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「いつも履いてる靴下で足コキしてくれませんか?」

「いつも履いてる靴下で足コキしてくれませんか?」  寝室の床に頭をつけて、丁寧な土下座。  仕事から帰ってきてダルそうに靴下を脱ぐ尾上さんを見ていたら、自分でもよく分からない欲求に苛まれていた。頭の中は、足の裏で俺のペニスを扱いてくれる尾上さんでいっぱい。  どうしても振り払えない妄想にケリをつけるため、本人に向かって恐らく断られるだろうお願いをしている。  ベッドに足を組んで腰掛ける尾上さんは何も言わない。ため息を吐くようにゆっくりとタバコの煙を吐き出していた。 「お前のこと久しぶりにキモイと思った」  顔を上げると、尾上さんは眉間に深い皺を寄せ、思い切り俺を睨みつけている。 「そんなぁ……」 「いや、どんだけ贔屓目に見ても気持ち悪いだろ。足コキだけならともかく、なんで靴下……?」  尾上さんの言い分はよく分かる。俺だって冷静になれば、何を言っているんだこいつは……と思うだろう。 「それは土下座までして、頼むことなのか?」 「はい」 「即答かよ……」  尾上さんは呆れていた。吸殻を灰皿に押し付けるまで、あさっての方向を向いて唇を尖らせたまま唸っていた。俺からすれば、考えてくれるだけ優しいと思う。  しばらくすると、バッチリ目が合う。  尾上さんはタバコのソフトパッケージをくしゃくしゃに握りつぶし、俺に見せるようにしてゴミ箱に捨てた。 「今ちょうどタバコ切らしたんだ」  俺は状況がよく分からず、気の抜けた返事をした。 「コンビニまでパシリ。二個な。……でも三個買ってきてくれたら、ちょっとだけサービスしようかな」 「か、買ってきたらしてくれるんですか!」  自分でもデカイと思う声量だった。思わぬ提案に俺は飛び上がって喜び、尾上さんの足に縋り付いて頬ずりする。いい歳して余裕もない、変態の俺。  尾上さんはそっぽを向いて早く買ってこいよと呟いた。その頬は赤かった気がして、俺は急いでコンビニへとダッシュした。  いつもよりノリのいい尾上さんに全裸でベッドに転がされ、俺はこれから始まる未知の経験を今か今かと待ち構えていた。  尾上さんは後ろ手に体を支え、両足で俺のペニスを挟んでいる。いつもはわりとクールで上品な尾上さん。そんな彼のパンイチ靴下装備、そしてがに股足コキは下品でギャップがあっていっそう興奮した。 「えろ……」  足先で亀頭を弄り、足の裏で押し付けるようにして俺のペニスを可愛がっている。仕事に履いていく、何の変哲もない黒い靴下(五足千円)のおかげで足コキが十倍気持ちいい。少しざらざらとした生地が擦れて、今までにない刺激だ。 「こんなので興奮してんのか、変態」 「うぅ……きもちいいです……」  白くて細い足が俺のものを扱くためになまめかしく動いている。尾上さんの綺麗な足はもちろん、すね毛の一本一本まで全部を目に焼き付けたい。  それにちょっとした言葉責めまでしてくれる。今日はずいぶんとサービスがいい。 「お前の我慢汁で靴下汚れるんだけど。出すなよ」  ゆるゆると扱かれるだけで、俺はあっという間に完勃ちになっていた。ペニスの先からは我慢汁が溢れ、ぐちゅぐちゅと卑猥な音をたてている。  仕方ない、興奮してるんだから出てしまう。今日の尾上さんはSの日なのか、俺をからかって遊んでいるようだ。 「む、むりです……」 「なんで無理なんだよ。いつもならこんなもんで我慢汁ダラダラにしないだろ」 「いつにも増して尾上さんがやらしいんですよ……あっ、無理……イ、イきそ……」  手よりも足の方が拙いはずなのに、手コキより気持ちいい。さすがに早すぎて情けないから多少は我慢しているが、そろそろ限界に近い。 「なんだ。もうイくのか。……ざーこ」 『……ざーこ』 『ざーこ』 『ざーこ♡』  ──俺の中で何かが弾けた。 「尾上さん……それもっと言って」  もっと聞きたい。もっと罵倒されたい。気持ち悪がられてもいい! 我慢なんかしてられるか。  尾上さんは怪訝な顔でこちらを睨みつけているが、俺はもう恥も捨てているのだ。ノーダメージだ。 「ざこちんぽって言って……できるだけ見下して言ってほしいんです。えっちに、煽るようにお願いします! 言われると最高に嬉しいんです。尾上さん、今度良いアイス買ってきますから……だから!」  俺のあまりに必死な形相に押されたのか、尾上さんは咳払いをして少し恥ずかしそうに、可愛らしく俺を罵った。 「はぁ……ざーこ♡ざこちんぽめ♡靴下足コキだけでイくなんて……へんたい……。高松は仕方ない早漏ちんぽなんだな♡俺のナ」 「う……あっ……」  身体が震えてペニスから力なく白濁が溢れた。どろりとした液体が尾上さんの靴下を汚している。俺は尾上さんのソフト罵倒で情けなく射精してしまったのだ。 「出るのはや……これ、そんなにいいのか」  尾上さんの眉間のシワは深まるばかりだ。全く理解ができないらしく呆れているのだろう。 「うわ、なんか足の裏変な感じ……気持ちわる」  尾上さんは靴下に着いた精液をティッシュで拭き取っているが、ぬるぬるがとれずこびりついているらしい。