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第43話 ふたりで一緒に
部屋に入ると、珍しくドアのすぐ傍のベッド端に腰掛けていた携が立ち上がり、すぐに鍵を掛けた。
「明るいままでいい?」
「え? 何が?」
何でいきなり電気の話なのかさっぱり理解できない。
立ち竦んだまま携の動向を覗っていると、「まあ、ものは試しに」なんて言いながら、俺が立っているすぐ脇にあるスイッチを携が押した。
当然のこと、パッと蛍光灯が消えて部屋全体が暗くなる。遮光カーテンの隙間から僅かに街灯の明かりが漏れてはいるけど、それだけじゃ殆ど何も見えない。
手首の辺りを掴まれて「こっち」と誘導されるままベッドに寄って行った。そして、手が離れたと思ったら下着ごとハーフパンツをずり下ろされる。
「えっ、た、携ぁ」
「汚れるから脱いじゃって」
静かに言われると、なんだか動転してる俺が滑稽じゃないですか。
心臓バクバクだけど、室内履きと一緒に脱ぎ捨ててベッドに上がった。
思い出したのは、日曜日の夜のこと。またやろうねなんて言ってたな、確か。あれだよな……間違いなく。
うう、ホント携ってば生真面目に約束守ろうとするんだから。
でも確かにそれなら暗い方が恥ずかしさが少なくなるかも……? こないだ、後ろからとはいえ色々と見えちゃってて、今更だけど痴態を晒したというかなんというか。
携の指が、耳の後ろから首筋を辿って行く。対面に座っているから両手を使ってあちこち探られて、徐々に吐息が熱くなっていく。胸の突起も両方を同時に指の腹で押されたり弾かれたりして、ビクビクと体が震えた。
「あっ、携ぁ……や、だ、そこ」
「いやなの?」
手が下りて行き、やんわりと確かめられる。何も隠すものがない場所を直接包み込まれて、息を呑んだ。
くすりと笑みの音。昂ぶりを知られた。口と体はベツモノみたいだ。
「和明、今日は俺も一緒にイっていい……?」
「ん……」
扱かれながら、わけもわからずコクコク頷いた。
どうするのかわかんねえけど、俺だけっていうのも気が引ける。一緒にイケるなら、その方がいい。
ベッドが僅かに軋んで、携の体温を間近で感じた。太腿を抱え上げられるようにして抱き寄せられて、耳のすぐ横で艶やかに囁かれる。
「俺の、和明がして?」
意識を下半身に戻せば、暗いながらも携の体を抱きこむように俺の足がその腰に回されているのが判る。
つまり、ムスコさん同士がこんにちはな状態で。
しかもなんで携のまでそんな臨戦態勢になってんですかーっ!
携が腰を揺らめかせると裏筋とかカリの部分がいい感じに擦れあって、俺は呻き声を上げた。
やだなんだこれ気持ちいい……!
俺の先走りを携が塗り込めて、二本一緒に両手で掴んで先端をマッサージするように親指の腹で円を描いていく。一人でさせとくのも気が引けて、俺もおずおずと両手を伸ばした。
ん……俺のよりちょっと太い、し、長いか……まあ身長違うししょうがない、けどっ。
ゆるゆると扱いているだけなのに、快感が半端じゃない。手の刺激と、竿同士の擦れる刺激と。耳を澄ませば、携の呻き声もエロくて下半身直撃で。
きっとお互いにお互いの声に酔ってんだ……。
確かに、一人でやるより何倍も気持ちいい。誰とでもなんて無理だけど、携とだったらこんなに気持ちいいんだな。
朦朧と快感だけを追い求めながらも、それだけは確信してた。
「ぁっ、もう駄目っ」
「ん、いいよ」
二人の手がシンクロして、動きが加速する。先に俺が吐き出し、その後を携も追った。
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