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第18話 恋人のセックス
(どうしよう、やっぱり怒ってる)
怒っている藤也 さんを見るのが怖くて、頭がグルグルしてくる。
「ったく、どんな煽り方だ」
「へ? ……っ!」
いつもと違う雰囲気の声に目を開けようとしたらキスをされた。しかもいつもの優しいやつじゃなくてガブッて食べるみたいなやつだ。
唇をガジガジされて、口の中をたくさん舐められて、舌をいっぱい噛まれた。たくさんキスされて、今度は息ができなくて目がグルグルする。キスが終わっても苦しくて、でも気持ちよくてハァハァした。
「やっぱりお仕置きは必要だな。だが、今日はデロッデロに甘やかす」
「でろ、でろ、」
「そうだなぁ。気持ちよすぎて泣き叫ぶかもな。ザーメンが一滴も出なくなるくらい気持ちよくしてやるよ」
「ぇ、あ、ひゃっ」
両方の足首を藤也 さんが掴んだと思ったら、ひょいって感じで持ち上げられた。驚いている間に、お尻の下に枕を突っ込まれた。そのせいで足を下ろしても腰がグッと持ち上がったままになってしまう。
(なんか、ちんこを見せつけてるみたいだ)
いまさらかもしれないけど、この格好はさすがに恥ずかしい。それに練習するならうつ伏せにならないといけない。
「あの、練習なら」
「勘違いしたままみてぇだから、ちゃんと言っておく。もう練習なんかじゃねぇよ」
「へ……?」
言われた意味がわからなかった。
「とっくに練習じゃねぇって、普通なら……まぁ、おまえにはまだ難しいか。そういうおまえだから今回はよかったんだろうけどな。とにかく、もう練習は終わりだ」
「終わり、」
「そう、終わりだ」
「……終わりって、それじゃあ俺、どうしたら、」
「これからは恋人のセックスだな」
「こい、びと、」
「あぁ。おまえ、俺のこと好きだろ」
藤也 さんがそんなことを言いながら、かっこいい顔で笑った。
(俺が、藤也 さんを、好き?)
そんなこと考えたこともなかった。それに、急に言われてもわからない。
「俺のこと、好きだろ?」
好き、なんだろうか。よくわからない。でも「藤也 さんが好き」って頭の中で言ったら顔が熱くなった。
(好、きかは、わからないけど……)
少なくとも嫌いじゃない。かっこよくて、それに俺なんかに優しくしてくれる藤也 さんのことを嫌いになるわけがない。
(それじゃあ、好きってこと?)
そう思ったらどんどん顔が熱くなってきた。これってたぶん、好きってことだ。ドラマでそういうのを見たことがある。
「す、…………すき、だと、思い、ます」
「ハハッ、おまえらしいな。ま、少しずついろんなことに気づけばいいさ」
かっこよく笑った藤也 さんが、またおでこにチュッてキスしてくれた。
「言っとくが、俺はおまえのことが好きだぞ? 一緒に飯食ってテレビ見て、キスしてセックスして、そういうことをこの先もずっとしたいって思うくらい好きだからな」
(藤也 さんが、俺のことを、好き?)
