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第15話

父親は欲しがり悶えて叫ぶ息子をみて、楽しそうに笑った。 優しく息子の髪を撫でた。 だが笑っているだけで、何もしてくれない。 息子は焦れる。 自分から脚を広げ、穴まで指で開き、中を見せつけ強請る。 犯して 挿れて ここをゴリゴリしてぇ 涼しげだった顔が、ヨダレを垂らして歪め 欲しくて欲しくて身体が震えている 欲望にはち切れそうになってるペニスがヒクヒク震え雫をこぼしている 欲望に狂乱しているその姿は淫靡で、哀れでもあった。 禁断症状。 その言葉が一番正しい。 でも。 単なるセックス中毒ではない。 「父親の支配」への中毒なのだ、これは。 「お前は可愛いね」 父親は笑うだけだ。 狂う息子をみて楽しんでいる。 「お願い、お願い、お父さん、お願い・・・」 息子は悲鳴のように叫ぶ。 「・・・・・・何かオレに言うことはないかい?」 父親は優しく言った。 我慢出来なくて、父親のそれに自分から跨ろうとする息子を抱きしめて拘束しながら。 抱きしめられても、挿れて貰えないことに息子は泣く。 息子は身体の一番奥まで責められないと満足出来ない身体にされているのだ。 父親に責められ続け、支配されきることを「快楽」として刷り込まれてしまっている。 辛かった行為に快楽が混ざり始めた時、逃げることが許されない子供はそれを「悦び」と脳を書き換えることで生き延びたから。 「オレに何か言うことは?」 父親の声は甘くて。 その声だけで息子はガチガチに勃ちあがったそこから雫を垂らして身体を震わせる。 冷淡ではあってもそれでも母と呼べるただ一人の人さえも、父親によって奪われた哀れな子供。 父親に犯された息子を母親は二度と、子供として見なかった。 父親を奪った存在としか。 息子はただ1人、自分を犯しはしても優しくしてくれる父親にしがみつくしかなかったのだ。 「お前はいい子だね。オレに言うことがあるだろ?」 父親の言葉は。 父親の優しい声は。 どうしようもなくて。 大きくて硬いのを中に挿れて、気持ち良くされたい。 それは息子の唯一の。 ほかに何も知らない、ただ1つの。 愛情だった。 そう思わされていた。 「父親は息子を犯したりしないんですよ」 あの男の声がよぎった。 優しい、出来るかぎり息子に触れないようにした手のこと。 父親を恐れない目のこと。 自由になれること。 でも。 でも。 息子にとって愛とは。 愛じゃなくても。 欲しいものはもうこれでしかなかった。 「言いなさい」 父親の声は。 どこまでも優しくて。 そのことが父親に貫かれる快楽への欲求よりも。 息子の唇を動かせさせた。 息子は泣き叫びながら、全部語った。 男について。 男が言ったことについて。 父親はそれを笑顔で聞いて。 やっと息子を犯してくれた。 息子が自分がしたことの意味を理解するのは。 まだ先だった。

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