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第39話 これでチャラ

 重ねた視線で、俺の反応を探り、的確に刺激してくる。  ぞわぞわとする痺れが、下半身に熱を溜める。  酸素の行き届かない頭は、快感に支配されていく。  ミケの髪に触れていた手で、その頭をがっと掴んだ。 「…っ、ぐ……」  止められない衝動に、自身のペニスを目の前の小さな口に捩じ込んでいた。  喉を塞ぐ肉棒に細かな振動が伝わり、締められる。  酸素を求める身体が、喉を痙攣させていた。  自分が動かなくとも与えられる刺激に、ぞくぞくとした痺れが背を這っていく。  俺を見上げるミケの瞳から、ぼろりと大粒の涙が溢れる。  苦しさに歪んだその表情に、ぐっと心臓が握り潰された。  臆した本能が、ミケの頭を掴む手から力を奪う。  軽く頭を引いたミケに、俺のペニスの半分が外気に曝された。  そのまま吐き出されてしまうのだろうという思惑を余所に、ミケの口は再び俺のペニスを喉の奥へと誘った。  俺の手は、無意識に流れてしまったミケの涙を拭っていた。  ごくりと鳴る喉に、先端がぐにゅりと捏ねられる。 「………くっ」  何度となく喉奥で嬲られた俺のペニスが、我慢の限界とばかりに、白く粘つく液体を撒き散らす。  ずずっと引き抜くペニスに、ミケは名残惜しむかのように、じゅるりと残滓を吸い上げた。  体液に塗れた俺のペニスを丁寧に舐め上げたミケは、口を開け、白濁を舌の上で転がして見せる。  口の中全体を白く犯すその液体を、見せつけるように飲み下した。  口の端を汚す唾液とカウパーの混じった粘液を親指で拭ったミケは、くるりと身体を反転させ、俺の隣に座り込んだ。 「これでチャラ、ね?」  真正面の空間に視線を据えたまま、声だけを投げてくるミケ。  無音の時間は、ほんの数秒。  そのまま立ち去れば良かったのかも知れないが、置いていくのも忍びない気がして、口を開いた。 「お前、いっつもこの辺にいんの?」  役目を終え、だらしなく垂れ下がるペニスをしまい込み、ミケと同じように地面に腰を据える。  ミケ自身に謝罪させるために、タマが迷いなくここへ来たコトを考えれば、ここがミケのテリトリーで間違いないのだろう。  声に反応するようにこちらを向いたミケの表情は、嘲るような嫌味を含んだ笑みだった。 「なに? 僕のテクに惚れた?」  右手で棒を掴むように円を作ったミケは、存在しないペニスの先端であろう場所に、舌を這わせる真似をする。 「否定はしねぇ……けど、違う」  ミケのテクに惚れ、もう一度を願い出るために、居場所を確認したい訳ではなく。 「ここ、結構危ないんじゃねぇのかなって思ってさ」

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