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第3話 応急処置で焦って両足ともぐるぐる巻きにしてしまうマッチョ
天然マッチョ:『叶』
毒舌ガリガリ:「鏡也」
グキッ!
「痛っ!」
トレーニング中、不意に左足を捻挫した鏡也の声が聞こえる。
『うわああああー』
『大丈夫ですかぁあああ!!』
大声を出したマッチョが勢いよく走ってくる。叶である。
『とりあえず、ここに足を入れて冷やしてください!』
氷と水が入ったバケツに鏡也の細い右足が突っ込まれる。
「ちょっと待って!!」
『待たないです!少し冷やしたらテーピング巻くので、冷たいの我慢してください!』
「いや、だから待って!右足じゃない!捻挫したの左足!!」
『あぁ…痛かったですよね…腫れてきませんように』
叶がそう言うと、鏡也の右足は一瞬のうちに白い靴下を履いたみたいにぐるぐる巻きになった。
「おい、話を聞け!手際良く反対側の足をぐるぐる巻きにするな!」
鏡也は必死に声をかけているが、叶は焦っているのか全く話を聞いていない。
ゴン!!!!!
『痛っ!何ですか鏡也さん』
テーピングを巻く手が止まらない叶に鏡也は思わずげんこつをくらわせる。
「話を聞け!足が違う!!!」
『左足でしょ?』
「そう、左足!でもお前が巻いてるのは俺の右足!」
『…………………』
急に不思議なものを見たかのような顔をして考えている。
『……うわあ、間違えましたぁ!』
やっと間違いに気がついた叶はテキパキと捻挫した左足のテーピングを巻き始める。
『よし、完成です!多少歩いても大丈夫です!』
「素早い手当をありがとう。ただ…両足ともぐるぐる巻きで歩けないんだが…」
鏡也の両足首はギプスをはめたかと思うくらいしっかりとテーピングで固定されている。
『うわ、ほんとだ!ごめんなさい』
『でも何か両足ぐるぐる巻きになってるの笑っちゃいますね』
さっき犯した間違いを反省していなさそうな叶。
ゴン!!!!!
『うわぁ、またげんこつしたぁ!』
叶はげんこつされた頭を両手で抱えている。
「両足ともぐるぐるにする方が悪い」
「…まあ、でも、すぐに応急処置してくれてありがとう…」
心配して焦って応急処置してくれたんだなと思い、少し小さな声で感謝の言葉を口にする鏡也。
『ふふふ♪』
ありがとうと言われ、機嫌が良さそうな叶。
鏡也はそれを見て右足のテーピングはいつ外してくれるのかなと思った。
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