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第12話 客室

急にジョルジに放り出されて、俺たちは呆然とした。 「ええと……、ど、どうする?1時間って言われたけど……。」 妙にドギマギする。 「……リョウスケは……どうしたい?」 こんな人んちでイチャラブできるほど、度胸はない。 だからと言って、何もしないには手持ち無沙汰だ。 「俺は……ちょっとまだ、わかってないっていうか……。ハルマはどうしたい?」 チラッとハルマを見る。 メイクで整えられた顔は、いつもの可愛いらしさだけでなく、中性的な凛々しさがあった。 「俺は……色っぽさがなきゃ、ジョルジの仕事が進まないなら……リョウスケに手伝ってもらった方がいいんじゃないかとは思うけど……。」 恥ずかしがっているハルマを見て、その気になっていく自分がわかる。 「……じゃあ……客室に行こっか……。」 本当に俺は雰囲気に流されやすいんだな、と、自分に呆れてしまう。 ハルマもソファから降りて、客室に向かう。 部屋にはシンプルなダブルベッドがあった。 ベッドに腰掛けて、すぐにハルマを抱き寄せてキスをする。 少し唇がぬるっとする。 口紅…なのかな? いつもより、ツヤツヤで赤くなった唇が可愛かった。 仕事のためなのはわかるが、今のハルマは俺だけのものなんだから、この口紅だって、俺のために塗ってあるようなものだ。 そう思うと嬉しい。 不思議なことに、ハルマはメイクをした方が男らしい。 ほりが深く見えるように陰影がついていて、目元も縁取られていて涼やかだ。 男を抱いている。 初めてそう感じた。 「……リョウスケ?どうしたの?」 「ん、あ、いや。今日のハルマはカッコいいな、と思って。」 「そうかな……。」 なんか、急にハルマが別人のように感じる。 シャツのボタンを外しながら、首筋にキスをする。 「……キスマークつけたら、ダメだよね……。」 「別に、写真じゃないから、いいんじゃかいかな……。」 それって……ハルマ的にはつけてほしいってことかな……。 チュッと、吸う。 「んっ……。」 ジョルジさんには冷やかされるだろうけど、まあ、これも愛の証で。 ハルマの乳首にも舌を這わせる。 固くなった乳首を優しくなでたり、吸ったりする。 「あ……ん……。」 ハルマがもじもじしてくると、当然俺ももじもじする。 いつもここで俺が理性を飛ばして、ついつい勢いでしてしまうのだが、今日は人様のベッドだ。 多少ははばかられる。 「……リョウスケ……。リョウスケのが、ほしいよ……。」 そう耳元で囁かれて、多少あったはばかる気持ちは吹っ飛んだ。

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