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第7話

父親の部屋に震える指でノックし、入った。 父親は笑って見つめるだけで、何も言ってくれない。 久しぶりの父親は、やはり美しくて。 ガウンを着てソファに座っていた。 濡れた髪。 風呂にもう入ったのが分かることから、今日は先に母親を抱いたのだとわかる。 母親の部屋で、そうしていたのだと。 分かってしまう。 綺麗な母親。 自分と同じように父親に焦がれている母親。 自分よりも長く父親に囚われている女。 息子の方が夫に可愛いがられていると知っている女。 息子のオマケで抱かれる女。 だが今日は。 父親は息子より妻を優先させたのだ。 息子の身体が震えていた。 飢え乾いているのに、父親が自分よりも他のモノにそれを与えていたから。 それは自分へのモノだったはずだから。 それが母親がいつも息子に感じてるものだとは息子は思いもしない。 「久しぶりだね」 父親はニコニコ笑うだけで、それ以上なにも言ってくれない 「おいで」とも「咥えろ」とも。 いつもならそれで始まるのに。 息子は立ち尽くす。 言って貰わなければなにも出来ない。 父親が求めない限り、息子からは何も出来ないのだ。 父親の肉体。 そこにあるのに。 触れることも許して貰えない。 息子はカチカチと歯を鳴らす程に震えている。 禁断症状だ。 父親の前で立っているだけなのに、もうその身体は限界寸前だ。 ボタン一つ外していない服の下で、息子の性器はガチガチに勃起してもう濡れてさえいるし、乳首も凝って尖り吸ってもらえるのを待ってるし、後ろの穴はズクズクと奥から父親のモノを求めて疼いていた。 唇はだらしなく開き、その舌は父親のものを舐めたくて先から涎を滴らせている。 飢えきった犬のような自分を息子は自覚して、惨めになる。 父親は笑ってるだけだ。 父親は、自分以外で楽しんで、こんな飢えとはいつでも無関係なのだ。 「お父さん・・・お父さん!!! 」 息子は震えながら悲鳴を上げた。 父親は分かってくれているはずなのに。 「これがお前の部屋にあったよ」 父親が指をさす。 父親が座るソファの前にはテーブルがあり、そこはいつも息子を抱く場所でもあるのだが、その上に今置いてあるのは息子のディルドだった。 いつも自分を慰めるために使っているモノだ。 息子は真っ赤になる 父親が部屋に入り勝手にそこを荒らしたことは気にならない。 身体も心も何もかもが、全てが父親のものだから。 が、ディルドを見られてしまったことに、恥ずかしさはある。 父親以外のモノを受け入れてしまっていることへの罪悪感も。 だって、息子は父親だけのモノなのに。 「コレがあれば、オレのものは要らないだろ?」 父親は面白そうに言った。 その言葉に絶望したのは息子で、息子は言い訳も出来ず、震えながら涙を流す。 父親以外を楽しんでしまったのは自分だと、その罪を感じてしまって。 「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・許してください・・・」 息子は泣く。 でもその間にすら、服と乳首が擦れることすら感じてしまっている。 だって父親がそこにいるから。 「勃起させて、そんなこと言われてもね」 父親は笑ってる。 そう、父親を前にして息子は欲望が抑えられない。 父親の柔らかい笑い声が響く。 膝さえ震わせて、怯えて泣いているくせに、それでも父親を欲しがる息子が楽しいのだ。 「許して・・・お願い・・・お父さん!!!」 息子は懇願する。 跪いて懇願する、 父親に抱いて欲しい、と。 それが禁断症状なのだと分かりもしない。 中毒にさせられているのだと、知りもしない。 父親という麻薬のためにならなんでもする末期の中毒なのだ。 「して見せろ。一人で」 父親は言った。 父親はテーブルの上にあるディルドに目をやった。 命令されたなら息子はそうする、と誰よりも父親が知っていた。 やっと与えられた命令に、息子は身体をガクガクと震わせた。 言葉を与えられただけでも嬉しかった。 それは命令だったから。 ズボンの中で達してしまう程に。 「勝手にイったのか?悪い子だ」 父親の声は本当に楽しんでいることが分かってしまう 「ごめんなさい・・・お父さん」 泣きながら謝りながら、息子は服を脱ぎ捨てる。 父親の前で一人でする為に。 一番欲しい父親の肉体を前にして、自分だけでする為に。 父親はのんびりソファでくつろぎながらそれを見ていた。 これは父親には遊びでしかなかった。

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