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第3話 バイト探し
「……何してるの……?」
「違うんだハルマ!何もしてないから!」
確かに、したはしたけど、でも、それは、したうちに入らない。
全然入らない。
「ハルマ、これには深いわけがあるんだ。昨日、ゲームで夜更かししたから、泊めてもらったんだ。で、リョウスケは、俺とハルマを勘違いして襲ってきたんだ。まあ、結局、リョウスケは、ハルマが好きってことさ。」
そう言いながらカシワギ先輩はベッドから起き上がり、しれっと着替え始めた。
「……そういうことなんだよね……。」
本当の話だ。
嘘は言ってない。
「……そう……別に、いいけど……。」
ハルマはこちらを睨みながら言った。
「お、おばあちゃん……大丈夫だった?」
「うん。もうすぐお母さん帰ってくるから。」
「それは、良かった……。」
ハルマが少しでも遅く来たら、ガチでヤッてたかもしれない。
危なかった。
――――――――――――
そんなバタバタした朝だったが、大学に行き、先輩のアドバイスに沿って履修登録をした。
夜、アパートに帰り、バイトの求人サイトを見る。
体力に自信もあるし、飲食店がいいかなと思っていた。
「ハルマは、バイトは何にするの?」
「勉強に支障がないようにしたいから、家庭教師とかかな……。」
「塾講師はやめた方がいいよ!」
「な、なんで、急に……。」
カシワギ先輩のレイプドラッグ事件を思い出し、必死に止めた。
先輩が未遂で済んだのはたまたまだ。
もしハルマが飲み会に誘われて……
酔い潰れたところを悪い奴らに脱がされて……
あんなことやこんなことをされて……
あまつさえ、そんなエロいところを撮影でもされた日にゃ……
「ダメ、ゼッタイ。」
「あ……そう……。わかったよ……。じゃあ、飲食店かな……。」
酔っ払った客にセクハラされるハルマ……
店長にミスを責められて、体で返さなくてはならなくなったハルマ……
それを先輩に優しく体で慰められるハルマ……
「ダメだよハルマ……バイトしちゃ……。」
「な、なんで……?」
はあ、俺に財力があればハルマを危ない目には遭わせないのに。
ヒビキさんから何か紹介もらえないかな……。
ってか、あまりに忘れたくて考えるのを辞めてたけど、俺と先輩がヤッたと知ったら、ヒビキさん、どうなるんだろ?
怒るのかな?
大体にして、先輩は、なんなんだろう。
先輩の考えていることは、全くわからない。
あれかな、セフレにしたい的な?
欲求不満って言ってたし……。
なんか、複雑な気持ちなんだけど、体の相性が良さそうなんだよな。
でも、絶対に恋人にはしたくない何かがある。
ハルマやヒビキさんもいるし、快楽に溺れたら、ダメな人になる。
気をつけよう。
「……リョウスケ、何考えてるの?」
「え?」
「カシワギ先輩のこと?」
「あ……いや。ヒビキさんから、ちゃんとしたバイト、教えてもらえないかな、って。」
「ふーん……。」
「朝は、本当に、何もしてないから。」
嘘だけど、そう言うしかないだろう。
「別に……気にしてないよ。」
「ごめんね、変な場面見せて……。」
まあ、あれだ。
今日は、誠心誠意、サービスしよう……。
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