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第119話 予定外の訪問者
陵辱シーンです。苦手な方はご遠慮下さいますよう。
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「も、もういいんじゃねえ?」
左足を支えていたやつが、情欲にまみれた視線を俺の下半身に集中させている。股間では雄の象徴もぷるぷると震え、管を抜かれながら、後孔も開閉を繰り返しているのが感じられた。こいつらからしたら、それが誘っているように見えるんだろう。
「まあ、あんたの粗チンなら奥まで届かないから大丈夫だろ」
舌なめずりしているヤツを軽蔑しているかのように川上が応えた。
だがそんな態度すら気にならないほどに昂ぶっているらしいそいつは、他のやつらを促して俺をベッドに下ろす。
「決めたとおり、順番だからな」
乱暴にうつ伏せにされ、尻だけ高く上げる姿勢を取らされた。腕が背中にあるから顔で上半身を支えるしかない。頬っぺたをシーツに押し付けられて喉の奥で悲鳴を上げながらも、間断なく感じる痒みに意識を乗っ取られて、これからいよいよ挿入されるというのに他人事のように感じられる。
たっぷりとローションをかけたものが、もう既に緩んでいるそこから押し入ってくる。指だけでも圧迫感が凄くて苦しくなったのに、そこにみっしりと埋め込むように侵入して来た熱く滾るものに、肺の中の空気が全部押し出されるような感じがした。
「んぐ……」
性急に全部突っ込んだんだろう、袋がケツにピタピタと当たり、それからすぐにそいつは腰を動かし始めた。
「っは、久し振りだな、初モノなんて! すげー締まる!」
腰を支えながらガツガツと突っ込んでくるそいつに体を揺さぶられながら、こんなことならもっと早くに携としておけば良かったなんて、頭の隅で考えてしまった。
痒みだけで乗っ取られていた脳裏に携の顔が浮かび、申し訳なくていたたまれなくて涙が溢れた。
それでも、挿入されている間は少し痒みが治まることに気付き、更に背後のヤツが達して奥に熱いものが叩きつけるように放たれたとき、かなり痒みが遠退いたことに気付いてしまった。
突っ込んでいたヤツが余韻に浸る暇も与えられずに急かされ押しのけられて、次のヤツが覆い被さってきた。
他人の放ったもので滑りの良くなった場所に躊躇なく差し込み運動を開始する。まるでルーティンワークのようだ。気持ち悪いとか、思わないんだろうか。こんなことが、こいつらにとっては最高の娯楽だなんて。
揺さぶられ乱暴に出し入れされ、呼吸さえも満足に出来ないのに。
俺の心の中を満たしているのは、そんなやつらに対する哀れみの気持ちで──。
そんなの、上から見下しているみたいで、汚い。
俺の価値観で勝手に判断して、被害者にもなりきれずに悲しくて悔しくて涙だけが溢れる。
不思議と、怒りが湧いてこないんだ……だけど、もう俺は。
この体は、携に触れてもらえないほどに穢れてしまった。汚れてしまった。
それだけは、ひしひしと感じていた。
だからかな──もうどうでもいいなんて、思っているくせに。
どうして涙が止まらないんだろ。
ごめん、携、ごめん……。折角、気持ちを打ち明けあって、俺、待ってるって約束したのに。
もう、忘れて欲しい。
昨日の言葉、全部なかったことにして。
瞬きすら忘れたように、ぼやけた視界から熱いものだけがシーツとマットレスを次々に濡らし続けていく。
その時、強いノックの音が響いた。
二人目が放出した後、既に三人目が傍に来て、そいつは正常位がいいのか俺の体を反転させていた手を止めた。
「続けて」
少し声を潜めた川上が言い、俺の足は大きく割られて折り畳まれ、少し腰を浮かせるようにして三人目が挿入してくる。
ドアの外では訪問者が焦れたように再びノックをした。
誰だろう……まだいるのかな、黒凌のやつ。
もうこの際何人増えようがどうでもよくて。とっくの昔に、誰かに助けてもらおうなんていう気持ちは失せてしまっている事に気付いた。
「誰?」
「俺だ。優太郎、いるのか? 開けろ」
川上の応えに返ってきたのは、周の声だった。
さざなみの様に三人の暴行者に動揺が走り、川上だけが何故か満面の笑みを浮かべて内鍵に手を伸ばした。
開けるつもりなんだ……。
ぼうっとそれを見守る俺とは反対に、三人は焦りを見せている。ということはこれは予定外の出来事なんだな。
薄くなった痒みのお陰で思考力が戻っている俺は、変わらずに流れ続ける涙で曇る視界の中に、ドアを開けて招き入れられた途端に硬直して目を瞠る周を納めた。
その背を押すように完全に室内に入れてからまた川上が施錠して、その音に正気に返ったのか周がわなわなと拳を握り締め、俺の上にいるやつを強引に引き剥がそうとした。
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