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第39話
「この、くされ外道が……っ!」
と、罵倒しざま、妖しく上下する後ろ頭めがけて踵落としをみまった。ひょいとかわされたうえ、吸いしだかれる。なかでも裏筋に焦点が絞られると、ペニスはふしだらに蜜をはらむ。
「……ん、んん……いやだ、理人、理人ぉ!」
叫び、雪庇 を踏み抜いたかのごとく死に物狂いでずりあがった。もっとも、それは逆効果だ。双丘の片側がひしゃげたふうにシーツにめり込み、連動して狭間が広がる。
蕾がちらつき、そのぐるりで指が円を描く。渦に巻き込まれるようにだんだん中心へ近づいていき、ギャザーを解き伸ばしにかかった。
「……っ!」
いくらなんでも後ろが標的にされるわけがないと正直、高をくくっていた。間宮は、朋樹を脅すだけ脅したすえにペニスを離して、
「どうだ、びびったか。ツンケン、ツンケンしてくれた礼だ」
ひぃひぃ笑いころげるのだろう──と。
やりたい放題に且つ、ねんごろにペニスをいたぶられているさなか家鳴りが高まった。反攻に打って出ろ、と奮い起 たせるように。
「やめろって言ってるだろ、ゲス!」
瞬時、凍りついたのが一転して朋樹は憤然ともがきはじめた。コードにこすれてミミズ腫れが二重、三重に手首を取り巻く。マットレスがフレームからずれて、とうに上掛けはすべり落ちた。
ただし裏目に出た。腰が跳ねるたび、上顎の起伏で茎全体を掃きあげられる形になる。朋樹にとっては負の連鎖、間宮にしてみれば好都合。舌がリズミカルに管 をノックするのを助けてしまい、
「あっ、嘘だ……やっ、こんなのは嫌……ん、あ、ああ……っ!」
陥落し、爆ぜた。弓なりに反ったうえで、砂利を蹴散らすように足をばたつかせても、まるでスッポンがぶら下がっているみたいだ。
淫液はおろか、残滓に至るまで一滴残らずすすり取られる。舌鼓を打つ音が残酷なまでに高らかに響く。
「もっ、しつこい……どれだけ、おれを侮辱すれば気がすむんだ!」
達した直後のペニスは、ひときわ敏感だ。怒り狂っているのも相まって、荒い息づかいにわななく裸身が、今度はくすぐったさにのたうつ。
間宮は名残惜しげに穂先をついばんでから、ようやく口を離した。それから美食を堪能したふうに唇を舐め回すと、
「恐ろしく癖の強いクラフトビールだと思えば、ザーメンも飲んで飲めないこともないな」
ごちそうさん、と手を合わせてみせる。
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