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第33話 お願い

俺はそっと先輩の中に入れた。 「あ……っ。」 先輩がちょっと反応する。 ゆっくり動かしていく。 先輩は、響さんが好きで、本当は響さんと二人でしたいはずなのに、その人の目の前で違う人のを受け入れるって……どんな気持ちなんだろう……。 「湊……こっちがおろそかだよ?」 先輩ははあはあ言いながら、響さんのものをもう一度咥え直す。 健気…… いや、俺がどの目線で?って感じだけど、もう、先輩をいじめたいのか可愛がりたいのかわからない。 自然と、腰の動きが早くなる。 「あぅっ!あっ!……!」 先輩は喘ぎ始めた。 俺にも堪えきれない快感が押し寄せる。 「湊……ほら、忘れちゃダメだよ……。」 先輩は言われた通りに響さんのものを追うが、上手くいかない。 「仕方ないな……。」 響さんは先輩の口に指を入れる。 「ん!あっ……!」 先輩は響さんの指にしゃぶりつく。 響さんが指を出し入れして、先輩は上の口も下の口もトロトロだ。 「あっ……!」 俺は情けない声を出して終わり、なんだかわけもわからないまま先輩から離れた。 響さんは先輩を少し抱き上げてキスを始めた。 いや、うん、なんかすごいな……。 先輩はもう、とろんとなってなすがままだし、響さんは未だ冷静だ。 響さんは先輩の残っていた服を脱がし、自分も服を脱ぎ始めた。 そして先輩の上に乗り、普通にセックスを始めた。 あれ? 俺って、ここにいていいんだろうか…… 話しかける勇気はない…… 「響……!あんっ!あっ!響……好きだよ……!」 先輩…… いや、絶対、最初からこうすれば良かったよね……。 でも……もうしょうがない! ここまで来ちゃったし! 先輩も響さんも、俺がいないかのように二人の世界だ。 これは、お金を払わなければいけないだろうか? 先輩は、一瞬のけぞってからぐったりした。 響さんは喘いだりしないが、呼吸の乱れとしてはイッたのではないだろうか……。 響さんは、先輩に布団をかけてあげた後、部屋を出てしまった。 ―――――――――――― ちょっとしてから、俺も服を着て部屋を出た。 響さんは部屋着を来て、ソファに座っていた。 テレビは点いているが見ているわけではなく、ただ流してるだけのようだった。 「響さん……その……すみません……先輩は、響さん一筋なのに、その……やっちゃって……。」 何をどう謝っていいのかわからないけど、響さんに嫌われたくない。 「座って。」 響さんはやっぱりほほえんで、俺をソファに座らせた。 目の前のローテーブルに置かれた水を注いでくれる。 勧められたので、飲み干した。 「リョウスケ君は、湊のこと好き?」 そう言われて、今までの様々を思い出す。 「好き……というか、腐れ縁というか……。好き、というよりは、尊敬は、してますよ。高校時代から……。先輩として一緒に過ごしてて、楽しいから、好きではあります。それはただの後輩として……。恋愛だと、俺の身に余ります!」 それだ! 恋愛だと、俺の手には負えないエロスだ。 「はは。正直だね。これからも、湊をよろしく。」 「え……。その……先輩が、他の男と一緒にいたら嫌じゃないんですか?」 「湊は、ずっと俺と一緒にいたいんだと思うんだ。でも現実的にそうはいかないから、リョウスケ君と楽しく過ごしてくれるなら俺は安心だ。」 響さんは笑って言う。 安心……なのか? 「ハルマ君には悪いけど。」 うん、そうね。 俺が言うのもアレだけど、ハルマもいるんだよ。 「ハルマ君も仲良くしてくれれば。」 「絶対ダメです。先輩が、ハルマにハマったら大変なことに!」 「ごめん、ごめん。二人の仲がこじれない程度によろしくね。」 響さんは気軽に言った。

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