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第34話 誕生日プレゼント

ハルマのモデルバイトが終わり、休日の昼間は一緒に過ごせるようになった。 ハルマは垢抜けた。 いい化粧品をプレゼントされたらしく、休日はモデルバイトの時のように化粧をしてくれる。 格好次第では女の子に見えるくらいかわいい。 街に出ると、すれ違った女の子たちがキャーキャー言ったり、ハルマを1人残してると、ナンパされてることもある。 これで、あの写真集が出されたらどうなってしまうのか……。 「リョウスケ……やっぱり、居酒屋のアルバイトは続けるよね?」 「そのつもりだけど、どうして?」 「一緒の時間が少ないな……って……。でも、しょうがないよね……。」 ハルマ…… こんな俺をそんなに好きだなんて…… 毎回、こんないじらしい姿を見ると、俺にはハルマしかいない!と思ってしまう。 ちょっと、やってることはちぐはぐだけど……。 「もう少し他のバイトも探してみるよ。」 「ごめんね、わがまま言って……。」 「ハルマは、バイトどうするの?」 「それなんだけどさ……。今回撮影してくれたカメラマンさんが、フランスに帰らないでしばらく日本で仕事するんだ。モデル兼アシスタントでバイトしたいんだよね。」 「へー。いいんじゃない?ハルマが働きやすいなら。」 「あ、ありがとう……。そうするね。」 なんだろう、ちょっとハルマはおどおどしているように見える。 「そのバイトに、空きないかな?機材運びとか、体力仕事があれば……。同じバイトなら、一緒にいる時間は長くなるよね!」 「たしかに……。それ、いいかも。聞いてみるね。」 ハルマは早速メッセージを送ってくれた。 そうなると、居酒屋バイトは少なくなるだろう。 早く和紗の合コン報酬をもらわなくては……。 あ、自分の中で、合コンは浮気じゃない。 社会勉強だ。 ―――――――――――― ――翌日―― 朝起きると、珍しくハルマは先に起きていた。 俺が寝坊したわけじゃなかった。 今日は二人とも1コマから授業があるから、同じ時間に家を出る。 よく眠れなかったんだろうか? 寝室を出ると、いい匂いがした。 「あ、リョウスケ、おはよう。」 「おはよう……なんかいい匂いがするんだけど……。」 「誕生日おめでとう。頑張って、朝食作ってみたんだ。」 「あ、ありがとう。え、ホントに?」 鍋を覗くと、美味しそうなスープができている。 「あとは、サラダと、パンも今から焼くし、このお肉はジョルジからもらったんだ。ジャムは、手作りしたんだ……。おいしいか、自信ないけど……。」 「ハルマ……本当にありがとう……!」 もう、やっぱり俺にはハルマしかいないと思った。 ハルマを抱きしめてキスをする。 「あ、あとね、プレゼント……。」 細長い箱を出される。 開けると、時計が入っていた。 見覚えのあるデザイン。 ジョルジカラーだ。 「すごい……おしゃれ……!」 「これは、俺とジョルジから。ジョルジは色んなところにデザインを提供してるんだ。スマホがあるから、今時、腕時計はいらないかもしれないけど……。」 「そんなことないよ!ありがとう!大切にする……!!」 もう一度ハルマを抱きしめる。 こんなに幸せでいいんだろうか。 時間があったら、ベッドに連れていくところだった。

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