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第121話 ブラックアウト
陵辱シーンです。苦手な方はご遠慮下さいますよう。
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隣のベッドでの出来事などお構い無しに俺の体は揺さぶられ、いくら潤滑剤が溢れるほどに放たれていたとしても、入り口の筋肉は擦れて苦痛を訴え始めていた。
ようやく熱い迸りを受け止めて解放され、足を伸ばすことを許された時、視線の先では力なく周が項垂れていた。
出来るものなら、今すぐ伝えたいよ……。
周、これは周のせいじゃない。そんな責任、周にはないだろうって。
川上が周のことをそんなにも好きだったなんて、思いつめていたなんて知らなかったんだろ?
仮に知っていたとしても、それは周とは関わりのないことだって。
川上だって、本当はほかの男との性行為なんて本意じゃなくて、でも仕方なく受け入れている。それはそんな風に教え込まれてきたから。そんな中で、他のヤツとは違って、こんな風に突っ込むだけじゃなくて、周は優しくしたんだろうと思う。
俺に触れたときにも「どうやったら気持ち良くなる?」って訊いたくらいだから、きっと気持ち良くさせようと色々してくれたんだろう。だからこそ、川上は周に執着した。
その気持ちは、理解できるから。
もういい、もういいんだ、周。
俺は、もう受け入れるから。川上が予定していた通りのシナリオに乗っかって、この薬が切れるまで付き合うから。
その後は……その時に考える、けど。
自分と相手の汗に濡れたTシャツが肌に張り付いて気持ち悪いけれど、これが俺に許されている最後の砦なのかな。
携の指が、触れてくれたら──今は静かにしている俺のものも、ちゃんとやる気になって。こんな性欲処理のためだけに突っ込む行為に、本当に意味はない。だから、川上の言い分は良く解るし、気の毒だなって思う。
怒れないよ──川上に対して。
おかしいのかな、俺。
怒って、憎んで。それが当たり前なこと、されてる。
もう多分起き上がる力もなくて、それなのに口も腕も自由にはしてもらえなくて、外してもらえたとしてもずっと変な角度に曲げられて上半身の重みを受け止めている腕なんか、しばらくは動かせないだろう。
開けっ放しで唾液を吸い続けたハンドタオルが、上向いている喉を圧迫する。どうにか気持ちを落ち着けて呼吸を細くして鼻から酸素を取り続けてきたけど、段々とそれも苦しくなってきた。
ああ、そっか。涙と一緒に鼻水も出てるから、それで呼吸し難いんだ。
せめてもの抵抗に、横を向いてみる。ちょっとは……楽かな。
「カズ……?」
遠くで、周の声が聞こえる。
ガチッとノブが硬い音を立てて動き、外から乱暴に叩く音がした。
「おい! 開けろ! 今すぐ開けないと副会長権限で強制捜査するぞ!」
──なんか、携の声、する……。
副会長権限って、寮内で通じんの ?
おかしいな、携。
泣きそうな顔をした周が二人の拘束を外し、乱暴にドアが蹴破られて入室した携とそれから久し振りに讃岐を認めたとき。
俺の意識はブラックアウトした。
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