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第5話
父親の良い息子であるために、努力する。
完璧をめざす。
昼は帰って来ない父親を想い品行方正に過ごし、夜は密かに自分で自分を慰める。
それが息子の毎日だった。
父親のものと似た大きさのディルドを床に固定して、それに跨り、それで自分を貫きながら、父親を呼び、切なくイくのだ。
そんなモノでは満たされないのに。
それでも淫らにされた身体は奥まで突かれないと耐えられない。
例えおもちゃ相手でも、その奥まで貫く必要があった。
父親は最近は家にほとんど帰ってこないのだ。
切なくてたまらない。
身体も心も。
父親でなければダメなのに。
それは母親も同じだと言うことは息子は無視をした。
父親がこの家で息子を抱いた後に必ず母親を抱いているということを無視してきたように。
母親も息子も今では互いが存在しないように生活しているのだ。
ただ、父親を想って帰りを待ちわびる。
服を脱ぎ捨て、父親のモノを自分から咥える、その瞬間を願う。
もう1人、弟の存在も忘れたように息子は暮らす。
父親に息子を抱かれながらその存在を思い出させられはしても。
でも父親が抱く息子は自分だけ、と無理やり安心しながら。
父親を愛する以外の選択肢を最初から与えられていないことさえ、息子は知らない。
父親に抱かれるということの、本当の意味さえ。
自分で自分を慰めながら、大きな美しい父親の身体にに白い身体を組み伏せられ、父親にいやらしく育てられた乳首を、父親に舐められ齧られることを夢に見る。
父親の大きな熱いモノで後ろの穴を穿たれて、何度も何度も達することしか考えられない。
穴の襞の一つ一つが父親を求めて吸い付き、父親はそれらをゴリゴリと硬いソレで裏返る程に擦ってくれるだろう。
息子は自分の喉も、形の良いペニスも、父親が楽しむためのモノだと思っている。
父親にセックスに使われることが当然だと思っている。
そうされる以外の世界を。
思いつきもしないのだ。
父親に焦がれてたまらなかった。
息子は父親とのセックス以外の娯楽を知らなかった。
楽しんで良いのは、それだけだったから。
父親がそうさせたのだと思いもしない。
お父さん
お父さん
息子は帰ってこない父親にこがれてディルドに跨り泣き毎夜、泣き叫ぶ。
こんなモノでは足りないから。
泣いて、満たされなさに耐え忍ぶ。
喉を犯されたかった。
穴の奥まで貫かれたかった。
前を自分で擦っていくら出したところで、後ろをディルドやおもちゃを使って達したところで、父親が与えてくれるモノには程遠い。
父親に支配されないと、本当の快楽を得られないから。
心の底まで支配されて。
酷いくらいに犯されて。
やっと快楽を得られるのだ。
支配されること。
それこそが最大の快楽だと父親は息子に教えこんでいた。
どんなに焦がれても。
父親は中々帰ってこようとしなかった。
息子の飢えを知っているくせに。
息子が父親のシャツを部屋で抱きしめ、毎晩部屋で何をしてるか知ってるくせに。
父親がどこかで違うおもちゃを支配しているのは間違いなかった。
息子は切なさに毎夜泣いていた。
新しい父親の部下が家に入ってきたのはその頃だった。
その男は父親の部下らしくなかった。
そんな男は初めてだった。
その男は父親に支配されていなかったのだ。
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