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第24話

 欲望に身を任せ、草の(しとね)に横たわった。ミクロン単位の隙間が生じるのさえ許さない、という強固さで理人とぴったり合わさりたい。そう(こいねが)ってやまない現在(いま)、たとえここが頭上を銃弾が飛び交う塹壕の中だろうが嬉々として秘処をさらけ出す。  早速カーゴパンツをくつろげたところに、 「こら、脱がせる楽しみを奪うな」  獣の目をして覆いかぶさってきた理人を、ごろりと転がってかわす。すかさず跳ね起き、朋樹のほうが馬乗りになった。 「どうせ溺れるなら、おれに溺れなよ」 「そりゃあ……最高の殺し文句だ」  引き寄せられて、抱きついていくと見せかけておいて反り返る。さんざん驚かしてくれたお返しが、まだだ。さしあたって筋肉が描き出す稜線に沿ってずり下がり、へそのぐるりを舌でつつく。 「交替だ、イニシアティブを握らせろ」  体格の差にものを言わせて上になる気配をみせるのを、腋下(えきか)へのくすぐり攻撃でいなしながらジーンズを乱す。膨らみがちらつくのももどかしく、ボクサーブリーフの上から穂先をついばんだ。 「おれの、だ。留守番をがんばったご褒美に、たくさんちょうだい」  仰せのままに、と鹿爪らしげに応じる一方でそろそろと上体を浮かせるあたり、明らかに朋樹を組み敷いて返す隙を窺っている。  先んじてボクサーブリーフをめくり、やんわりとイチモツを握った。今すぐ、つながりたいと後孔が疼く。がっつくな、()くしてあげるのが先だ。うなずき、吸い寄せられるように股ぐらに顔を伏せていった。 「待て、タイムだ。おまえを可愛がる前にイッちまったら、つまらないだろうが」 「意地悪した罰だもん。前菜から、たっぷり……ね?」  ちろちろと鈴口を舐める。ぴくんと反応したのを合図にカリを食み、だがオードブルにつき根元まで銜えるのは持ち越しに。  おあずけを食わせるのもテクニックのうちだ。いわゆるバックヴァージンを捧げた相手は理人で、口淫をはじめ性技全般、実演を交えて彼から学んだ。  草むらでバッタが跳ね、雲が流れて、朋樹は思った。太古の人々は、こういうふうに自然の中でおおらかに愛を交わしたのだ。  理人とおれはアダムとイブならず、さしずめアダムとアダム。だったら蛇にそそのかされて知恵の実を食べた報いに楽園から追放されないよう用心しなくちゃ、だ。  楽園……? 何かの比喩っぽい響きが好奇心をくすぐる。とたんに深堀りする(なか)れ、と警告ランプが点った。  本能の声に忠実に従って、それの輪郭を舐めあげるほうに意識を集中させる。さしずめ版木にかぶせた紙を馬簾(ばれん)でこするふうに。  濡れ髪がうねうねと内腿を掃くのも官能のツボを刺激するようで、ぐぐっと勃ちあがるさまが愛おしい。

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