「なんでカシワギ先輩が！ハルマの布団に？！」 俺は飛び起きた。 「いやいや、人聞きの悪い言い方をするなよ。僕を帰さなかったのは、お前だろ。」 カシワギ先輩がジロリとこっちを見た。 昨日のことを、思い出した。 昨日、大学の授業の履修の仕方をカシワギ先輩から教えてもらったのだ。 で、夕飯に三人でお好み焼きを作って食べた。 ここまでは、三人でいた。 そしたら、ハルマに電話がかかってきたんだ。 お母さんが夜勤、お父さんが出張で留守。 そんな日におばあちゃんが体調が悪くなってしまったから、実家に泊まりに来てと言われたのだ。 ハルマがいなくなった後、俺と先輩はパズルゲームをしたんだけど、全然俺が勝てなくて……。 『ちょっと練習してから対戦してください！』 って、言って練習して、対戦して、負けて。 また練習して……とやっている間に、先輩は飲んで寝ちゃったんだよ……。 うん、だから、もう泊まるって話になって……。 「思い出した？」 先輩はニヤニヤしながらこっちを見ている。 「……思い出しました……。」 「まさか、新居に引っ越して、1か月もたたないうちに、恋人のベッドで浮気するとはね。」 「いや！ちがっ！俺はハルマだと思って……！」 「二回戦したくなるくらい、良かったんでしょ？俺の体。」 「そ、それはそうだけど……。」 先輩も起き上がり、俺に抱きついてきた。 「ホントにもう一回する？」 先輩が耳元でささやく。 「いや！結構です！」 「しようよ。最近ヒビキは忙しくて、欲求不満なんだ。」 「知りませんよ！そんな事情！」 先輩がキスを仕掛けてくる。 捕まったら大変だ。 キスが嫌なんじゃない。 今キスしたら、本当に二回戦に突入してしまう。 「もう！いい加減落ち着いてください！」 絡んでくる先輩を、俺は押し倒した。 その瞬間に、ハルマが寝室に入ってきた。 ハルマと目が合う。 「お、おかえり……ハルマ……。」 「……ただいま。」 ハルマから凍りつくような視線をむけらた。