そう思ったら心臓がドクンドクンした。顔が熱くて手も足も熱い。胸もお腹も背中も熱くなる。それに、ちんこがムズムズしてお尻もゾワゾワしてきた。
「ちゃんと言っとかねぇと、おまえ勘違いしたままだったろ」
「かん、ちがい、」
「とにかく、俺はおまえが好き。で、おまえも俺のことが好き。じゃあ、もう恋人だな」
「こいびと、」
「だから、これからは練習じゃなくて恋人のセックスだ」
恋人のセックス。それを、俺と藤也 さんが、やる。
「おー、小せぇペニスをビンビンにしやがって。それにケツもヒクヒクさせて、せっかく奥まで入れたジェルが出てきそうだぞ」
左足を持ち上げられて、お尻の穴をいじられた。入り口をクリクリされているだけなのに、気持ちがよくて腰が勝手にカクカク動いてしまう。
「おーおー、自分から指を入れようとしやがって。もう我慢できないのか?」
穴をいじっている指は、ほんのちょっとしか中に入らない。そこも気持ちいいけど、もっと奥を触ってほしかった。さっきみたいにビリビリするところを、もっといっぱい擦ってほしかった。
「入れてほしいか?」
「いれ、て、ほし、」
入れてほしいから、自分で太ももを持ち上げて足を開いた。枕でお尻が上がっているから、こうすれば穴がちゃんと見えるはず。
「何を入れてほしい?」
「藤也 さんの、ちんこ、入れてほしい」
早く入れてほしい。我慢できなくなったお尻の穴が勝手にパクパクしている気がする。
「どこに入れてほしい?」
「ここ、俺のお尻」
「違うだろ?」
違わない。お尻に入れてほしくてたまらないんだ。
(……あ、そうか)
練習のとき教えてもらったことを思い出した。ここはお尻の穴じゃない。ちんこを入れてもらうときは別の名前を言うんだ。
「どこに入れてほしいんだ?」
「俺のここに、ケツマンコに、入れて」
「よくできました」
笑った藤也 さんが、スーツのズボンをゴソゴソした。きっとちんこを出しているんだ。ドキドキしながら待っていたら、穴にちんこの先っぽがくっついたのがわかった。
もう何回も入れてもらったから、どのくらい大きいのかわかる。どのくらい長いのかもわかっている。それで中を擦ってもらったら、すごく気持ちがいいってことも知っていた。想像するだけで頭がパチパチしてくる。
「入れて、早く、ケツマンコ、入れて、」
「あー、我ながらよく仕込んだとは思うが……まぁ、エロくなる分にはいいか」
「早く、藤也 さん、早く、」
「ケツマンコってのもいいが、アナルって言わせんのも捨てがたいしなぁ。いっそまんこだけでもいいか……。ま、そのうちだな」
「早く、早く入れて、ぇ……ぅあっ!」
穴のところをクチュクチュされているだけなのが嫌で、お尻をくいくい動かした。そうしたら、太いのがグポォって穴を広げて入ってきた。
「ひ、ひ、ぃ、ん……っ」
「は、……簡単に入るようになったな。俺のは、結構デカいんだが、な」
「ふぁ、ぁ、んっ! そこ、きもち、しょこ、きもちぃ、ぃ!」
「正常位はまだつらいかもって思っていたが、……おーおー、もう半分トんでんじゃねぇか? そんなに気持ちいいか?」
「気持ちいい、いぃ、しょこ、ぐりぐり、きもひぃ、」
「気持ちいいな? ほら、恋人のペニス、たんまり食え、よっ」
「ひぃ! ぃ、ぁ、……ぉく、きもちぃ、おくぅ、ごちゅ、て、きもちぃ――……」
ビリビリするところをグリグリされて、気持ちいいって言葉で頭がいっぱいになった。そのまま奥をゴチュゴチュされて目がチカチカしてくる。
練習のときのうつ伏せより、いまのほうがずっと気持ちよかった。藤也 さんのちんこも気持ちいいけど、抱きしめられるのが気持ちいい。気持ちがよすぎて、頭も体も気持ちいいでいっぱいになる。
藤也 さんが、気持ちいい。藤也 さんだから、気持ちいい。
藤也 さんが、好き。好き、好き、大好き。……俺、藤也 さんが好きだ。
「好き、藤也 さん、すき、すき」
「……ッ、と、危ねぇな。煽りすぎんな」
「すき、とぅやさ、すき、ぁん! きもちぃ、すき、ト、ヤさ、すき、しゅき」
「馬鹿、煽りすぎだって……ったく、トんでんじゃねぇか」
「しゅき、きもちい、すき、とぅやさ、すきぃ、しゅき」
藤也 さんが好きだって思ったら、気持ちがよすぎて頭がおかしくなった。もう気持ちいいと好きしかわからない。お尻の中までぎゅうぎゅうになって、体まで藤也 さんが好きだって言っているみたいだ。
「しゅき、とぅやさん、すき、しゅきぃ」
「わかったわかった。俺も好きだよ、蒼 」
耳のすぐそばで名前を呼ばれて、首の裏側がゾクゾクした。ゾクゾクが首から背中に移って、腰に移って、お尻の穴と中もゾクゾクゾクする。ゾクゾクが気持ちよくて、怖くて、ぎゅううって藤也 さんに抱きついた。
そこまでは覚えているけど、そのあとはいろいろわからなくなった。
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