を尖らせる携は、わざとにしても可愛すぎる。良かった、ここに女子がいなくて! こんなの共学校でやった日にゃ、黄色い歓声が上がってピンクの光線だしまくった女子にアタックされてはやっかむ男子には嫌がらせのオンパレードされるんだ。  色んな意味で心臓を鷲掴みにされた気分。 「お、俺も携になら何されてもいいくらい好きだよ」 「本当なら両想いだな」  フッと普段の笑みに戻った携は、嬉しいのと寂しいのと半分? みたいな複雑な感じだった。  やっぱり携も、俺にはまだ言ってない悩みがあるような気がする……。  いつか教えてくれるかな。  頼りないけど、俺だって聞き役くらいは出来るんだから。  次はちゃんとティッシュ用意してやろうなと言う携に曖昧に頷いて、それから少し他愛もない話をしてから部屋に戻った。  ドアを開けながら智洋のことを思い出したけど、部屋の中でドライヤーで髪を乾かしているところだったので、風呂には入ったんだと安堵した。  大浴場の洗面台にも沢山ドライヤーが完備してあるけれど、智洋の場合朝もセットに使うから自分の物を持ち込んでいる。俺はざっと乾かすくらいにしか使わないから、私物増えるのも邪魔だし持って来ていない。家でも家族共用だったしな。  振り返った智洋に笑い掛けてから、持ち帰った荷物をベッドの上の棚に置く。帰る途中でタオルは洗ってきたから、それだけは取り敢えずベランダに出て物干し竿に引っ掛けておいた。また他の物を洗濯する時に一緒に回さないと面倒だしな~。  ドライヤーの音が止んだので一応謝っておこうと声を掛ける。 「智洋、もしかして待ってたりした? ごめんな、急用が出来てちょっと携のトコ行ってたんだ」 「ああ、あんまり遅いから探しに行こうと出たところで生徒会長に会ってさ、『カズなら氷見のところだと思う』って言うからそれならいっかと思って風呂行ったから大丈夫」  ドライヤーにクルクルとコードを巻きつけながら智洋が言った。今は昼間と違ってストレートの前髪がそのまま目にかかっていて別人みたい。 「でも心配してくれたよな、ありがと」  さっきの智洋の言葉は事実を言っただけだろうけど、前にも周とのことを見られて助けられているし、きっと心配してくれたんだと思う。だから智洋から何も言われなくたって、感謝は表さないと。  でも面食らったらしい智洋はうっと喉を詰まらせたように半歩下がり、「おう」と頷いた。  はは、照れてんのかなあ。やっぱ智洋っていいやつ!

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