どの道その靴下はもう使えないだろう。 「まぁいいか」  尾上さんは靴下をそこら辺に放り出した。そして、俺に抱きついて、手のひらで胸の辺りをまさぐってくる。俺はもう満足して半ば放心状態だが、余韻を味わう暇も与えてくれない。 「お前は寝てるだけでいいから」 「え……? ちょっ、と、待って噛まないで……!」  尾上さんは俺の乳首を口に含み、舌で転がすようにたっぷりの唾液でぬるついた根元を噛んでいる。ちょっと痛いくらいで、程よく気持ちいい。尾上さんほどではないけれど、俺も乳首は感じる方だから反応してしまう。 「ふふ……ちょっと元気になってきた。乳首気持ちいいんだな」  尾上さんは俺のペニスをゆるゆると撫でている。吐精してふにゃふにゃになっていたが、乳首攻めのおかげで少しずつ硬さを取り戻していた。  俺、Mじゃないんだけどな……。でも、なんかいつもと違ってノリノリな尾上さんに責められるのもいいかも。 「んっ……きもちいい、です」  手コキされながら、そんな呑気なことを考えていると、尾上さんは履いていたトランクスをずり下げようとしていた。 「そろそろいいか」 「えっ? も、もしかして挿れようとしてます?」 「なんだよ、足の方がいいのか」 「それもいいな……じゃなくて、準備してないでしょ?」  尾上さんは何も言わず、サイドテーブルの引き出しからローションを取り出し、ひんやりと冷たい中身を思い切り俺のペニスにぶちまけた。 「ばーか。そんなの……お前がコンビニ行ってる間に済ませたよ」  尾上さんは俺のペニスを乱暴に掴んでまたがり、自身のアナルに先端を押し付けている。ゆっくりと腰を落としてあっという間に俺のものを飲み込んでしまった。尾上さんのナカは柔らかい。  M字に開いた足の中心に、力なく鎮座する尾上さんのペニス。そして、俺のものを根元まで咥えこんでいる様が丸見えだった。 「ん〜ッ♡ん……はぁ♡……っあ♡……たかまつ、きもちい?」  うっとりと惚けた顔、ふわふわした声色。蕩けた視線に見下ろされて身体がゾクゾクする。  少しぎこちない前後のピストンで、尾上さんはゆっくり動きながら一人で気持ちよくなっている。 「はぁ……♡はっ……ん……♡」  目を伏せ、いつもより控えめに喘ぐ尾上さんは可愛らしく、めちゃくちゃにしたくなってしまう。  どうも物足りず軽く腰を突き上げる。油断していたのか尾上さんは小さく悲鳴をあげた。 「ゃあ♡……こら、動くなッ……俺がやるんだから」 「じゃあ、もっと激しくしてほしいな。前後じゃなくて上下に動いてみて。足の裏ベッドにぴったりつけて、もっと足開いて……」  尾上さんは言われるがままだ。少し恥じらいながらも足を大きく開いて俺の胸元に手をついた。腰だけで上下にピストンを始めると、肉と肉がぶつかる音がいつもより大きく聞こえる。 「んんっ……ん♡んッ……どうだ、きもちいい?」 「いい、ですよっ。このままイきたいな……」  尾上さんの尻を掴んで揉みしだく。肉が少なくて小さい可愛いお尻。 「まかせろ。はぁっ……ぁ♡……絞り、出してやる……!」  やる気満々の尾上さんは激しく動き出した。ペニスの先っぽから根元までを尾上さんのナカで擦られて、たまに締めつけが良くなると不意打ちで声が出てしまう。  尾上さんの格好もエロい。大股を開いているからローションで泡立った結合部まで丸見え。硬さを持った尾上さんのペニスが、ピストンに合わせて力なく揺れている。 「あッ……イきそう、です……」  俺のその言葉で尾上さんはニヤリと笑っていた。 「イけイけ……俺の中で出せっ……♡」  ──無理。見下ろされながらそんなこと言われたら、我慢できないよ。 「んッ……うぅ……っ」  俺は一日に二度も、情けなく射精していた。    なんだかやたら疲れて、俺はベッドに突っ伏していた。気力や精力まで全部吸い取られた気分だ。 「襲われた気分です……俺はMじゃないのに」  顔を上げると、いつものように尾上さんはタバコを吸っていた。全裸で足を組むその姿も今日は女王様に見える。 「フン。そんなこと言いながら喜んでただろ」 「お願いしたのは俺ですけど。今日はやけに積極的でしたね」  尾上さんはゆっくりとタバコの煙を吐き出している。何も言わないまま、どこか一点を見つめていた。  テーブルにはタバコの箱が3つ積まれている。 「気まぐれだよ。……俺の言葉で一喜一憂してるお前が面白いから、遊んでやろうかなって」  尾上さんは灰皿に吸殻を押し付けた。それから布団に潜って、俺にピッタリと体を寄せてきた。俺の胸元に手を置いて、体を丸めている。 「靴下なんて何がそんなにいいのか分からないけど、喜んでくれるのは嬉しい。サービスしたくなる」  照れながらそんなことを言う尾上さんは世界で一番可愛くて、思わず抱きしめてしまった。 「ありがとう……尾上さん。なんだかんだ言いながら許してくれるとこ、本当に大好きです」  尾上さんは俺の肩口に顔を埋め、小声で苦しいと呟いている。 「こんなので喜んじゃって、単純な奴。高松のばーか……」

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