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第36話 和紗のアパート
無事に(?)合コンが終わり、柏木先輩は帰ると言うし和紗は泥酔したので、今日はお開きになった。
ジョルジのおかげで次の約束もあるから、まず良い成果だ。
和紗に肩を貸しながら歩く。
先輩が和紗のアパートがわかるとのことで、案内してもらうことにした。
アパートについて、鍵を一緒に探す。
何とか上がり込んだ。
ベッドに寝かせると、和紗はぐーぐー寝始める。
「このまま置いていっていいんですかね……?」
「しょうがないよな。」
「でも、よく吐いたものがのどに詰まって死ぬとか聞きません?」
「よくは聞かないけど……。少し様子見てくか。」
アズサちゃんと日本酒飲み比べをしてこのざまだ。
アズサちゃんはケロッとしていた。
今時の女の子は強いんだな。
「俺、コンビニで何か買ってくるよ。」
そう言って先輩は出て言った。
和紗がいるとは言え、先輩と一緒にいてどうしよう……と思う自分がいる。
女の子に優しい先輩、女の子から狙われている先輩。
側から見てもイケメンな先輩の、あんな淫らで可愛い姿を俺は知ってるんだよなぁ……という謎の優越感。
先輩のあの場面を思い出したらちょっと興奮してきた。
和紗の呻き声がしたので、様子を見た。
「和紗さん……大丈夫ですか?」
「あ、うん……。ごめん、めっちゃ酔ったね、俺……。」
「もう家ですよ。具合悪くないですか?」
「今……寝たら大丈夫になった……。」
「ならいいんですけど。」
「リョウスケ君……。」
「はい?」
「チューしたい……。」
「え?」
「俺、リョウスケ君とのキスが忘れられないんだ……。」
「それは……また体調のいいときにしましょう……。」
「今、したい……。」
「………………。」
「今日の合コン……俺がんばったよぉ。」
たしかに、和紗の盛り上げのおかげでかなり楽しかった。
アトリエデートも和紗が車を出してくれる。
マリサちゃんが結構下ネタも大丈夫だということもわかった。
これも、和紗の働きのおかげだ。
「……わかりました……。一回だけですよ……。」
「この間みたいに、強引な感じがいいな……。」
そうですか……。
先輩が帰って来ないうちに、早く済ませよう。
俺は、ベッドに横になる和紗に上半身だけ乗せてキスを始めた。
「ん……ふ……んん……。」
和紗から声が漏れる。
さすがにあの時の怒りはないから、強引さは物足りない。
チュッ……と最後に音を立てて唇を離した。
和紗はお酒なのか興奮なのか、わからない顔で少し息を荒げていた。
「リョウスケ君……。エッチしようよ……。」
「え、ヤです。そんな、男となんて。」
ハルマは男じゃない。
天使だ。
先輩は悪魔だし、響さんは神だから。
「俺、結局自分でおもちゃ買って、やってみたんだ……。だから……エッチしてみたい……。」
「……柏木さんじゃダメですか?」
「あんな爽やかイケメンには頼めないよ……。」
じゃあ、俺は何なの?
「リョウスケ君なら、優しく抱いてくれそう……。」
抱かれたいんだ……。
先輩よりは、優しいよたしかに。
「じゃあ、おもちゃを入れるのは手伝ってあげますよ。」
「やだ……。抱かれたい……。」
欲望がストレートすぎる。
「今日は無理ですよ。今、柏木先輩も帰ってきますから。」
「ムラムラする……。」
そうかもしれないけど……。
これ以上、自分の周りに肉体関係のある人を増やしたくない。
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