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第25話

「内乱の取材で日本を離れてるあいだ。むらむらしたときは、おれでヌイた?」 「答えがわかりきって訊くのか」  声帯の震えが新たな快感を生むとみえて、くっきりと血管が浮き出る。おあずけ云々にこだわってやせ我慢を張るより、卵を温めて(かえ)すように、口中で育てあげるほうが絶対に愉しい。  朋樹は眼鏡をむしり取るが早いか、改めてむしゃぶりついた。そして落花生の薄皮をはがす要領で、軽く歯を立ててみる。陽根は性器という以上に、男のアイデンティティそのものだ。理人は嚙みちぎられる可能性について微塵も疑ったことがないのだろうか。いや、無防備にゆだねてくれるのは愛の証し。  動物園で生まれ育ったライオンは、獲物の腹を嚙み裂いて臓物を貪り食らう歓びを知らずじまいのうちに一生を終える。硝煙の(にお)いが立ち込めるなかでカメラを構えるのが生き甲斐の理人に、水槽の中で安穏と暮らすような生き方を強いるなんて恋人失格だ。  いつの日かピュリッツアー賞に輝く一枚を撮ってほしい。だから片時でも離れていたくないのを堪えて、理人が天空で羽ばたけるよう笑顔で送り出す。それが朋樹の矜持だ。 「……くっ、そ。上手すぎるだろうが」  濃やかに舌をつかい、緩急をつけてねぶる。ほろ苦い雫がにじみ出すそばからすすって、それでいて夢中になりきれない。先端が(つか)えるときの角度とか、舌を押し返してくる力加減とか、銜え心地が微妙にしっくりこない。  壁紙の模様に溶け込んでいる蛾が(はね)を広げて初めて、ちっぽけな違和感の正体に気づくような、その程度の差異ではあるのだが……。  と、蠱惑的(こわくてき)に押し殺した声で囁かれた。 「なあ、尻をこっちに向けて跨がれ」 「おやじくさぁ……どスケベ」  上目づかいに睨んで返すのとは裏腹、促されたとおり向きを変えて、鞍になぞらえた顔面すれすれまで腰を落とす。双丘を割り広げられ、吐息が花芯をかすめるのにともなって、さわってほしげにペニスがしなう。ところが早速ギャザーをめくってみるどころか、ショーケースを覗いて品定めするような視線が突き刺さるのみ。 「……あんまり、じろじろ見ないでよ」 「いいや、見る。眼福ってやつだ」  めくるめくまま番っている最中にあられもない姿をさらすのと、これとは訳が違う。を視姦されると恥ずかしさもひとしおで、自然と腰が逃げる。尻たぶを鷲摑みに引き戻されると、蕾がはにかんで窄まり、そのくせ舌が触れたとたん、 「ふぅ……んっ」  ちょうだいと、せがむようにイチモツをしゃぶりたててしまう。ひとひら、ひとひら舐めほどかれるにつれて(なか)がひくひくしだす。

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