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第6話 ジョルジ

2回目の絵画展受付の時、いとこのジョルジが会場に来た。 本当は1回目から来るはずだったが、仕事で変更になったのだ。 「ハル?!久しぶり!大きくなったね!」 ジョルジはパーマをかけ、ヒゲを生やしていた。 薄く色が入ったメガネをかけている。 派手なシャツだが、ジャケットは着ていた。 「お久しぶりです。」 会うのは、ジョルジが小6の時が最後だから10年ぶりだ。 ジョルジはハルマを抱きしめると、左の頬、右の頬に頬を重ね、ハルマの唇に軽くキスをした。 驚いて、体を引いてしまった。 「フランスの挨拶だよ。」 ジョルジがニッコリと笑って言う。 「あ、は、はい。」 「スーツを着ているせいもあって、男らしくなってはいるけど、あの時の可愛らしさも変わらず残っているね。」 ジョルジがじろじろと見てくる。 「そうですかね……。」 「ああ、敬語はやめようよ。俺とハルの仲じゃないか。」 「じゃあ、そうする。」 ジョルジと遊んでいた幼い頃を思い出す。 「今日の夜空いてる?ご飯一緒にどう?」 本当は、今日、リョウスケはバイトが休みだった。 久しぶりに一緒にゆっくり夕飯を食べれると思っていた。 「……うん、行くよ。」 いつまでも、リョウスケにべったりじゃダメだ。 ―――――――――――― リョウスケにメッセージを送る。 『今日、いとこと夕飯に行くことになったんだ。ごめんね。』 『了解!楽しんできてね。』 すぐ返信が来た。 もしかして、俺がいないことをいいことに、先輩を呼ぶんじゃ……。 一瞬、嫌な妄想をした。 ―――――――――――― バイトが終わり、ジョルジとタクシーに乗る。 タクシーが着いたのは、高級ホテルだった。 「こ、ここでご飯食べるんですか?」 「そうだよ。せっかくだから、ゆっくり話ができる場所がいいと思って。」 煌びやかなロビー。 すれ違うセレブらしき人たち。 上品に対応してくれるホテルマン。 違う世界に来たみたいだった。

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