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第4話 帰り道が同じマッチョ

1週間分の仕事の疲れも溜まった金曜日の夜。 『よし!これで今日のメニューは終わりです!頑張りましたね!!』 「つ、疲れた〜」 明日は休日だし、気合いを入れてトレーニングで身体にさらなる追い込みをかけた。 『身体、しっかりクールダウンして帰ってくださいね!』 「了解〜。今日はまだ仕事あるの?」 『今日はもうレッスン入ってないので帰ります!』 「へえ〜俺が最後の客か」 『へへ、そうです!』 なぜか嬉しそうな叶を横目に入念にストレッチをした。 トレーニングによる程よい疲れで眠たくなる前に、さっと着替えてジムを出た。 コンビニに寄って、ご褒美の新作のスイーツを買い、家に向かう。 『あれ?鏡也さん?おーい、鏡也さーん!!!!』 「ん?」 街灯に照らされながら夜道を歩いていると、どこからか叶の声がする。 『きょーやさーん!』 辺りを見回すとマッチョが手をブンブン振りながら駆け寄ってくる。 『うわージムの外でお会いするなんて〜。帰り道こっちですか?』 「うん、そう。叶も?」 『はい、そうです!途中までご一緒しても良いですか?』 「大丈夫」 『トレーニングで疲れると甘いもの食べたくなりますよね』 「今日のこれは1週間分のご褒美かな」 『お仕事お疲れ様です!同じ家に住んでたらトレーニングから食事、リラクゼーションまで僕ができちゃいますよ!』 「はいはい。同じ家に住んでたらお願いできるな。そんなこと絶対ないけど」 『うわ、適当に言ってるでしょ!僕、良いお嫁さんになる要素いっぱいなのに!』 「あーあ、自分で言わなかったらなあ」 トレーニングの話や好きな食べ物、休日の過ごし方など話題は尽きない。 普段、元気いっぱいの大型犬のようで騒がしいなと思っていたが、話してみるとなんとなく気が合う…気がする。 「あ、俺、こっちなんで」 『僕もです!!』 「あ、そうなの」 『はい!それでね〜』 「俺、ここ右に曲がるから…」 『わあ、一緒ですね!で、僕がそのとき〜』 いよいよ家が目の前なのだが、叶も同じ方向へ歩いている。 しかも喋り続けている。 『あ!鏡也さんと話してるうちにマンション、ついちゃいました!!楽しくてあっという間でした、ありがとうございます!!』 「!!!!?」 『鏡也さん、僕の部屋寄って帰りますか?』 「いや…あの…ここ……」 まさかすぎる状況を飲み込めない。 『ここ?』 「ここ、俺の家なんだけど…」 『ちがいますよ、ここは僕の家です!』 「ちがうちがう、俺もここに住んでる…」 『うええええー!同じマンションに住んでるじゃないですかあー!!』 さっきまで同じ家に住んでるなんてないというフラグを早々に回収してしまっている。 『これは、鏡也さんにトレーニングから食事、癒しまで全てを提供せよという神様からの指令ですね!!』 『これから僕がトレーニングするとき誘いに行っていいですか?』 「いや、あの…」 『これからも末長くよろしくお願いしますね!!』 聞いたことのある言葉を再び聞かされることになると思わなかった。 これからこのマッチョが本当に「トレーニングしましょう!」とか言って部屋に突撃してくる未来が見える…

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