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かわいい君はずっと可愛い!

「いつまで可愛いって言うんだよ」  尾上さんは声をふるわせて呟いた。 「……どうしたんですか?」  二人でイチャイチャしながら、並んでテレビを見ていた時のことだ。  指を絡め、肩口に顔を寄せて、首筋に軽く口付ける。尾上さんはくすぐったそうに身をよじって、少し照れているから、確かに可愛いなあとは思ったけれど、口に出してはいなかった。エスパー? 「お前が言いそうなことなんて、なんとなく分かる。俺は四十二にもなって、年下に可愛いって言われ続けてるんだ」 「可愛いから仕方ないでしょ」  そっと尾上さんの腰を抱いて引き寄せる。驚いたのか、身体をびくりと震わせた。 「……話の腰を折るな。お前は爺さんになっても俺に可愛いって言うつもりか? そもそも俺は可愛くないし」  全くの無意識なんだろうけど、お爺さんになっても一緒にいてくれるんだと少し嬉しく思う。  尾上さんは可愛いと言われることをあまり良く思っていない。自分が可愛いのだと理解していないから、からかわれたと思っている。俺がこんなに言ってるのにまだ分からないのだろうか。 「それこそ可愛いから仕方ないですよ。尾上さんはずっと可愛いと思う」 「真顔で馬鹿なこと言うなよ……。可愛いわけないだろ」  いい加減に自分が可愛いことを自覚して、言われ慣れてほしい。その方が俺ももっと可愛いって言えるから。 「可愛いってね、見た目の話だけじゃないと思いますよ。愛しいってことなんだと思うんです。俺は尾上さんの照れ屋なところも、嘘がつけなくて素直なところも可愛くて仕方がない」  尾上さんの手首を掴んで、手の甲にそっと口付ける。 「キスが好きなところも、気持ちいい事に弱いところも、イく時に俺の名前呼ぶところも全部可愛いよ、浩之」  上目遣いで見つめると、尾上さんがわなわなと震えだし顔を真っ赤にさせている。ウブなのに大胆なところもあって、俺にしか見せない感情表現も多い。どこまでも一途で、そういうところが可愛い。どうしようもなく愛しいと思う。 「お前ほんと卑怯。……キザったらしい」 「俺のそういうとこ好きでしょ?」  人差し指を口に含んで、根元から指先へ舐め上げた。身体を震わせ、咄嗟に逃げようとするので、手首を掴む力を強める。 「なにすんだよ」  焦る尾上さんを後目に、わざと水音をたてて指をしゃぶってやると、恥ずかしいのか視線を逸らしていた。ダメ、と小声で言うわりに本気で逃げる素振りもない。  以前は尾上さんから指フェラを仕掛けてきたのだから、これでおあいこだろう。どこで覚えたのかは知らないが、拙いながらもとにかくいやらしかった。ただ指を舐めているだけなのに、不思議なものだ。 「ん……だから、ダメだって」  弱々しい制止はむしろ俺をヒートアップさせるだけだとこの人は知っているのだろうか。 「指舐めてるだけですよ?」 「……あんまいじめるな。お前が言ったんじゃないか。指舐めるのはエロいことだって」 「えー、言ったっけ?」  俺が教えたと言われても、そんなことを言った記憶がない。 「覚えてないのかよ。その……アイス食べてたときに、俺がお前の指を」 「……あ、思い出した」  あれは付き合って少したった頃だろうか。暖房の効いた室内とはいえ、冬場に二人してアイスを食べていたのだ。  指に溶けたアイスが滴って、尾上さんにその雫を舐められて、そうだ、その時は──。 「尾上さんが自分からフェラするって言った時じゃん……」  もしかして、尾上さんもフェラ期待してるのかな。  いつもは俺のを受け入れてくれるけど、尾上さんだって男だし、チンポで気持ちよくなりたいに決まっている。 「そうだ。尾上さんの舐めていい?」 「え! ダ、ダメ……ではない」  尾上さんも案外乗り気だ。  俺は元々フェラをするのは好きではない。望まれればしていたけど、少しばかり抵抗がある。でも、相手が気持ちよさそうにしていると嬉しいし、回数をこなしている分、そこそこ上手いとは思う。少なくとも尾上さんを満足させることはできるはずだ。なにより相手が尾上さんだから、したいと思える。 「可愛いとこ見せてね」  尾上さんのズボンに手を突っ込んで、パンツの中からペニスを取り出した。まだふにゃふにゃなそれに唇を寄せ、先端に軽くキスをする。そのまま尾上さんのものを口に収めた。根元から手で軽くしごいて、ある程度勃たせて咥えやすくする。  少しずつ硬さが増していくと嬉しくなる。 「あっ……うぅ」  尾上さんは裏筋よりはカリが弱いらしい。唇をカリ首に引っ掛けると敏感に反応する。先っぽは舌先を入れてもあまり反応がないので、少し面白くない。中に何か入れたらまた違うのかな。  切なげに眉を寄せ、吐息の混じった悩ましげな声を出されると、俺も興奮してしまう。 「自分で乳首いじれる?」 「うん……」  尾上さんにシャツをたくし上げるよう言い、ずり落ちないように噛ませる。両方の乳首を指先で撫で、そのまま押しつぶすように乳頭の周りに指を這わせ、少し勃ち上がったものを摘んでいる。その度に身体が震えていた。 「ふっ……うぅん……♡」  シャツの裾を咥え、目を瞑って快感に耐えている様を食い入るように見つめていた。  こんなの可愛いだとか言っている余裕もない。もうエロすぎて挿れたくてたまらない。  