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第2話 程よい負荷の調節ができないマッチョ

天然マッチョ:『叶』 毒舌ガリガリ:「鏡也」 プロポーズのような勧誘を受け、ひとまずトレーニング体験をしてみることになった鏡也。 『では、体験ということで、いくつかのウエイトトレーニング種目試してみますか!??』 「(叶さん?だったかな。なんかワクワクしてる大型犬に見えてくるな…)」 つい飼い主の足元にお気に入りのおもちゃを持ってくるゴールデンレトリバーが思い浮かぶ。 「んーあんまりトレーニングに詳しくないので、初心者でもできそうなやつが良いです。」 『じゃ、まず基本的なやつから教えていきますね!』 そう言うと叶は鏡也をスクワットラックの方へ連れて行く。 『これはスクワットといって主に太ももやお尻などを鍛えます!!』 『スタートの姿勢は肩幅より少し広めに脚を開きます』 「はい」 『そうしたら、ゆっくり腰を下に下ろしていきます!』 『その時に膝がつま先より前に出ないようにすることと、膝が内側に倒れないようにするのがポイントです!』 「こ、こんな感じ…?」 『わあ〜良い感じです!!!じゃあ、実際に器具を使っていきましょ〜』 そういうと、スクワットラックにかかっているバーに次々と重いプレートをつけていく叶。 『で、このバーの部分にプレートを足していって、運動の強度を上げていくんですけど』 ガチャン 『このプレート大きさによって重さが違ってます』 『重さは負荷っていって、負荷の調節はすごい大事になります!』 ガチャ ガチャ 『後は何回するかっていう回数の設定も必要ですよ!!』 ガチャ ガチャン 「(この人、どれだけ重さつけるんだ…)」 ガシャン! 「(えぇ……つけすぎでしょ………)」 『よいしょ! で、プレートをつけたらこうやってこのバーを首の後ろに置いて、バーをしっかり握ってスタートの姿勢になります』 『よし、で、肩幅に脚を開いて…』 『こんなっ!感じでっ!やります!!!』 「ぅわ…」 重さが足されて、心なしか湾曲しているバーを見て思わず声が漏れる。 「(いやいや、こんな重さ普通そんなキラキラした笑顔でできるもんなの?笑)」 ガシャン 『はい!!!!では、交代します!重さはサポートするのでどうぞ!』 そう言うと叶はラックにバーを戻しながら、自分の立ち位置と交代するように促す。 促されるまま鏡也はスクワットラックの中心に立ち、叶は何枚かプレートを外している。 『こんなもんかな。では、いきましょう!!』 「ストップストップ!わくわくしてるところ申し訳ないんだが(苦笑)」 「いきなり誰がこんな重さ挙げるんだよ!!!」 『え、体重と同じぐらいの負荷にしてみたんですが、重かったですか?』 「こんな重さ持ち上げられたら初心者超えてる!」 『あぁ、すみません、人を肩車してるぐらいだし大丈夫かなと思っちゃいましたぁ(しゅん)』 「(ぐっ…そんな表情されたら追撃しにくい…)」 『あ、ちょっと待っててくださいね!!』 叶は何か閃めき何かを探しに行く。 ガサガサ 「(なんだろ?)」 『あったあった!はい、これどうぞ』 「ん???ほうき…?」 『はい、これ以上軽いものは置いてなくて…すみません…』 『後ろで補助も入ってるのでいつ体勢崩れても大丈夫です!任せてください!!』 「……?ちょっと待て、さっき重すぎたから軽めにしたらほうきになったの?」 「で、ほうきの重さでも体勢崩すかもって思ってるの?」 『??? はい!さっき、いきなり重すぎたから慎重に扱わねばと思って、思い切って軽くしてみました!』 「なんでそうなる笑 思い切りが良すぎる」 力加減がわかって無い叶に思わずツッコミを入れてしまう。 「それに慎重にしようとしすぎて成人男性の扱いじゃなくなってる」 『あぁぁ、すみません(しょげ)』 「しょげてるところ申し訳ないけど、思い切りの振り幅もうちょい微調整してくれません?笑」 『以後気をつけまぁす(しょげ)』 多分、この力加減が分からないポンコツさはこれからも遭遇するだろうなと思いながら、 スクワットに取り組む鏡也だった。

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