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第11話

 拗ねて乳首を軽くつねってよこす理人が可愛い、と思う。手を摑み取って、秘処へいざなった。そこは、いじらしく伸び広がって理人をもっちりと包み込んでいた。ペニスは蜜をまとい、今にもはち切れそうだ。乳首は(つや)めいて、最高級のそれを研磨した珊瑚の粒のように胸元を彩る。 「おれのすべては理人のもの、理人は丸ごとおれのもの」  うっとり微笑(わら)いかけると、猛りがひと回り膨張した。最奥を突きのめし、君臨する。その有効期間は未来永劫、という売約ずみの札を貼るふうに。 「あ、ふぅ……ん、んっ!」  朋樹は、いきんだ。理人から性のイロハを手ほどきしてもらうなかで培った淫技のひとつで、内壁が裏筋を濃やかにブラッシングしてのけるのだ。お返しに鈴口が(さね)にかぶさる形になり、倍々方式で快感が増していく。  もはや(ほしいまま)に貪り合うのみ、という段階を迎えて……いるはずだ。なのに先ほど来の違和感をぬぐい去ることができないせいで、阿吽の呼吸がキモの、抽送のリズムが狂ってしまう。  正と誤の二枚の絵をじっくり見較べても全く同じに見えるほど難易度が高い、まちがいさがしのようなものだ。(なか)のはしゃぎっぷりに加速がつくのが当然の場面で、媚肉が昂ぶりにまとわりつくどころか、明らかに排除したがってうねるのだ。 「正真正銘、理人……だよね……?」  玉手箱、しかり。パンドラの箱、しかり。開けてはいけないものがあり、このときはペニスがしゅるしゅると縮こまった。  さしずめ、かりそめの命を与えられて自由を謳歌していた人形がガラスケースに戻ったような激変ぶりだ。だがにとっては想定内の事態だったとみえて、苦笑交じりにぼそぼそと独りごちるのみ。 「好きな子ほどイジメる、幼稚な真似をやらかしたツケが回ってきたのさ。要するに自業自得だ。俺と真逆の、いっちまったあとも熱烈に愛されている、が羨ましい……」  タイムマシンに乗って過去へ行き、初対面の席で朋樹に悪印象を与える失言を犯した俺をぶった切ってやりたいい──そう、懺悔する口調でつづける。  もつれて渦を巻く髪をひとふさ梳き取ると、そろりそろりとジェンカのブロックを抜き取る人さながら、ためらいがちに唇を落とした。

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