けれど、フェラをしたいと言い出したのは自分だ、途中で投げ出すわけにはいかないだろうと自分に言い聞かせる。  根元を強めに握る。包皮を唇で持ち上げ、思い切り何度も上下に擦ってやると、気持ちよさそうに声を漏らしていた。何度も一定の速さでストロークしていると、尾上さんの身体に力が入り、足先が強ばっていった。 「んんーっ!」  きゅっと目を瞑り、首を振っているからもうイきそうなんだろう。口を離せと言いたげだが、絶対に離してなんかやらない。むしろストロークを早め、根元も手でしごいてやる。  俺は尾上さんの精液の味を知りたいんだ。 「んんッ♡……うぅ、ん♡♡」  何度かビクビクと震え、口の中に粘液が吐き出された。苦味はあるがそこまでじゃない。吐き出しはしたけれど、口の中で粘度のある液体が主張し続けている。  尾上さんの体内から出たものだと思うと美味しい気さえするから不思議だ。  尾上さんは肩で息をして、絶頂の余韻に浸っているようだった。 「尾上さん、まだへばらないでよ」 「分かるけど、ちょっと休憩させて……」  イったばかりで辛いのも分かるが、こっちだってすることしたい。流石に急に挿れさせろなんて言わないから。 「俺のも舐めてもらわないと。フェラの練習しよ」  ズボンを下ろし、パンツからペニスを出した。触ってもいないのに既に兆し始めている。これも全部尾上さんがエロすぎるのが悪い。 「練習……?」  尾上さんは不思議そうに首をかしげながらも、ちゃっかり俺のペニスに手をかけ、大口を開けていた。 「そう。ほら、唾液いっぱい出して、ベトベトにして」  言われるがまま、尾上さんは口の中に唾液を溜め込んでいた。ぬるぬるとした感触に包まれる。 「カリとか裏スジとか好きなように舐めてみて」  指示を出していると、尾上さんを征服しているような気がしてしまう。不安そうに、度々こちらの顔色をうかがいながら、ペニスを舐める様は健気で可愛いらしい。  上手くコツを掴んだのか、随分と気持ちが良かった。 「上手いよ。次は上下に動かしてみて」  ゆっくり動かしては水音を響かせる。 「さっきされて気持ち良かった事してね」  明らかになにか言いたげな表情で睨まれた。声には出さないものの、辱められたことを怒っているんだろう。それでもペニスを咥えたままなんだから、尾上さんだってスキモノだ。 「んっ……ふう……ここ?」  唇にカリを引っ掛けて上下させている。尾上さんの唇の感触は少し固めだが、尾上さんの肉と粘膜で扱かれているのだと思うと興奮した。  一回のストロークの間に裏スジを舐め上げて、カリを引っ掛けてと随分器用に出来るようになってきた。たまに口をすぼめてきたりして、ナカで締められている感覚になる。 「やば……挿れてるみたい」  今までのフェラの中で一番気持ちいいし、興奮している。この中に出したいと思ってしまった。 「尾上さん、手も使って。イかせて……」  根元を手で擦らせた。本当はふやけるくらいまでねちっこく長くフェラされたいのだが、俺にそんな余裕などなかった。  尾上さんの小さい口が俺のちんぽを咥えている。それだけで刺激が強い。切なげな瞳で口をすぼめているのを見ると、このまま喉奥を犯してやりたいとさえ思う。 「んっ……おがみさん。飲んでくれる?」  調子に乗るなと怒られるだろうか。自分はティッシュに出しておいて、そんなことを言うのかと。  嫌だと突っぱねられそうなものだが、その時の尾上さんは何も言わず、ただストロークを早めていた。  じゅぶじゅぶといやらしい水音が部屋の中に響きわたる。頬を膨らませ、健気に俺のものを頬張る姿がいやらしい。頑張ってイかせようとしてくれている。 「あ……尾上さん」  込み上げるものを感じた。そろそろ限界が近い。 「う、もうっ……出るッ」  まるで搾り取られるような射精感に、何度か身体が震える。  尾上さんの口の中に吐精し、ペニスを抜いた。 「ん……」  尾上さんは舌を出して、口内の白い粘液を見せつけてから、そのまま飲み込んだ。 「……は?」  どこで覚えてきたの、そんなこと。  一連の動作があまりにもエロすぎて、もう少し若ければそのまま襲っていたと思う。チンチンがイライラするとは、こういうことを言うのか。 「にが……。喉の奥変だし」  尾上さんは顔を顰めている。 「分かってたのになんで飲んだんですか」  飲んでと言ったのは俺なのに、その言い草はないだろう。我ながら言っていることがめちゃくちゃだ。 「飲ませるの好きなんだろ?」 「え……?」 「前も、飲んでって言ってたし」 「いや、その……あはは」  初めてセックスした日のことを思い出した。  尾上さんにフェラをさせて喉の奥に出して、飲ませてしまったのだった。嫌がられているのかと思えば、案外そうでもないらしい。尾上さんはその時に俺の精液の味を知っているのだから。 「た、たぶん。好きなんだと思います……」  変な性癖を自覚させられて恥ずかしくなる。  尾上さんは満足気な顔をしていた。 「まあ、良いだろ別に。そういう気分だっただけだよ。あー、うがいしよ……」  そう言うと、尾上さんは洗面所の方へ歩いて行ってしまった。  フェラ下手くそだなんて、もう言えないな。また何度でもしてほしい。また俺の飲んでほしい。  いまだ精液の味が残ったままの口をゆすぎに、尾上さんの後を追いかけた。

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